本代節約のために中古本屋から買っていて 文庫本が病院などに持ち運びやすいので 皆さんとは遅ればせながらの読書となるかもしれません・・
乃南アサさんは多彩な作品を多数発表されていて作品がテレビや映画にもなり 皆さんの方が良くご存じのことと思います・・
今回「水曜日の凱歌」という約700ページの小説を読みました・・
芸術選奨文部科学大臣賞受賞作です
国家と人権 戦争と平和といったテーマに切り込んだ 社会性と娯楽性を兼ね備えた大作である
思春期の少女の視点からこうした問題を取り上げ 物語の形で時代を浮かび上がらせたものはかつてなく 日本の現代史を踏まえ 扱いにくいテーマに誠実に向き合い 丁寧に掘り下げてきた作家的姿勢も高く評価された
占領下の日本 運命に翻弄される女たちを14歳の少女の目線で語られています
戦後のRAAについてはこの本を読んで知ることができました
RAAとは特殊慰安施設協会
Recreation and Amusement Associationのことだそうで日本が進駐軍の性暴力に備えるために女性を募り 表向きはダンスホールなどを装いながら売春や娯楽を提供した公的慰安所で実在の施設です
小説の中では性被害の防波堤とあります
戦争や空襲で家族や家を失って困窮状態にあった女たちは 生きていくために募集に応じるしかなかった者もいた
都内だけでも25ヶ所 やがて日本各地に広がり 全部で40ヶ所にできた
募集に応じた女性は東京だけで1400人 全国でも4000人に及んだという
一日平均30回 多い人は50回の性の相手をしたという証言も残っているとか・・
やがて性病が蔓延して廃止されたそうです
詳しく知りたい方は検索してみてください
本の中の女の叫びです
「あたしらをイヌ畜生だとでも思っていやがるのかっ!
パンパンだろうが何だろうが あたしたちは人間なんだよ
この日本に生まれた日本の女なんだよ
おまえら男たちがだらしないばっかりにこうしてあたしらが後始末をしなけりゃならない
ことになったんじゃないか」
失ったものはもう二度と元には戻らない 戦争さえなかったら・・・・・・・