「省エネ基準」を魔改造します
この記事のポイントです
【結論】省エネルギー基準で新築し、2030年以降はZEHリフォームで対応
1.国交省モデルの外皮性能を流用する
2.省エネ基準編の設備機器を選んで計算してみる
3.設備器具のランクを落とす
4.2030年以降はZEHリフォームを・・
です。
1.国交省モデルの外皮性能を流用する |
前回、国交省モデルが4~7地域の仕様基準「省エネ基準編」の元となっている事が確認されました。
求めた外皮性能を使って一次エネルギー消費量を計算し、適合しているかどうかを判断してみます。
前回求めた外皮性能
UA =0.76 ≦ 0.87 (5地域UA)OK
ηAC =2.33 ≦ 3(5地域ηAC) OK
ηAH =4.08
↓ここで求めています
2.省エネ基準編の設備機器を選ぶ |
「省エネ基準編」のガイドブックでは、掲載された設備器具の中から、実際に導入する器具にチェックを入れるだけで、詳細計算ルートのような計算プログラムを使う必要がありません。
この掲載の設備器具の中から、次の設備を選びました。
設備 | 導入する器具 | 備考 |
冷暖房設備 | ルームエアコン | (ろ) |
換気設備 | ダクト式第一種換気 | 熱交換でない |
給湯設備 | 高効率ガス給湯器 | エコジョーズ |
照明器具 | 全室にLED |
選んだ設備器具で、一次エネルギー消費量計算プログラムに入力し、計算すると・・・
「省エネルギー基準」の評価がクリアできました
仕様基準の「省エネ基準編」の仕様だと「詳細計算ルート」で適合判定を得られました。
まぁ、当たり前と言えば当たり前ですが・・・
3.設備器具のランクを落とす |
外皮性能をそのままにして、設備のランクを落としてみます。
まずは、エアコンを(ろ)から(は)に落としてみます。(中級グレードから最低ランクに落としてみる)
基準設備 | 基準の器具 | → | 変更後 |
冷暖房設備 | ルームエアコン(ろ) | (は) | |
換気設備 | ダクト式第一種換気(熱交換でない) | そのまま | |
給湯設備 | 高効率ガス給湯器(エコジョーズ) | そのまま | |
照明器具 | 全室にLED | そのまま |
以上の条件で入力して、一次エネルギー消費量を計算しました
基準をクリアしています。
まだ余裕がありそうなので、換気設備をダクト式から壁掛け式に変更し、ついでに給湯器もエコジョーズから従来式へ戻してみます。
基準設備 | 基準の器具 | → | 変更後 |
冷暖房設備 | ルームエアコン(ろ) | (は) | |
換気設備 | ダクト式第一種換気(熱交換でない) | 壁掛け式第一種換気・熱交換でない | |
給湯設備 | 高効率ガス給湯器(エコジョーズ) | 従来式 | |
照明器具 | 全室にLED | そのまま |
以上の設備を選んで入力します。
これでもクリアできました。
流石に、これ以上は落とせないでしょう・・・
「国交省の標準モデル」の外皮が如何に性能が高かったかを物語っています。
4.2030年以降はZEHリフォームを・・ |
「詳細計算ルート」で評価をすると、設備機器を高効率にしなくても、国交省モデルの断熱仕様でクリアできる事が確認できました。
これは2025年以降も有効で、2030年のZEH水準への引き上げ時期まで利用可能な手法となります。
途中で評価基準が見直された場合は設備機器の高効率化を行えば対応が可能となってきます。
設備器具の場合、建物と違って寿命が短いので、10年くらい過ぎると器具の入れ替えが必要となってきます。
高効率になるほど壊れやすくなるという矛盾点もあります。(複雑な装置になるため、単純な装置よりも壊れやすくなる)
また、国交省モデルの弱点は、
と何度か説明をしました。
サッシに関しては、
高断熱サッシに入替えるか内付けサッシを取り付ける
というリフォームでZEH水準まで断熱補強が可能となってきます。
次のように整理します。
部位 | 寿命 | 交換の容易さ | 対応 |
①断熱材 | 20年~50年 | 難しい | 外装工事に伴う大規模改装 |
②サッシ | 20年~30年※1 | やや容易 | リフォームやや可能※2 |
③設備機器・家電 | 10年 | 交換が容易 | リフォームで対応 |
※2後付け二重サッシならば容易に対応できます
断熱材も永久に劣化しないわけではなく、徐々に性能が落ちていきます。
新築時は①を重視し、③は10年サイクルで考え、②の変更が容易なものは後で対応する・・
つまり、サイクルを考えた
ZEHリフォーム
をおすすめします。
【結論】省エネルギー基準で新築し、2030年以降はZEHリフォームで対応する
次回はその話です。
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