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大雪に耐えている 深沢町W邸 ・・と大雪時の高床住宅について考える

2010-01-18 20:34:23 | 長岡市深沢町 山の木
車庫を直している最中に、深沢町W邸を見に行ったら、この大雪で1.5m以上の積雪で屋根が埋まっていました。
山沿いでは、市街地よりも一回り多く雪が積もっています。

雪の積もったW邸も美しく映えていて乙なものです。
(などと、見とれている場合ではないのですが・・)

1㎝で3kgの重量だと、1㎡当たり450kgの重量が掛かっている計算になります。1坪当たり1.5トンもの荷重が掛かります。
屋根垂木は、60×90㎜の一回り大き目の物を使っているので、よほどのことが無ければ折れないのですが、一番やられやすいのは屋根鼻で、雪庇(せっぴ)により雨樋が傷みやすく

「屋根鼻の部分だけでも、雪を下ろしておいて下さい」

とアドバイスしています。
最近は「雪庇落とし」なる棒状で下から雪を落とす便利なアイテムもあります。

この家のおやじさんが、屋根鼻の部分の雪を下ろしていましたが、屋根鼻部分には背丈以上の雪が積もっているようでした。
次の寒波が来る前に、雪庇を落としておけば一安心です。



おやじさんが屋根鼻の雪下ろし中です。
画面中央右上辺りに、見えます。
背丈くらいは積もっているでしょうか・・・



この建物の外観の見所は何といっても円形出窓
やっぱり形が美しい!


今週末から、再び冬型が強まるとのことです。
更に積雪が予想され、同じ位積もるようならば、今度こそ雪下ろしをしなければならないでしょう・・・
「温暖化・暖冬・小雪」
と言われていますが、やはり雪国なのであります。

さすがに2mまで積もらないとは思いますが、そうなった場合は大変です。

中越沖地震の最中は、瓦が載っていて外側の耐力壁のみで、2階床や内部の壁も無い状態で、大きく揺れたものの、耐え抜きました。
伝統木組みと外周部の耐力壁のみで震度6の地震に耐えたわけですが、これに積雪荷重が加わった場合、当時無かった2階の荒床、内部耐力壁が加わり、その分で雪の横揺れに耐えることになります。

う~ん・・直感では大丈夫のようだが・・
これ以上積もったら、やっぱり雪下ろしはしておいたほうがいいかも・・・


この伝統構法の2階建てより、もっと条件の悪い建物もあるのです。

総2階の建物・・特に、高床住宅や木造3階建てで、梁間に比べて高さが長いスポンとした形状の建物は、積雪時に頭でっかちになります。木造3階建ての場合は構造計算をしますが、「雪下ろしの習慣のある地域」では「積雪1mまで減らす」という計算方法によることが多いのです。

耐雪計算は、中期間の積雪で(1ヶ月も積雪が続くことはありえない)強度を計算します。(これは、それほど苦にならずにクリアできます)

問題は、積雪時+地震時で・・大部分は1mの積雪で計算します。それは雪下ろしをした状態で地震が来るという想定です。
「大雪の状態で大地震が来る確率は少ない」
というのが、その根拠です。

雪国の高床住宅は、最近まで2階建の基準で「単に基礎が伸びただけ」という扱いでした。本来は3階建て(木造2階+鉄筋コンクリート若しくは鉄骨造の混構造)として構造計算を行う必要があります。
制度が出始めた初期の高床は梁下が1.5mだったので、やや2階建てとして許せたのでしょうが、いつの間にか梁下1.8mになり、魚沼地域等では2m以上の高床も作られていたり、その上に落雪式の屋根なので、ほぼ3階建て(小屋裏に部屋とか作ったりして本当の3階建てになっていたり)が載り、合計で4階建てのような高床まで作られるほどエスカレートしていました。

構造計算をして、高床基礎部分がちゃんと施工してあれば問題ないのですが、「普通の木造の基礎が伸びただけ」というような住宅があふれていたようです。

10年以上前に、雪害研究所が、雪国の高床住宅を問題として、地震時の被害を懸念する報告会が開かれていました。
積雪時に大地震が起こった場合、「危ない」という警告を出していたのです。

その4~5年後、新潟県中越地震が発生。多積雪地域を震度6、7の大地震が襲いましたが、幸か不幸か10月だったため、まだ雪が降り積もる前だったので、想定したほど高床住宅に被害はありませんでした。
「雪国の高床は強かった」
などと、楽観していたようでしたが、これが3ヶ月ほど後だったら、20年来の大雪に見舞われた中での大地震により大惨事になったでしょう・・・・
(当社では、高床住宅の場合、スラブ(床版)やRC梁を設けて、箱構造としていたので高床の被害は殆どありませんでした。)

現在は、混構造3階建ての構造計算の指針ができていて、高床住宅も木造3階建てとして扱われているので、一応、心配は無いでしょう。
(コストが高くつくので木造3階建てが多いようです)

・・・と言いたいところですが、前述の「雪下ろしの習慣のある地域」では「積雪1mまで減らせる」ことになっているので、構造計算書があれば、それをチェックしたほうが良いでしょう。

「剋雪住宅」の場合は2.0mや2.5mの積雪時に地震が来た場合も構造計算していますが、屋根鼻に雪庇対策をしなければなりません。上空から一気に雪庇が落下すると下の通行人や構造物に被害が及ぶためです。(広場の一軒家の場合は別です)
落雪防止の柵等を取り付けておくのが一般のようで、これで「剋雪住宅」かそうでないかの見分けが付きます。
そういった対策がない場合は、まず「雪下ろし」を前提とします。
積雪をどこまで耐えられるか・・・雪国の建物は我慢強い・・・
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