杉のサッシは「木のぬくもり」を感じます。
見た目も暖かい・・
外側に既存のサッシ、内側に新たに木製サッシを取り付け、
エネルギー効率を上げようというものです。
脇にある「内付け樹脂サッシ」が通常使われますが、
「木がいい」
と言う人にとっては、こちらがおすすめ。
ただし、下のプラマードUは「エコポイント」が付きますが、
木製サッシにエコポイントは付きません。
(断熱性能は、木製のほうが良いと思いますが・・)
田中優さんの講演会にて |
5月2日に三条で「田中優さん」の講演会があり、講演会の内容に出てくる「木製サッシ」を試作して、この会場に展示しました。
田中優さんの講演
南洋材の伐採によって、東南アジアの熱帯雨林が破壊されてしまいました。
輸入先の日本では、この材料を合板にして使い捨てています。
日本には利用可能な森林資源があっても、使えないでいる現状があります・・
大好評だった五泉市(村松)マルユーさんのブース
越後杉で作った家具や小物を展示・販売を行いました。
新潟県で「天然乾燥」にこだわる材木屋さんがあると、田中優さんも評価していました。
そんな中で、木製サッシを展示しました。
越後杉仕様とすることで、地産地消に役立ちます。森林整備が進むとともに、断熱効果を上げて省エネにもつながります。
田中優さんも
「学校等の断熱をこういった木製サッシを使えばいい」
と言っています。
地の物を消費し、省エネに役立てば一石二鳥・・
越後杉サッシの特徴 |
越後杉サッシの特徴としては、
1.越後杉で出来ている(ぬくもりがある)
2.樹脂サッシを手本として、気密性を高める工夫をしている。
3.内付け二重サッシなので新築にもリフォームにも使える。
というところでしょうか・・
価格も、田中優さん曰く・・
「新潟の方が安い」
と言っていました。木製サッシってそんなに高いのだろうか?
価格設定としても、ガラス面が大きくなっても、それほど変わらないと思います。
(材料が長くなったり、ガラスが大きくなるだけで手間はあまり変化しない)
既存サッシの内側に取り付ける形状となっています。
クレセントはYKKの樹脂サッシの物を流用。
これを締めることで、建具についているパッキンが効き、
気密を高めることができます。
枠の溝にもパッキンを取り付けています。
このあたりは、樹脂サッシを参考にしています。
枠の敷居レール部分。
蒲鉾レールを使っているので、味があります。
大工は「木製のレールを作る」
と言っていましたが、時間が無かったので却下。
本格派でこだわるお客さんにはオプションで硬木のレールとか・・
樹脂製サッシの部材を使ってもいいし・・
鴨居溝と建具の収まり部分。
建具のほうにパッキンを取り付けているのですが、
溝の間はどうしても隙間ができます。
樹脂サッシのゴム製のモヘアを取り付けて、この隙間を埋めています。
敷居と建具の溝の間の収まり。
ここが空いていると、風が漏れてきます。
この部分にもゴム製のパッキンを取り付けています。
木製サッシを作る・・ |
建具とサッシの違いは、
建具:木製枠の中にガラスを入れている
建具の見た目を重視
サッシ:ガラスに枠をはめている
気密重視
建具は、建具屋さんの腕の魅せ場なので、材料にもこだわります。木目(柾目)が細かいほど見た目も良く、高価であるとともに、狂いも少ないものです。
木目が粗く、節があり、色がにぎやか(紅+白+黒)で狂いが多い「越後杉」はまず、相手にされない材料です。
その越後杉を如何に使うか・・
気密重視のサッシとしてならば、どうかというのが今回の「越後杉サッシ」のテーマでもあります。
建具で確保できない気密性を上げることで、熱損失を抑えて省エネに役立てるのが目的です。
工場に在庫してあった二重サッシを見本にしました。
サッシをバラします。
ガラスとパッキンの拡大
サッシの構造が理解できます。
ガラスにパッキンを取り付け、その廻りに木枠を組むという構造です。
まさに「気密重視」
越後杉を加工
ガラスとパッキンの入る部分の断面
木表と木裏を考えながら、木が反る方向を見定めて加工しています。
木は、木表側に反るので、反って押す方向をガラス面にすることで、変形を抑えます。
建具の枠部分
上小節程度の材料(中級)にて構成することにしました。
戸車が入る部分はノミでくりぬきます。
こういった部分は、建具屋さんのほうが慣れていると思います。
(道具とかもあるのでしょう)
組み立てながら、パッキンの入れる場所を吟味する
何気ない木製サッシなのですが、色々な工夫が至るところになされています。
まだ、パッキンの入れ方等で改良を加える必要がありますが、
田中優さんにも
「これで、いいのでは」
とも言われたので、製品として出すのも可能でしょう。
一度、雛形を作って、建具屋さんに
「こういうものを作ってくれ」
と依頼すればいいわけです。製品開発そのものに難色を示す建具屋さんの負担を軽減できます。
実際、こういった細かい作業は建具屋さんのほうが慣れていますから・・
パッキン等の入れ方は、このブログに詳しくは掲載していません。
実際には、木製部分にパッキンが取り付いていて気密性を上げています。
山の木の話へ・・
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます