べんりや日記

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土合町K邸 カキシブ塗り

2007-03-28 21:26:14 | 長岡市土合町K邸(越後杉)


能登半島沖地震が発生してから4日が過ぎようとしています。
震度5弱クラスの余震があったそうで、まだまだ安定しない日々が続いているようです。
新潟県中越地震でも10月23日の本震と27日にも震度5クラスの大きな余震があったのを覚えています。
あのときは、屋根の上から降りて数分経ったくらいにグラっときたので、もう少し降りるのが遅かったら危ないところでした。
屋根瓦が落ちている部分に、雨が降ると雨もりが発生します。

それを防止するために、瓦の上からブルーシートを張りました。
毎日、毎日、ブルーシートを持って屋根の上に上がったものです。
危険を承知で・・
それも、台風並みの強風が何回も吹いたのでそのたびにシートが飛ばされ、また張りに行った覚えがあります。夜中に呼び出されるのはしょっちゅうでした。

そんな、地元の大工たちの血のにじむような隠れた仕事があっての震災復興でした。でも、いざ新築となると、ハウスメーカーに行ってしまう・・

いったい我々の努力は何だったのだろうと思います。
苦労した甲斐が、無になってしまうのは腹立たしいかぎりです。
そんな思いを、輪島の大工さんたちに味合わせたくない!

中越地震から丸3年を向かえ、この3月で一応の復旧が終わったといいます。
その間、地元で復旧できない手間を多方面の労働力や大手メーカー、中央の技術者集団がやってきてほとんど消化してしまい、地元に残る分は少なくなっています。
しかも、地震復旧で増えた利益や復興用補助金はほとんど法人税で持っていかれてしまった・・
住宅需要も期限付きの復興支援制度により、ハウスメーカーにいいように食い尽くされ、神戸のように10年くらい不景気になる予想も・・

地産池消。地元の労働を使えば、地元に残る・・
先のことを考えて、購入、復旧をしていただきたい限りです。


さて、長岡市土合町K邸のカキシブ塗りを行っています。
写真をみる限りでは、塗った部分が光って艶があるように見えますが、実際には光沢はなく、重量感のある梁や柱に仕上がります。
カキシブは酸性で、下に塗った色を定着するとともに、カキシブ自体が固まって表面に被覆をつくり、木を保護します。
カキシブを塗ったハケは次の日に固まっていたり、缶に入ったカキシブがゼリー状に固まっているのを見ると、これが保護する成分なんだと肌で実感できます。

カキシブは万能で、防腐、耐水性に優れた塗料です。
昔は、自宅の庭や山に生えている柿を夏の青いうちに採ってきてつぶして、汁を樽や缶に入れて醗酵させて自家製のカキシブを作り、毎年、外壁の板に塗って耐水性を保持していたそうです。

現在は、カキシブを造るのを忘れ、柿の木もみな切られてしまいました。

昔は、自分のことは自分でしていた。それも、自然の物を自然のサイクルに沿って最大限に利用していたのです。

そういった、昔の知恵や技術を使った家作りをしていると、楽しくなってきます。
梁や柱を磨くのは大変でしたが、カキシブ塗りは筆後が残らない程度に拭くだけなので楽な仕事です。

楽しみながら作る・・お客さんの安全を願いながら作る・・

そういう楽しいといった気や産みの苦しみの気が混ざり合っているような感じがします。
大工手間を削られてしぶしぶ、嫌々作っている気が充満した家もあるのでしょうか?そんな家、どんなに自然素材をふんだんに使っていても、不健康になりそう・・
(スピリチュアルな江原さんたちが見るとわかるのかもね・・)

作り手が、お客さんの健康を願えば、素材なり工法なりも自然とそうなってくると思いますが・・
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