住みこみ*著書:『住みこみ』(2007年/ラトルズ刊) 戸田家の一年を写真とエッセイで綴った本のタイトルです。

人の暮らしは時間と共に変化します。それを調整しつつ自在に手を入れられる、ゆるやかな設計を心がけています。

猩猩紅葉

2009-04-23 09:10:51 | 
(09/4/23 小川エリア)
秋の紅葉ではありません。正真正銘4月です。我家の春はこの猩猩紅葉(ショウジョウモミジ)のちょっと紫がかった紅色で始まります。

この家が出来てから8年目。今まで住んでた築約60年の木造平屋建てを取り壊し建てたものですが、そこから唯一いっしょに引っ越して来たのがこの樹だったのです。新築当時、工事会社よりスケルトンに近い状態で引き渡してもらい、出来るところは自分達でやると決め、友人にも手伝ってもらいながら壁塗りに明け暮れる毎日でした。仕事の合間を縫って行う作業も早2ヶ月、多少飽きてしまってちょっと逃げ出したい気持ちと、がんばった自分達へのもご褒美を兼ねて2.3日旅行をした。8年前の春のちょうど今ごろでしたが、旅行から帰り家の中に入ると、壁塗り工事中の居間の、その養生テープ越しの中庭が真っ赤に染まっていて、一瞬燃えているかと思うほどで、きれいというよりかもむしろ「怖い」という感覚さえありました。
「猩々」を辞書などひいてみると、舟幽霊だったり、精霊だったりにたとえられてるとかいてある。あながち「怖い」という感覚は外れていないんだなと思った。ついお酒を飲みたくなる気持ちも・・・である。

それから8年間、我家の春を色で表現するとすればこの赤もそのひとつだと思う。

先日、ある方とお話していて、気が付いた事があった。それぞれの人・それぞれの家庭にそれぞれの「歳時記」があるんじゃないかという事だ。それが色だったり、香りだったり、音だったり・・・そんなものを身近に探してみたい。このブログを書いてみようと思うきっかけになった。

この樹の話に戻り、「猩猩」の語源は中国の伝説上の動物。またそれを題材にした各種の芸能における演目。さらにそこから転じて、大酒家や赤いものを指すこともある。「猩猩」は日本人の生活文化に深く根を降ろしている。その関連語彙は、同じく古くから親しまれた「河童」以上かも知れないといわれる。『広辞苑(岩波書店)』には、「人に似て体は狗の如く、声は小児の如く、毛長く、その毛色は朱紅色で、面貌は人に類し、よく人語を解し、酒を好む」とある

赤褐色は猩猩の血で染めた色と言われ、「猩々緋」と呼ばれた。赤褐色の葉や花を持つ「猩々木」「猩々草」、鮮血色の美しい「猩々蝦」などの派生語がある。更に、酒や甘味に群がる習性のある蝿は「猩々蝿」と名付けられ、酒豪の人を赤ら顔にたとえて「猩々」と呼ぶ風習もある。他にも赤みの強い色彩を持つ生物には、しばしばショウジョウ……の名が付されることがある。

『ウィキペディア(Wikipedia)』他

猩猩紅葉(ショウジョウモミジ)
カエデの園芸種オオモミジ系。成長が早く、繁殖も容易。