古文書を読もう!「水前寺古文書の会」は熊本新老人の会のサークルとして開設、『東海道中膝栗毛』など版本を読んでいます。

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迦南俳句を読む9  横井迦南句集より

2017-04-30 17:36:17 | 横井迦南

写生自在7

七面鳥闊歩し棕櫚の花こぼれ  迦 南

地面に花が散り敷いているので仰ぎ見ると棕櫚の花穂が伸びていて絶えず小花をこぼしつつある光景に出合うことがあります。5月頃のさして暑くない時候の頃で、なかなか風情のある光景です。

この句はその花が七面鳥の上に降っているというのです。こういう取り合わせは見たことがありません。

それから「闊歩し」というのは作者の主観です。いわば擬人法を採用しているわけで、やり損なうと嫌みな句になるのですが、ここではその一語のためにかえつて句に生命力を吹き込んでいます。

 

朱欒たるる庭に驕れり薩摩鶏   迦 南

 

朱欒(ざぼん)などという季題が出て来るのはいかにも南国鹿児島ならではの事ですね。鹿児島では庭木に朱欒を植栽するのは普通のことです。

ここでも前句同様地鶏と朱欒の取り合わせが面白いのです。そしてまた「驕れり」という主観語が際立って働いています。

前句の「闊歩」、後句の「驕れり」これを超える言葉があれば示して頂きたいものです。こういう言葉の斡旋は迦南の独壇場です。

因みに、薩摩鶏は、名古屋コーチン、比内鶏とともに日本三大地鶏と言われています。