深沢町W邸で、瓦葺き工事が終了しようとしています。
2・3日晴れているので、工事もはかどっているようです。
ただ、気温が30度まで上昇し、暑いさなかでの作業で大変そうでしたが・・
瓦は安田瓦を使用しています。
新潟県産の瓦で、中越地震の被災者の場合、1/2補助(最大85万円)が受けられます。
中越地震以来、新築やリフォームは屋根に瓦を葺くことが少なくなりました。
瓦は地震に弱い
という、風評が広がったためです。
地震で瓦の落ちた屋根は、殆どが鉄板屋根に貼り替えられ、新築でも鉄板のほうが軽いということで、鉄板を採用してしまいがちです。
実際は、葺き替え時期のセメント瓦の屋根や、棟瓦に透かしを入れたりした豪華な瓦屋根が被害にあっていて、確実に施工していた焼き瓦の屋根は被害が殆どありませんでした。
屋根が重くて構造がもたなくなった家は、何処かに欠陥があり、全半壊になったようです。(壁の配置や金物等の入れ方)
屋根が重い場合は、それなりの構造の強化が必要です。
(瓦のせいにしてはいけない!)
現在は、耐震施工の指針があり、瓦を屋根鼻から無理にせり出さず、棟瓦も金物や鉄筋を入れて、銅線でしっかりと固定します。(写真)
1/2補助もあるので、カラーステンレス鋼板屋根よりも安く済みます。
最近では鋼材の価格が高騰しているので、鉄板を葺くよりも安いかもしれません。
鉄板屋根は寿命が短いし、傷むと補修がやっかいですが、瓦の場合は20年以上は耐久性があるし痛んでもそこだけ取り替えれば良いという利点があります。
瓦屋根を葺く場合、構造の強化は必至です。
小屋梁も一回り大きい材料を使い、木組みもがっちりとしておく必要があります。
今回、3間(5.4m)を飛ばす大空間を作りましたが、登り梁と床梁の2重対応をしていて、瓦の重みでたわんだのは、皆無か2㎜程度でした。
でも、雪国の場合、瓦の重さよりも雪の重さのほうが遥かに重いのです。
たとえ鉄板にして軽くしても、雪の荷重からは逃れられない地域のため、瓦であろうと鉄板であろうと雪に対する構造をしっかりしておかなければなりません。
200年周期で起きる大地震に備えることも必要です。
伝統構法の木組みは、昔に起きた地震や豪雪の経験で、これに対応する方法を組み込んできているので、基本に忠実にしていれば耐震、耐雪性能は自ずと確保できるのです。
(実際、我が社の伝統構法の物件は地震当時、無傷でしたから・・)