句会日時 2017-2-17 10時
句会場 パレア9F 鶴屋東館
出席人数 6人 1人は投句のみ
指導者 山澄陽子先生(ホトトギス同人)
出句要領 6句投句 6句選 兼 題 余寒
世話人 近田綾子 096-352-6664 句会出席希望の方は左記へ。
次 会 3月17日(金)10時パレア9F 兼 題 青踏
今回久しぶりに入会者がありました。木村純子さんとおっしやる60代の女性です。末永くよろしくお願いいたしたいですね。
山澄陽子選 特選句
金峰山うつすら白し雪の舞ふ 綾 子
隣家の解体するとや春寒し 〃
余寒なほ身を寄せあふて鳩ねむる 安月子
春の鴨やがては帰る羽摶して 〃
靴音の高く響きし余寒かな 〃
盆栽の松一尺の冬木立 礁 舎
暗がりに余寒ひそめる薬種蔵 〃
神田神保町界隈日脚伸ぶ 〃
送別の会の帰りの余寒かな 武 敬
折合ぬ母と娘の余寒かな 〃
バレンタイン旧友からの便り来る 茂 子
春の小川吾オカリナの曲となる 〃
寒行に雪解け水の身にしみて 純 子
頰よぎる黒髪もまた春の風 〃
先生の句
一塊の雲の崩れて春近し
遙か来て麦の芽青し空蒼し
碧空の欠けて生まれし龍の玉
人気なきホールの隅にある余寒
浦曲とは人の懐かし暖かし
寒村や灯のとびとびに冴返る
山澄陽子先生の句 平川礁舎
風花に楽しく歩き通しけり 山澄陽子
寒の内に寒い日があつて熊本市内にも雪が降つた。前夜の予報では積もるか
も知れぬと言つてゐたが、市内に積雪はなかつものの日中に何度も降つた。
が、それはほとんど風花が舞ふ程度の降り方であつて、作者が上記の句を詠ん
だのもその日の事に違ひない。朝日俳壇で稲畑汀子が採つた句である。句意は
極めて明瞭、何の屈託もなく誠に自然で小気味よい詠みつ振りである。
熊本市民で震災の被害に遭はなかつた者は一人もゐないと云はれる。作者も
例に漏れず、夫君の病状の悪化、その看病疲れによる自身の入院など辛い
日々が長く続いた。けれども強い人である。この句を読めばそのことがよく分か
る。くよくよしても仕方がない楽しく生きやうよ、といふメッセージの発信であらう。
また、予後の肉体を励ましながら目標の距離を歩き通した喜びと、そしてまた
その中に包含してゐるであらう微量の哀感とが季題風花とよく調和して一句の
美い仕上がりとなつた。
作者は夏にも稲畑汀子選に入選してゐる。
城の威は崩れてをらず雲の峰
なんといふスケールの大きい句であることか。かういふ句には才能が迸つてゐ
るが、これはまた俳句による震災被災者応援歌でもあるやうだ。なぜならいまや
熊本城は自らが震災復興のシンボルタワーとなつてゐるではないか。