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江戸時代の「石(こく)」の意味は?-5-

2013-09-29 06:32:53 | 社会科こぼれ話
 「1石」とは、容積の単位であり、一般には米の容積(180リットル=2.5俵)ということが分かりましたね。
 また、重さや面積、通貨の単位のもとになっていることも分かりました。

 これをふまえて、武士の給料について考えてみましょう。


 幕府に仕える旗本や御家人は、大きく2通りの給与制でした。

 一つは、知行(ちぎょう)取りで「石」で表示されます。

 もう一つは、蔵米(くらまい)取りで「俵」で表示されました。


 「知行取り」は、一定の知行地(領地)を割り当てられ、そこから年貢を取り立てて俸禄にしました。

 山内一豊(写真)は千代と結婚し、400石を与えられていましたが、この400石が知行地です。
 これは、面積ではなく、400石の米が獲れる田(400反)を含む土地全体を指します。

 知行取りは、その領地についての警察権・裁判権をもっていました。
 また、領地から人夫を徴用でき、野菜や特産物に税をかけることが出来ました。

 400石といっても、4公6民の場合は4割が年貢なので、160石(400俵)が実収入です。
 ただし、領地を支配するには家来が必要となります。家来とその家族を養わないといけません。
 また、米の収穫高は天候に左右され、また、知行所からの米の運搬費などの出費もありました。


 これに対して「蔵米取り」は米の現物で支給されました。
 蔵米取り400俵というと、その400俵を年3回に分けてもらっていました。

 これで分かると思いますが、知行取り400石と蔵米取り400俵とでは、実収入が変わらないことが分かります。
 実際には、これらに、扶持米という扶養手当みたいなものもつきました。

 ただし、いずれにしても物価は上がり、米の価値は下がっていくので、これらの武士はだんだん貧乏になっていきます。

 まとめると、「石」とは、米の容積であり、領地の広さを指すのです。

 でも、まだあります。次回に続きます。

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