べんりや日記

住まいのこと、情報発信!

もったいない

2007-03-19 21:08:03 | 長岡市深沢町 山の木


本日は曇りベースのチラチラ雪。
気温も低く、風が冷たい・・

深沢町のW邸では今まで住んでいた家の解体がはじまっています。
おばあちゃんが、
「いままでの家の材料がもったいない」

ということで、長押(なげし)や床板を外してから解体作業に入りました。
これらの部材を工場にて預かり、新築したときに、内装材に使用する予定です。
昔の家のなつかしい面影が所々にはめこまれる予定です。


さて、本日は新潟県住生活基本計画(素案)に関する意見募集の最終日となりました。
我が社から出した意見を後述します。




土木部都市局都市政策課広域都市政策班様

我が社では、地球環境問題、特に温暖化防止に関して家づくりの観点から改善できないかと2000年度から模索し、結果的に県産材を使った伝統構法による住宅づくりが最善の方法であるという結論に達し、実践してきた結果、中越地震ではその構法が耐震、耐雪に優れた構造であると確認し、県産材の普及、伝統技術の継承をめざして日夜努力をしております。

長岡市内に会社を構える伝統構法を継承する1工務店として意見を述べさせていただきたい。



目標Ⅰ(5)良好で末永く使える住宅・住環境づくり

イ. 耐久性・持続性等に優れた良質な住宅づくり

古来からの伝統構法で建てられた「古民家」には築300年を超える建物が多く点在しています。中越地震の際、その伝統技術を応用した住宅で、小千谷市、長岡市東山地区で建築中だった2物件は、継ぎ手、仕口、栓、くさびにひび一つ入らず、被害も皆無でした。
災害ではありましたが、雪国の伝統構法は地元の木材を適材適所に用いた耐震、耐雪に優れた構造だと再認識をした機会ともなりました。

この、雪国の伝統構法を受け継ぐことで、耐久性・持続性等に優れた良好な住宅を提供し続けることが可能だと思います。


具体的な施策について

「長寿命木造住宅の普及促進」に関して「雪国の伝統構法」も取り入れていただきたい。

指標について

住宅の利活用期間について、約40年では短すぎると思います。100年もつ設計、構造、間取りに関しての提言を行いたい。



ウ.健康で環境に優しい住宅・環境づくり
温暖化防止策として、建築するときの材料を運搬するのにどのくらいエネルギーを使ったかを確認できる「ウッド・マイル」の導入をしていただきたい。

また、地元産材使用率も参考値になると思います。
「杉ブランド材」だけではなく地域産材を使えば、運搬エネルギーも下がります。
また天然乾燥にすれば、人工乾燥よりもエネルギー消費が抑えられます。

地元の山の木を使うことで、地元の環境改善にも役立ちます。
「水源税」に似た形で、地元の山への還元、地産地消の意識の向上をはかれば、水源としての山林を保て、整備でき、結果として健全な水源を確保することにつながってきます。

指標として・・

ウッド・マイルによる評価
材料エネルギー使用率(kcal/g)による評価

等も付け加えて頂きたい。


目標Ⅱ「新潟らしい住宅・住環境による住生活」の実現

(1) 雪と共生した住まい・住環境づくり

イ. 雪と共生した住環境づくり

具体的施策
◇ 雁木のまちなみ保存・整備

道路内の雁木に関しては、消防による見解が大きく、防災、防火面が重視されているようです。(長岡市の場合)
市街地の雁木はアーケードと化し、ほとんどが不燃材(鋼製)に切り替えられ、昔の面影などひとつもなくなってしまいました。
現在の新体系建築基準法では、防火、耐火上の性能規定が設けられ、木造準耐火、耐火性能を認める動きとなっていますが、雁木に関しては、道路課や消防暑の意識がそこまでいっていないようで、条例も昔のままです。
市町村合併に伴い、周辺市町村には歴史のある雁木のまちなみが残されているので、市の条例がそのまま適応されれば、まちなみも近代的なものに変わってくると思います。

指標として

まちなみを残す条例案の提出数などを盛り込む等・・


(2)新潟らしい住まい・住環境づくり
ア気候風土に根ざした住まいづくり

前述のとおり、雪国の伝統構法(中越地方以南)に関しては耐震性、耐雪性に優れた構造であると中越地震により認識を深めましたが、県内各地の気候風土、材料に伴った、その地域独特の伝統構法が点在します。
地域色の濃い伝統文化を最優先とした、各地域の伝統構法の伝承、発掘、継承が必要だと思います。
一定の構法のみが「伝統構法」なのではなく、各地域に根ざした伝統構法が多数存在しえるということです。
お互いの伝統技術を尊び、交流することでよい面を伸ばしていくことも可能だと思います。
また、力学的な研究を進めれば、現在の技術よりも優れたところも発見でき、今後の設計、施工におおいに役に立つと思います。

具体的施策として

◇ 地域の気候風土に根ざした良質な住まいづくりの推進
に賛同し、協力します。

指標として

県内の伝統構法のマップづくり
(特色や構造、継ぎ手・仕口の工夫のヶ所など明記。)
継承者間のネットワークづくり


イ地元の材料を使った住まいづくり

県産杉材に関しては、根曲がり材などの特色ある形態もありますが「狂う」「すく」「やわらかい(弱い)」の3拍子そろったクセのある材料です。
現在の在来木造技術で、材料を県産材に切り替えた程度では、クレームの多い材料という悪評が広がりかねません。
この材料を使うには、伝統構法や県産材の素性を網羅した技術を使わなければ、対応は困難です。
また、なぜそうまでして、この材料を使うのか、作り手、使い手に教育をしていかなければなりません。ある意味、「品確法」にそぐわない建物となります。

具体的には、「県産材仕様マニュアル」を作成し、普及していかなければならないと思います。

指標としては

県産材仕様マニュアルの作成、普及



ウ伝統的技術を活かした住まいづくりと住文化継承

これには大賛成で、どんどん進めていっていただきたい。
また構造実験や解析を行って、伝統構法の耐震のメカニズム解明をすることで、現在の木造技術の向上に貢献できると思います。
伝統構法の継承・ネットワークには県内に「越後に生きる家をつくる会」が存在し、協力が可能だと思います。

指標

「新潟県伝統構法マニュアル」の作成
「新潟県伝統構法継承者ネットワーク・マップ」の作成 等




第1節 計画的な推進に関して

1. 県民等の役割
(2) NPO、地域の団体など
NPO法人。法人格の制限をつけると、事務処理、決算報告等にかかる負担が大きくなるため、「団体」を強調したほうが、動けると思います。
「NPOは法人を問わない」と明記していただきたい

「越後に生きる家をつくる会」は法人格はありませんが、川上から川下までの木材の流通のネットワークであり、各業界の技術の向上と県産材の流通量の向上を目的としています。
異業種間の交流を通して地域材や住宅を見直す運動でもあり、住文化や伝統建築技術の継承に取り組んでいます。


以上、意見をのべさせていただきました。
ご検討をお願いします。

コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 土合町K邸 下駄箱 | トップ | 能登半島沖地震! »

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
想い出の品 (藤川)
2007-03-26 19:16:24
他に、背丈を計った跡が残ってる柱を使ってほしいとか・・

昔の家が、いままで家族を見守ってくれていたわけですから、その想いを無にするのが名残惜しい・・

最終的には、焼却されてしまうのですから、無残なものです。せめて、少しくらいは取っておきたい。
返信する
それは (ダン)
2007-03-25 09:41:53
良いアイディアですよね
建替えるとか結構前住んでた思い出がなくなるのは寂しいモノありますし…
返信する

コメントを投稿

長岡市深沢町 山の木」カテゴリの最新記事