住みこみ*著書:『住みこみ』(2007年/ラトルズ刊) 戸田家の一年を写真とエッセイで綴った本のタイトルです。

人の暮らしは時間と共に変化します。それを調整しつつ自在に手を入れられる、ゆるやかな設計を心がけています。

秋の草木(花編)

2009-11-09 20:09:03 | 
(10/16)
沼エリアに咲いている(た)野菊です。
派手さは全くなく、山野や路傍に普通にありそうな花であるが、かといって荒っぽさや、がさつさは無く、可憐でもって品がある。これぞ”日本の野草”といった感じ。。つまり、私はかなり気に入っている。 関東近辺で一般に「野菊」と呼ばれるものは、カントウヨメナ、ノコンギク、ユウガギクがあるらしいが、図鑑を見ていると野紺菊(ノコンギク)のように思える。でもこの花、どうして家に来たんだっけ??

野紺菊(ノコンギク):キク科シオン属の多年草

(10/27)
先日我家で開催した、[緑と共に暮らす家]のオープンハウスに駆けつけてくれた、デザインプロデ゛ューサーの萩原修さんのお母さんに、去年の夏だったか?株分けしてもらった、杜鵑草(ホトトギス)。ホトトギスというと鳥を思い出されるかもしれませんが、この名前は花びらにある紫色の斑紋がホトトギス(小鳥)の胸の斑紋と似ていることから、付けられた名前とされている。シュウさんのお母さんによると、原種のホトトギスらしい。図鑑で調べてみると”山路の杜鵑草”(ヤマジノホトトギス)によく似ている。小さいながら可憐な花。

ヤマジノホトトギス:(ユリ科ホトトギス属)ホトトギスは花被片(花びらとがくが区別がつかないものの一片)が斜めにひらいていますがヤマジノホトトギスは平らに開いています。紫色の斑点が特徴。

(10/16)
小川エリア(中庭)に咲いてる、筑紫岩沙参 (ツクシイワシャジン)です。ただし、これは鉢(といっても、空き缶に水抜きし穴開けた簡素なもの)植え。実は岩沙参の地植えは、過去何度か挑戦したものの、ことごとく失敗。さすがに”地植え恐怖症”状態なのである。
1cmぐらいの小さな花ですが、その特徴的な形は遠くからも目立ちます。薄紫色の花は何とも惹かれます。いつかは中庭で群生、しかも地植えを夢見ていますが、10年早いか。。。

筑紫岩沙参 (つくしいわしゃじん) :Adenophora hatsushimae Adenophora : 桔梗科ツリガネニンジン属
Adenophora(アデノフォーラ)は、ギリシャ語の「adenos(腺)+phoreo(有する)」が語源。
植物全体に乳液を出す腺細胞があるところから。

(10/23)
最後にちょっと関係ありませんが、沼エリアのビオトープ(トンボ池)が、自分達で言うのはなんですが、かなりいい感じになってます。妻には”死の池”となじられた(笑)が、ご覧の通り、買ってきためだかも生き生きと泳いでいる。めだかって不思議なんだが、ビニールから放した瞬間から、群れで上流に向かって遡上を試みているようだった。ただし、この池に本当にヤゴが来てくれたら、このめだかたちは”餌”になっちゃうのですが・・・

=戸田晃建築設計事務所=


夫婦

2009-11-09 17:16:15 | 家族
11月7日 立冬 暦上の冬。この日から立春の前日までが冬。
そして、72候 第55候 山茶始開(さんちゃはじめてひらく) 山茶はサザンカのこと。


立冬とは言え、とても暖かいこの日、従兄弟から結婚したと連絡を受け、そして是非お披露目したいという事で、久しぶりの結婚式に出てきました。

1572年12月、三方原合戦の折、武田軍に追われた家康が、社前の楠の洞穴に隠れて武運を祈願した際、楠の上に瑞雲が立ち上り、神霊が白馬に跨り浜松城方面に飛び立ったといわれ、それを見た家康は武運を確信したといわれる「雲立の楠」が現存している浜松八幡宮での挙式でした。


神前での挙式。神主さんが、「夫婦の道を守り、幾久しく・・・」と祝詞をあげている。う~ん。はたしてうちは”夫婦の道”を守れているのだろうか?そもそも”夫婦の道”ってどんなんだろう?


厳粛な中にも、建物も丁寧に使いつづけられている、暖かみ みたいなものを感じる場所でした。
披露宴の中、友人のクイズで、「相手より自分の方がより愛している!」「願いはもっと愛して!」との答え。
も~勝手にして!!(笑) おめでとうね!

=戸田晃建築設計事務所=


住処

2009-11-05 02:16:29 | 建築
(伊藤豊雄氏 「SUMIKA パビリオン」)

遅ればせながら、少し前に話題になった「SUMIKA プロジェクト」の一環で4人の建築家が”住処”について考えた作品群を見学に、宇都宮まで行ってきました。

まずは伊藤豊雄氏の「SUMIKA パビリオン」
集成材を主体とした枝葉を広げたような構造体は、昨日の多摩美の図書館以上に林を感じた。木の下で休んでいるような気持ちにさせてくれる。敷地内の既存の山桜が咲く頃は、どんなにか気持ちのよい事なのだろう。
構造の解析は圧巻。





「SUMIKA パビリオン」から車で5分ぐらいのところにある、西沢大良氏作品「宇都宮ハウス」。
鋼管杭の上に直接屋根を載せたような構造。あたかも屋根が浮いているような軽快感がある。扉で出来ている外壁を全て開けると、外にいるような錯覚に陥いる。全面トップライトといってもよい屋根からは、お日様の光や動きがつぶさに感じ取れる仕組み。



そして、「宇都宮ハウス」の隣りにある藤本壮介氏の作品「House Before House」
「洞窟や木陰が生み出す空間の連なりが住処となったイメージ・・・」との事。増殖し、積層されていったような”スキマ”や”余白”が面白い。ただし、作者によってしっかりと計算され尽くしているところが、何ともこころにくい。そして、私はこの空間の中で”プチ迷子”になった。。。こちらは何とも情けない。





最後にそこから歩いて3分ぐらいの所にある、藤森照信氏の「コールハウス」
こちらは藤森ワールド独走状態!「未来の住処」の解釈が”洞窟”であるところが何だか嬉しい。
茶室には、梯子を登ってたどり着くという仕掛け。更には子供部屋へはほぼ直角と(大人にとっては)登り辛い梯子。”上へ登る”という(普段はあたりまえのような)行為が、再認識させられた作品。縄文団(とも言うべき人たち)の手仕事も特徴であった。



金物類は藤森氏の手づくりのモノがある。プリミティブな素材、仕組みは腑に落ちた。



左/秋野菜のフラン 中/喜連川あさのポークのロースト、白隠元豆の煮込み 右/ババロア 洋梨のムース
”オトワ レストラン”の食事をいただきながら、伊藤氏の空間を満喫できました。

=戸田晃建築設計事務所=

望月

2009-11-04 01:29:33 | 八王子
(タマビの芸祭)

11月3日火曜日 文化の日 大潮 望月

「望月」とは月を眺めて楽しむ中国の風習らしく、日本ではススキとともに、月見団子とその年に収穫した芋や栗や枝豆などを供えますが、中国ではこの頃月餅を供え、月を愛でるようです。日本の兎の餅つきの伝説は、この望月(もちづき)が転訛(てんか)したともいわれているらしい。平安時代(の貴族)は十五夜(中秋の名月・芋名月)と一月遅い、10月30日の十三夜(栗名月)の2回、観月していたらしい。。

どれだけ月を観ているのですか?風流ですな~

今日の八王子の鑓水(ヤリミズ)地方?の月は強い北風のせいか、空気もきりりと澄んでいて綺麗な月でした。

鑓水とは八王子と横浜を結ぶ「浜街道」通称「絹の道」の要所のひとつ。かつては横浜港に向けて、絹の材料である生糸を運ぶ一躍を担ったのが八王子・鑓水地方の商人たちだった。その日本版”シルクロード”の面影を残すこの場所に立つのが、今日家族と行った多摩美術大学八王子キャンパスです。

ハァ~長い前置き。。。

そして、多摩美術大学八王子キャンパス芸術祭のテーマは「たまびZOO」  だったらしい・・

という事で久しぶりの美大の学園祭に行ってきました。門をくぐると奇抜な衣装と、不思議な動き(と娘の目には写ったらしい)の学生たち、そしてその中で平然とした振る舞いの両親に、娘は少々引き気味。。。




今回の(私の)目的のひとつが、伊藤豊雄氏設計のこの図書館。同じ八王子にいながら、やっと来る事が出来ました。建物内部は、その立地条件である岡のような、なだらかな斜面がそのまま建物内部に入り込んだように傾斜していて、そのコンクリートでありながら軽快感がある構造体と相まって、コンクリートの雑木林を歩いているような、ちょっと不思議な感覚であった。 



最初は引き気味だった娘も、大変気に入ったらしく、目を輝かせ、食い入るように作品を見ていた。そして入試に算数(数学)がないと聞いて、さらに目を輝かせたのを父は見逃さなかった。。。娘よ!今、算数しなくていいって事じゃあないよ!



大学は違うが美大出身の妻と、多摩美OBで途中合流した我々の友人エミ嬢は、その熱気と人ごみの中に30年前の自分達の姿を探しているようだった。そして、いまや母親の年代になって、改めて学生時代を振り返ってみると、反省する事しきり・・・の話に移っていたようだった。

そして3日間の最後を締めくくる長月の花火。時間は15分と決して長いとはいえないが、それらが全て寄付金っでまかなっている事と、何度か訪れた存続の危機を乗り換えての開催 と、エミ嬢に聞いたとき、ちょっと感慨深いものを感じ、充実した濃い15分だった。

「望月」に花火を愛でる。。。

=戸田晃建築設計事務所=

名言

2009-11-02 21:56:11 | 建築
先日おこなわれました[緑と共に暮らす家]オープンハウスの様子をHPにアップしました。

そしてこちらは昨日おこなわれました「南大沢・南風の家」住宅見学会の様子です。



行楽シーズンの日曜日にもかかわらずたくさんの方がおいでくださりました。ありがたい事です。
ひっきりなしの来場者に対し、案内やら説明やらで食事をとる事が出来ず、出前のピザにありついたのが午後4時過ぎ。そして施主ご夫妻もなぜか同じ時間の食事。。。(写真上)
 そう、一緒説明して頂き、更には施主側から見た「家を建てる」事についていろいろとお話していただいたのでした。

しかも、明日「引越し」にも関わらず、最初から最後までご参加いただいちゃいました。本当にありがたい事です。

施主ご夫妻が一緒の説明と、今までに経験がないだけに、話がどんな方向に進むのか全く予想がつかなかったのですが、始まってみると何とも楽しい。みんなでけらけら笑っていたりする。「ふ~ん、そうなんだ!」と感心しちゃったりもする。そして、図らずもぐっときちゃったりもする。

「オレ、ここ(玄関)で寝たい」

「この凸にマヨネーズつけて食べたい」

「かっこいい!ホントに自分ちなんだよね。どうしよう」

ただいま設計が進行中のお宅の施主ご家族も来てくれたのですが、

「うらやましいです。私達はもう(設計も工事も)終わっちゃったんです」

そして

「家をつくる過程ってこんなに楽しいなんて!」

「あれこれ考え、倒れそうなだんなを見て、いっしょに倒れようと思った」

さらには、

「完成までの期間は半年じゃない。オレにとっては(この人に設計してもらおうと決めてからの)4年と半年なんだ!」

と、名言ぞろいの施主ご夫妻の言葉。こんなに楽しんでもらえるなんて。編集家・古田さんも言ってたとおり、設計屋冥利に尽きるってものです。



このカウンターを中心にどんな会話が飛び交い、料理が運ばれ、物語が生まれるのでしょう。



みなさま、いろいろありがとうございました。
この住宅見学会をもって”現場”は終りです。明日からはやっと”住まい”になるね。。。よかったね~君。

=戸田晃建築設計事務所=