大規模改装の蔵王町S邸の洗面化粧台ですが、設置位置が窓の正面となり、化粧鏡の取り付けが不可能でした。
側面の壁に鏡を取り付けると、常に横を見ながら使用しなければならず、使い勝手は悪くなります。
やはり、窓のある正面に鏡を取り付けたい・・・・
お客さんからの要望は無かったのですが、施工側からの提案で、可動式の両面鏡を取り付けることとしました。
既製品を探したのですが、そういった鏡が生産中止となっていたため、一から製作をしなければならず、ガラス職人さんの力を借りながら、何とか実現したものをご紹介します。
正面に窓のある洗面化粧台です
正面には鏡の設置が不可能なので、側面に取り付けています
パタッと側面の鏡を開くと・・・
裏面の鏡が正面を向き、正位置で使用する事が可能です
既製品で無い物を実現するには、企画から制作まで一から始めなければなりません。
コンセプトとしては・・
1.「両面鏡」を側面の壁に取り付けて、必要な時に展開して正面で使用できるようにする。
2.できるだけシンプルな構造にして、見た目にもこだわる
です。
「1」のみならば建具屋さんに作ってもらえば済むのですが、ゴツくなってしまうのが難点です。
「2」を実現するには、鏡の構造からの工夫が必要です。
まずは、建材屋さんに、
「両面鏡って無いの?」
と問い合わせたら、
「ありません」
という回答が来たため、通常の鏡を2枚貼りあわせて両面鏡にすることとしました。
鏡の穴あけ加工も難しいという事で、こちらのガラス職人さんに開けてもらう事に・・・・
素材から作っていかなければならない難工事になってしまった・・・・
ガラス職人さんにガラスに穴を開けてもらう実験をしてもらいました
ビズを何種類か指定し、その頭が出ない様に、穴にテーパー加工をしてもらいます。
上手く行くことが確認でき、いよいよ本番。
2枚の鏡を用意しました。
ここにビス穴加工をしてもらいます。
ビス穴加工をした鏡
鏡を貼り合わせて、木枠にビスで止めます
ビス頭の部分。
鏡面とフラットになるようにビス頭が半埋めの状態になります
あとは木枠丁番で取り付けるだけ
マグネットを付けて、壁に固定できるようにしています
言葉や絵にするのは簡単ですが、それを実現するには技術と根性が必要です。
こんな所に、手間暇をかけてどうするのかと言われても、クリエイター魂というか・・やってみたいことは、やってみたい・・
あとは使い勝手がどうかですが・・お客さんにご感想をお聞きしたいところです。
その他の工夫・・・
洗面化粧台の脇に収納棚を設置
既製品のものと違い、奥行きがあるので、かなりの容量が入ります
側面の壁を利用した棚
歯ブラシとか髭剃りとか・・・
下部の収納スペースに「湯ポット」を設置
給湯器から距離がある場合は、お湯が来るまで時間がかかるので、
電気温水器を設置しました
また、壁の腰面には水はね対応のキッチンパネルを貼っています。
・・まぁ・・基本は忠実に守ってます。
ちなみに、この化粧台は今まで既存建物で使用していたモノを再使用しています。(しっかりと磨いて新品同様にしています)環境にも優しい・・といったところ・・
いたれりつくせりの洗面化粧台でした。
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