【米国】
ウォール・ストリート。ジャーナルhttp://jp.wsj.com/
【オピニオン】福島原発事故の長期的影響
日本の福島第1原子力発電所の危機が続くなか、遠い日本の原発付近の住民、また米国民の、被曝(ひばく)に対する懸念はどれほどのものだろうか。そして、われわれは、放射線被曝の長期的影響についてどれだけ知っているのだろうか。
Reuters
福島原発近くの避難所での放射線検査
放射線に関する危険性は、原発から半径20キロメートルの避難区域のすぐ外側では小さく、日本の他の地域では極めて小さい。米国など海外においてはさらに微小であると、われわれは自信を持って言うことができる。明らかに、放射線の危険性は、(目的地が東京や京都であっても)われわれの旅行の計画を変更するほどのものではなく、避難区域に近い場所ですら水や食べ物の摂取を控えなければならないほどではない。
日本のこの状況の第一段階は、ゆっくりと終わりに向かいつつある。大量の放射性物質の空気中への放出は過ぎたもようで、原発近くの空気中の放射線量は3週間で着実に下がってきたことがわかっている。この間、風が沖に向かって吹き続け、放出物の大半が太平洋に放たれたことは極めて幸運だった。その結果、福島とその周辺地域の放射線量は低く、遠く離れた東京、さらに遠い地域では非常に低くなっている。
これは何を意味するのか?放射線被曝後の長期にわたる懸念とは、がんである。放射線量が高ければリスクは高まり、低ければそれだけリスクも低くなる。極めて低い放射線量なら、リスクはさらに低下する。風は、本当に、われわれの友人だった。
しかし、事故の第二段階――長期間にわたり続き、より深刻な問題となる可能性のある――は、今、始まろうとしている。われわれが最も懸念する2つの放射性同位元素は、ヨウ素とセシウムだ。放射性ヨウ素は半減期がわずか8日なため、放出された放射性ヨウ素のほとんどすべてが2、3カ月で消える。
放射性セシウムとなると、話は別だ。半減期が30年と長い。つまり、福島原発から放出されたものが何十年もわれわれの身の回りにあるということだ。この放射性セシウムのほとんどの行き着く先は太平洋で、2万京ガロンの海水でかなり薄まるだろう。しかし、放出物の一部は乾いた土の上に、私たちの食物や水に残る――そして、極めて低いレベルで、文字通り何世代もそこにとどまる。
これは憂慮すべきことなのか?これについては、わかっていることとわかっていないことがある。わかっていることは、この長期被曝により個人ががんになるリスクが極めて小さいことだ。ほとんどの人が人生のある時点でがんになるリスクは約40%で、食料中の放射性セシウムからの放射線量が、個人のがんのリスクを大幅に高めることはない。
しかし、このリスクについて、別な観点――各個人ではなく、人口全体の観点――からみることが可能であり、またそうすべきである。少数の人々にわずかなリスクの増加はある。しかし、それとは別に、数百万、数十億という人のリスクをわずかに増やす可能性があるのだ。
宝くじの購入を考えてみよう。宝くじを買った他の数百万人と同じように、あなたが当選する確率は極めて少ない。しかし、宝くじを買った数百万の人々の中には、数名の当選者が必ずいる。誰が当選するのか分からないだけだ。これと同様に、極めて低い放射線を浴びた数多くの人々に、がんの診断が下るリスクが増えるのだろうか。その可能性はあるが、はっきりとしたことはわかっていない。
なぜ、もっと明確なことが言えないのか。われわれは、まさに第二次世界大戦で日本に原爆が投下されて以来、長い間、放射線の健康被害について研究を重ねてきた。しかし、これらは難しい科学的質問だ。また、低放射線量のリスクに関する基礎科学的根拠について、米エネルギー省で行われている唯一の研究プログラムが、米予算交渉で大幅な支出削減に直面、あるいは存続の危機にさえ立たされていることも、何の助けにもならない。
これは本当に問題なのか。もちろんだ。こうした不透明感すべてが、西側諸国の原発の将来についての討論の枠組み作りを困難にする。近いうちに、多くの老朽化した原子炉の交換を余儀なくされるか、原子力発電と決別しなければならなくなる。こうした問題のほかにも、CTスキャンなど医療画像診断システムの急速な増加や空港での新しいX線スキャナーにどう対応すべきかについて、合理的な決定を下すためには、われわれは低放射線量のリスクをもっと確実に理解する必要がある。
それを怠った場合、「放射線は例外なく危険」や「低い放射線量ならリスクはない」といった極端な意見を中心に議論が展開されてしまう。どちらの意見も真実ではない。
UPDATE:福島原発事故の評価を最悪の「レベル7」に―チェルノブイリに並ぶ
経済産業省の原子力安全・保安院は12日、福島第1原子力発電所の事故の評価を、国際基準に従って最悪の「レベル7」に引き上げることを決めた。健康や環境に影響を及ぼす大量の放射性物質が放出されているため。これまでレベル7とされた事故は、1986年に旧ソ連で起きたチェルノブイリ原発だけだった。
スライドショーを見る
Asahi Shimbun/Reuters
3月11日の地震で原発施設で事故が発生し、日本政府は当初、避難地域を半径3キロ以内と定めた。写真は、防護マスクをつけて、福島第1原発近くの住民の避難を誘導する警察官 (3月12日)
事故の評価は、原子力安全・保安院が、国際原子力機関(IAEA)が定めた国際的な基準である国際原子力事象評価尺度(INES)に基づいて行うもので、放射性物質の量などにより「レベル0」から「レベル7」まで段階付けている。
政府は3月18日に、福島原発事故の評価を暫定的に、1978年の米スリーマイル島原発事故と同等の「レベル5」としていた。事故の重大性の評価は、放射性物質の量のほか、炉心の損傷の度合い、被害範囲の広さや期間などを勘案し総合的に判断される。
保安院は、放出された放射性物質の量について、ヨウ素131とセシウム137を合わせて37万テラベクレル、一方、原子力安全委員会では63万テラベクレルと推定している。レベル7と判定される要件となる放射性物質の漏出量は数万テラベクレルとされている。ただしチェルノブイリの事故と比べると、これまでの漏出量は1割程度とみられるという。
政府は11日、福島第1原発から半径20キロメートル以上で、放射線量が年間20ミリシーベルトになる可能性のある地域を「計画的避難区域」とし、1カ月以内に避難するよう求めることを決めた。このことは当局が放射線の影響が当初予想されていたより長期にわたるとみていることを意味する。
福島第1原発、余震で目立った脆弱さ
【英国】
ロイター http://jp.reuters.com/
焦点:地震大国日本、首都直下型の防災計画を見直す必要
東京をマグニチュード(M)7.3の地震が襲った場合、死者数は1万人を超え、数十万人が負傷し、倒壊建物数は100万戸、避難民は数百万人に上る。そんなシナリオが向こう30年以内に現実となる確率について、専門家は70%と予測する。
東京都は過去数十年にわたり、そうした規模の地震を想定した防災対策を検討してきた。また日本の建築物の耐震基準は、世界的に見ても厳しいことで知られる。しかし、M9.0の地震が発生し、想定を超える大津波が壊滅的な被害をもたらした東日本大震災から1カ月がたった今、一部では、従来の想定を見直すべきとの声が上がっている。
3月11日に太平洋側の東北地方を巨大地震が襲ったとき、震源地から約300キロ離れた東京でも、大規模地震が発生したらどうなるかをわずかに垣間見ることはできた。電車が止まって多くの帰宅困難者が発生し、電話はつながらない状況となり、電力不足、パンや牛乳などの買い占めが起きた。
しかし、東京は防災計画を見直す必要があるという点で専門家は一致している。それには、福島第1原子力発電所より都心に近い原発への対応方法も含まれる。
東京大学生産技術研究所の都市基盤安全工学国際研究センター(ICUS)の加藤孝明准教授は「さらに大きい地震が東京を襲った場合、われわれは大惨事に直面するだろう」と指摘。M8クラスの地震が起きても被害を最小限に抑えられるよう、政策を見直すべきだとの考えを示した。
首都圏には3500万人が生活し、日本経済の約3分の1が集中しているため、M7.3の地震でも被害は甚大なものとなる。内閣府はM7クラスの東京直下型地震が起きた場合の被害について、最大で死者数は約1万1000人、負傷者数は約21万人、避難者は約700万人となり、被害額は100兆円超と想定している。
首都直下型の地震が起きた場合、復興コストは日本経済の大きな足かせとなる。
JPモルガン証券のイェスパー・コール株式調査部長は「日本には(東日本大震災)の復興をまかなうのに十分な貯蓄余剰がある」とした上で、東京で巨大地震が発生した場合には、復興費用は海外からの資金に依存せざるを得なくなると述べた。
中部電力(9502.T: 株価, ニュース, レポート)浜岡原発など、福島原発より首都圏に近い原発で事故が発生した場合にどう対応するかも大きな問題だ。加藤准教授は「全域が放射性物質で汚染されたケースへの計画はない。人々は逃げたがるだろうが、一斉には無理だ。もしそうなったときは、戦時中そうだったように、子どもたちを避難させなくてはならないだろう」と述べた。
首都圏での大規模災害への懸念は、菅政権内で影の政府構想を検討する契機にもなっている。内閣官房参与を務める法政大学の五十嵐敬喜教授は、ロイターに対し「政府機能の分散もしくは西日本でのバックアップ体制構築を考える必要がある」と語った。
ただ、ばく大なコストを考えると、それは現実的ではないとの声もある。東京を拠点とする企業の間には、東日本大震災を受けて事業継続計画(BCP)を見直す動きもあるが、経済活動の大きな分散は難しいだろう。
国際大都市地震防災機構(EMI)のフォアド・ベンドミラッド会長は「東京などの都市を成長させる原動力は何か、なぜ企業がリスクをとるかを理解しなくてはならない。そこには意思決定プロセスがあるからだ」と指摘。「結局のところ、リスクを背負うのはビジネスの一部ということだろう。日本には地震の心配がない場所などないのだ」と語っている。
学校カウンセラー大幅増へ
4:53am
百カ所超の指定避難所被災
4:30am
2号機汚染水の移送開始
12:51am
原子力安全委がレベル7相当認識
2011年 04月 12日 22:07 JST
菅直人首相は12日の記者会見で、東日本大震災に伴う福島第1原発事故の収束に向けた見通しを東京電力が近く示すと明らかにした。同時に、原発事故被害者に関し「最後の最後までしっかり支援することを約束する。第一義的には東電の責任だが、適切な補償が行われるよう政府が責任を持たなければならない」と明言した。復旧・復興に向けた11年度補正予算案や関連法案に触れ「野党にも、被災地復興の青写真をつくる段階から参加してほしい」と述べ、野党に協力を呼び掛けた。首相は、東電に事故の見通しを示すよう指示したと説明。「原子炉や使用済み核燃料プールをコントロール可能な状態に戻したい」と強調した。
東電、原発事故で近く収束見通し
2011年 04月 12日 21:49 JST
死亡・不明2万7786人
2011年 04月 12日 21:14 JST
文科省、授業料減免を6千人拡充
2011年 04月 12日 20:56 JST
レベル7で輸入規制の拡大懸念
2011年 04月 12日 20:36 JST
宿泊客キャンセル56万人超
2011年 04月 12日 20:18 JST
福島原発は安定化の方向、復興に向け6月にも青写真=首相
2011年 04月 12日 20:03 JST
5強以上の余震確率10%
2011年 04月 12日 19:43 JST
首相、辞任を否定
2011年 04月 12日 18:47 JST
バレー=Wリーグ国内開催中止、放射能懸念で対戦国拒否
2011年 04月 12日 18:28 JST
震災で釈放の容疑者ら処分
2011年 04月 12日 18:24 JST
東京ディズニーランド15日再開
2011年 04月 12日 18:01 JST
国交相、液状化被害の救済必要
2011年 04月 12日 17:55 JST
災害復旧など公共事業に1.3兆円=1次補正予算案の概要
2011年 04月 12日 17:48 JST
福島、茨城で震度6弱
2011年 04月 12日 17:25 JST
長野・栄村で震度4
2011年 04月 12日 17:10 JST
韓国で「放射能雨」不安広がる、情報公開求めデモも
2011年 04月 12日 15:47 JST
東京電力(9501.T: 株価, ニュース, レポート)福島第1原子力発電所からの放射能漏れを世界が懸念するなか、韓国の首都ソウルでは12日、政府に対して「放射能雨」に関する情報を早急に公開するよう求めるデモが行われた。
韓国では先週、一部の学校が放射性物質の混じった雨を懸念して臨時休校措置を取るなど、「放射能雨」に対する不安が広がっている。黄色いレインコート姿のデモ参加者らは、「呼吸するのも不安だ。放射能に関するすべての情報を明らかにせよ」と書かれたプラカードを掲げ、政府に情報公開を求めた。
日本の経済産業省原子力安全・保安院はこの日、福島第1原発の事故について、国際評価尺度(INES)の暫定評価で最も深刻な「レベル7」に引き上げると発表した。「レベル7」はチェルノブイリ事故と同レベル。これまでは「レベル5」としていた。
また、東京電力の幹部は同日の会見で、放射性物質の漏れは止められておらず、最終的な放射性物質の放出量はチェルノブイリを上回るかもしれないとの懸念を持っていると述べた。
DyDo、震災での物理的損害額は約9億円の見通し
2011年 04月 12日 15:40 JST
震災の景気への影響、不確実性大きいと考えている=日銀総裁
2011年 04月 12日 15:39 JST
中銀総裁がハイパーインフレの可能性に言及は不適切=日銀総裁
2011年 04月 12日 15:00 JST
浦安、投開票拒否で当選なし確定
2011年 04月 12日 14:25 JST
震災の死亡・不明2万7493人
2011年 04月 12日 14:16 JST
M5以上の余震400回超
2011年 04月 12日 14:15 JST
被災地金融機関向け低利融資、風評リスクなどに備え実施=日銀総裁
2011年 04月 12日 14:02 JST
各市場で調整ムード広がる、日本の原発問題懸念されリスク回避
2011年 04月 12日 13:48 JST
福島原発事故、最悪のレベル7
2011年 04月 12日 13:39 JST
国債の消化環境は維持される、非連続的に変化も=日銀総裁
2011年 04月 12日 13:27 JST
放射性物質の放出量がチェルノブイリ超える懸念=東電
2011年 04月 12日 12:19 JST
3月のビール系飲料出荷、震災の影響で前年比10.9%減
2011年 04月 12日 12:18 JST
原発「安全神話崩れた」
2011年 04月 12日 11:34 JST
総務省、住所地の震災情報提供へ
2011年 04月 12日 11:22 JST
大震災が経済に与える影響、当初予想より打撃大きいのでは=経財相
2011年 04月 12日 11:06 JST
震災受け不確実性「大きく高まる」、緩和強化が適当=3月日銀会合
2011年 04月 12日 10:53 JST
復旧・復興に向けた取り組みを具体的に説明=国際会議で財務相
2011年 04月 12日 10:46 JST
米フォード、東日本大震災の影響で業績に打撃も
2011年 04月 12日 08:35 JST
【スイス】
スイス・インフォhttp://www.swissinfo.ch/jpn/index.html
若者から発信、反原発へ大きなうねり
福島第一原発事故は、スイスにもショックを与え原発に対する議論を巻き起こした。特に若者たちの反響は大きく、反原発運動が盛り上がっている。
ベルンの連邦議事堂前の広場でも、福島と同型のミューレベルク原発運営会社「 BKWエネルギー ( BKW energy ) 」前でも、若者が集会や泊まり込みの反原発運動を展開。また、フェイスブックなどでこうした抗議運動を伝達する動きも新しい現象となっている。
スピーチの合間にダンスや歌
スイスには原子力発電所が5カ所あり(それぞれ1基の原子炉を持つ)、消費電力の4割がこうした原発で作られている。福島の事故直後にドリス・ロイタルト環境・エネルギー相は、新しい原発建設計画に一時的停止 ( モラトリアム ) を発動した。
しかし、反原発のうねりは大きくなる一方だ。4月6日にはおよそ1000人の若者を中心にした反原発集会がベルンの連邦議事堂前の広場で行われた。それは、大人が開催するものとは少し違う。急きょ作られたステージでは、学生や見習いの生徒たちがスピーチの合間にダンスや歌を披露するというリラックスしたものだ。
以下略
東電から「福島原発」分離=公的資金で清算会社-政府・民主案
【オーストラリア】
25Today オーストラリア
http://top.25today.com/
放射性ストロンチウムを検出=原発30キロ外、福島6市町村-文科省
チェルノブイリ級、先月には認識=レベル引き上げは求めず-安全委
【フィリピン】
日刊マニラ新聞
http://www.manila-shimbun.com/index.html
東日本大震災 [ 699字|2011.4.13 | 気象・災害 ]
比外務省、福島原発から100キロ圏内に在住する比人約2千人を退避させる方針
東京電力福島第1原発事故について、日本政府が原子力事故の国際評価尺度(INES)で最悪の「レベル7」に引き上げたことを受け、デルロサリオ外務長官代行は12日、首都圏パサイ市の外務省で記者会見し、同原発から半径100キロ圏内に在住する比人約2千人を17日から順次、比へ退避させる方針を明らかにした。日本政府はすでに、積算の放射線量が高い30キロを超える一部地域からも1カ月以内に住民の避難を求めており、比政府も早急な退避措置が必要と判断した。
以下略
ウォール・ストリート。ジャーナルhttp://jp.wsj.com/
【オピニオン】福島原発事故の長期的影響
日本の福島第1原子力発電所の危機が続くなか、遠い日本の原発付近の住民、また米国民の、被曝(ひばく)に対する懸念はどれほどのものだろうか。そして、われわれは、放射線被曝の長期的影響についてどれだけ知っているのだろうか。
Reuters
福島原発近くの避難所での放射線検査
放射線に関する危険性は、原発から半径20キロメートルの避難区域のすぐ外側では小さく、日本の他の地域では極めて小さい。米国など海外においてはさらに微小であると、われわれは自信を持って言うことができる。明らかに、放射線の危険性は、(目的地が東京や京都であっても)われわれの旅行の計画を変更するほどのものではなく、避難区域に近い場所ですら水や食べ物の摂取を控えなければならないほどではない。
日本のこの状況の第一段階は、ゆっくりと終わりに向かいつつある。大量の放射性物質の空気中への放出は過ぎたもようで、原発近くの空気中の放射線量は3週間で着実に下がってきたことがわかっている。この間、風が沖に向かって吹き続け、放出物の大半が太平洋に放たれたことは極めて幸運だった。その結果、福島とその周辺地域の放射線量は低く、遠く離れた東京、さらに遠い地域では非常に低くなっている。
これは何を意味するのか?放射線被曝後の長期にわたる懸念とは、がんである。放射線量が高ければリスクは高まり、低ければそれだけリスクも低くなる。極めて低い放射線量なら、リスクはさらに低下する。風は、本当に、われわれの友人だった。
しかし、事故の第二段階――長期間にわたり続き、より深刻な問題となる可能性のある――は、今、始まろうとしている。われわれが最も懸念する2つの放射性同位元素は、ヨウ素とセシウムだ。放射性ヨウ素は半減期がわずか8日なため、放出された放射性ヨウ素のほとんどすべてが2、3カ月で消える。
放射性セシウムとなると、話は別だ。半減期が30年と長い。つまり、福島原発から放出されたものが何十年もわれわれの身の回りにあるということだ。この放射性セシウムのほとんどの行き着く先は太平洋で、2万京ガロンの海水でかなり薄まるだろう。しかし、放出物の一部は乾いた土の上に、私たちの食物や水に残る――そして、極めて低いレベルで、文字通り何世代もそこにとどまる。
これは憂慮すべきことなのか?これについては、わかっていることとわかっていないことがある。わかっていることは、この長期被曝により個人ががんになるリスクが極めて小さいことだ。ほとんどの人が人生のある時点でがんになるリスクは約40%で、食料中の放射性セシウムからの放射線量が、個人のがんのリスクを大幅に高めることはない。
しかし、このリスクについて、別な観点――各個人ではなく、人口全体の観点――からみることが可能であり、またそうすべきである。少数の人々にわずかなリスクの増加はある。しかし、それとは別に、数百万、数十億という人のリスクをわずかに増やす可能性があるのだ。
宝くじの購入を考えてみよう。宝くじを買った他の数百万人と同じように、あなたが当選する確率は極めて少ない。しかし、宝くじを買った数百万の人々の中には、数名の当選者が必ずいる。誰が当選するのか分からないだけだ。これと同様に、極めて低い放射線を浴びた数多くの人々に、がんの診断が下るリスクが増えるのだろうか。その可能性はあるが、はっきりとしたことはわかっていない。
なぜ、もっと明確なことが言えないのか。われわれは、まさに第二次世界大戦で日本に原爆が投下されて以来、長い間、放射線の健康被害について研究を重ねてきた。しかし、これらは難しい科学的質問だ。また、低放射線量のリスクに関する基礎科学的根拠について、米エネルギー省で行われている唯一の研究プログラムが、米予算交渉で大幅な支出削減に直面、あるいは存続の危機にさえ立たされていることも、何の助けにもならない。
これは本当に問題なのか。もちろんだ。こうした不透明感すべてが、西側諸国の原発の将来についての討論の枠組み作りを困難にする。近いうちに、多くの老朽化した原子炉の交換を余儀なくされるか、原子力発電と決別しなければならなくなる。こうした問題のほかにも、CTスキャンなど医療画像診断システムの急速な増加や空港での新しいX線スキャナーにどう対応すべきかについて、合理的な決定を下すためには、われわれは低放射線量のリスクをもっと確実に理解する必要がある。
それを怠った場合、「放射線は例外なく危険」や「低い放射線量ならリスクはない」といった極端な意見を中心に議論が展開されてしまう。どちらの意見も真実ではない。
UPDATE:福島原発事故の評価を最悪の「レベル7」に―チェルノブイリに並ぶ
経済産業省の原子力安全・保安院は12日、福島第1原子力発電所の事故の評価を、国際基準に従って最悪の「レベル7」に引き上げることを決めた。健康や環境に影響を及ぼす大量の放射性物質が放出されているため。これまでレベル7とされた事故は、1986年に旧ソ連で起きたチェルノブイリ原発だけだった。
スライドショーを見る
Asahi Shimbun/Reuters
3月11日の地震で原発施設で事故が発生し、日本政府は当初、避難地域を半径3キロ以内と定めた。写真は、防護マスクをつけて、福島第1原発近くの住民の避難を誘導する警察官 (3月12日)
事故の評価は、原子力安全・保安院が、国際原子力機関(IAEA)が定めた国際的な基準である国際原子力事象評価尺度(INES)に基づいて行うもので、放射性物質の量などにより「レベル0」から「レベル7」まで段階付けている。
政府は3月18日に、福島原発事故の評価を暫定的に、1978年の米スリーマイル島原発事故と同等の「レベル5」としていた。事故の重大性の評価は、放射性物質の量のほか、炉心の損傷の度合い、被害範囲の広さや期間などを勘案し総合的に判断される。
保安院は、放出された放射性物質の量について、ヨウ素131とセシウム137を合わせて37万テラベクレル、一方、原子力安全委員会では63万テラベクレルと推定している。レベル7と判定される要件となる放射性物質の漏出量は数万テラベクレルとされている。ただしチェルノブイリの事故と比べると、これまでの漏出量は1割程度とみられるという。
政府は11日、福島第1原発から半径20キロメートル以上で、放射線量が年間20ミリシーベルトになる可能性のある地域を「計画的避難区域」とし、1カ月以内に避難するよう求めることを決めた。このことは当局が放射線の影響が当初予想されていたより長期にわたるとみていることを意味する。
福島第1原発、余震で目立った脆弱さ
【英国】
ロイター http://jp.reuters.com/
焦点:地震大国日本、首都直下型の防災計画を見直す必要
東京をマグニチュード(M)7.3の地震が襲った場合、死者数は1万人を超え、数十万人が負傷し、倒壊建物数は100万戸、避難民は数百万人に上る。そんなシナリオが向こう30年以内に現実となる確率について、専門家は70%と予測する。
東京都は過去数十年にわたり、そうした規模の地震を想定した防災対策を検討してきた。また日本の建築物の耐震基準は、世界的に見ても厳しいことで知られる。しかし、M9.0の地震が発生し、想定を超える大津波が壊滅的な被害をもたらした東日本大震災から1カ月がたった今、一部では、従来の想定を見直すべきとの声が上がっている。
3月11日に太平洋側の東北地方を巨大地震が襲ったとき、震源地から約300キロ離れた東京でも、大規模地震が発生したらどうなるかをわずかに垣間見ることはできた。電車が止まって多くの帰宅困難者が発生し、電話はつながらない状況となり、電力不足、パンや牛乳などの買い占めが起きた。
しかし、東京は防災計画を見直す必要があるという点で専門家は一致している。それには、福島第1原子力発電所より都心に近い原発への対応方法も含まれる。
東京大学生産技術研究所の都市基盤安全工学国際研究センター(ICUS)の加藤孝明准教授は「さらに大きい地震が東京を襲った場合、われわれは大惨事に直面するだろう」と指摘。M8クラスの地震が起きても被害を最小限に抑えられるよう、政策を見直すべきだとの考えを示した。
首都圏には3500万人が生活し、日本経済の約3分の1が集中しているため、M7.3の地震でも被害は甚大なものとなる。内閣府はM7クラスの東京直下型地震が起きた場合の被害について、最大で死者数は約1万1000人、負傷者数は約21万人、避難者は約700万人となり、被害額は100兆円超と想定している。
首都直下型の地震が起きた場合、復興コストは日本経済の大きな足かせとなる。
JPモルガン証券のイェスパー・コール株式調査部長は「日本には(東日本大震災)の復興をまかなうのに十分な貯蓄余剰がある」とした上で、東京で巨大地震が発生した場合には、復興費用は海外からの資金に依存せざるを得なくなると述べた。
中部電力(9502.T: 株価, ニュース, レポート)浜岡原発など、福島原発より首都圏に近い原発で事故が発生した場合にどう対応するかも大きな問題だ。加藤准教授は「全域が放射性物質で汚染されたケースへの計画はない。人々は逃げたがるだろうが、一斉には無理だ。もしそうなったときは、戦時中そうだったように、子どもたちを避難させなくてはならないだろう」と述べた。
首都圏での大規模災害への懸念は、菅政権内で影の政府構想を検討する契機にもなっている。内閣官房参与を務める法政大学の五十嵐敬喜教授は、ロイターに対し「政府機能の分散もしくは西日本でのバックアップ体制構築を考える必要がある」と語った。
ただ、ばく大なコストを考えると、それは現実的ではないとの声もある。東京を拠点とする企業の間には、東日本大震災を受けて事業継続計画(BCP)を見直す動きもあるが、経済活動の大きな分散は難しいだろう。
国際大都市地震防災機構(EMI)のフォアド・ベンドミラッド会長は「東京などの都市を成長させる原動力は何か、なぜ企業がリスクをとるかを理解しなくてはならない。そこには意思決定プロセスがあるからだ」と指摘。「結局のところ、リスクを背負うのはビジネスの一部ということだろう。日本には地震の心配がない場所などないのだ」と語っている。
学校カウンセラー大幅増へ
4:53am
百カ所超の指定避難所被災
4:30am
2号機汚染水の移送開始
12:51am
原子力安全委がレベル7相当認識
2011年 04月 12日 22:07 JST
菅直人首相は12日の記者会見で、東日本大震災に伴う福島第1原発事故の収束に向けた見通しを東京電力が近く示すと明らかにした。同時に、原発事故被害者に関し「最後の最後までしっかり支援することを約束する。第一義的には東電の責任だが、適切な補償が行われるよう政府が責任を持たなければならない」と明言した。復旧・復興に向けた11年度補正予算案や関連法案に触れ「野党にも、被災地復興の青写真をつくる段階から参加してほしい」と述べ、野党に協力を呼び掛けた。首相は、東電に事故の見通しを示すよう指示したと説明。「原子炉や使用済み核燃料プールをコントロール可能な状態に戻したい」と強調した。
東電、原発事故で近く収束見通し
2011年 04月 12日 21:49 JST
死亡・不明2万7786人
2011年 04月 12日 21:14 JST
文科省、授業料減免を6千人拡充
2011年 04月 12日 20:56 JST
レベル7で輸入規制の拡大懸念
2011年 04月 12日 20:36 JST
宿泊客キャンセル56万人超
2011年 04月 12日 20:18 JST
福島原発は安定化の方向、復興に向け6月にも青写真=首相
2011年 04月 12日 20:03 JST
5強以上の余震確率10%
2011年 04月 12日 19:43 JST
首相、辞任を否定
2011年 04月 12日 18:47 JST
バレー=Wリーグ国内開催中止、放射能懸念で対戦国拒否
2011年 04月 12日 18:28 JST
震災で釈放の容疑者ら処分
2011年 04月 12日 18:24 JST
東京ディズニーランド15日再開
2011年 04月 12日 18:01 JST
国交相、液状化被害の救済必要
2011年 04月 12日 17:55 JST
災害復旧など公共事業に1.3兆円=1次補正予算案の概要
2011年 04月 12日 17:48 JST
福島、茨城で震度6弱
2011年 04月 12日 17:25 JST
長野・栄村で震度4
2011年 04月 12日 17:10 JST
韓国で「放射能雨」不安広がる、情報公開求めデモも
2011年 04月 12日 15:47 JST
東京電力(9501.T: 株価, ニュース, レポート)福島第1原子力発電所からの放射能漏れを世界が懸念するなか、韓国の首都ソウルでは12日、政府に対して「放射能雨」に関する情報を早急に公開するよう求めるデモが行われた。
韓国では先週、一部の学校が放射性物質の混じった雨を懸念して臨時休校措置を取るなど、「放射能雨」に対する不安が広がっている。黄色いレインコート姿のデモ参加者らは、「呼吸するのも不安だ。放射能に関するすべての情報を明らかにせよ」と書かれたプラカードを掲げ、政府に情報公開を求めた。
日本の経済産業省原子力安全・保安院はこの日、福島第1原発の事故について、国際評価尺度(INES)の暫定評価で最も深刻な「レベル7」に引き上げると発表した。「レベル7」はチェルノブイリ事故と同レベル。これまでは「レベル5」としていた。
また、東京電力の幹部は同日の会見で、放射性物質の漏れは止められておらず、最終的な放射性物質の放出量はチェルノブイリを上回るかもしれないとの懸念を持っていると述べた。
DyDo、震災での物理的損害額は約9億円の見通し
2011年 04月 12日 15:40 JST
震災の景気への影響、不確実性大きいと考えている=日銀総裁
2011年 04月 12日 15:39 JST
中銀総裁がハイパーインフレの可能性に言及は不適切=日銀総裁
2011年 04月 12日 15:00 JST
浦安、投開票拒否で当選なし確定
2011年 04月 12日 14:25 JST
震災の死亡・不明2万7493人
2011年 04月 12日 14:16 JST
M5以上の余震400回超
2011年 04月 12日 14:15 JST
被災地金融機関向け低利融資、風評リスクなどに備え実施=日銀総裁
2011年 04月 12日 14:02 JST
各市場で調整ムード広がる、日本の原発問題懸念されリスク回避
2011年 04月 12日 13:48 JST
福島原発事故、最悪のレベル7
2011年 04月 12日 13:39 JST
国債の消化環境は維持される、非連続的に変化も=日銀総裁
2011年 04月 12日 13:27 JST
放射性物質の放出量がチェルノブイリ超える懸念=東電
2011年 04月 12日 12:19 JST
3月のビール系飲料出荷、震災の影響で前年比10.9%減
2011年 04月 12日 12:18 JST
原発「安全神話崩れた」
2011年 04月 12日 11:34 JST
総務省、住所地の震災情報提供へ
2011年 04月 12日 11:22 JST
大震災が経済に与える影響、当初予想より打撃大きいのでは=経財相
2011年 04月 12日 11:06 JST
震災受け不確実性「大きく高まる」、緩和強化が適当=3月日銀会合
2011年 04月 12日 10:53 JST
復旧・復興に向けた取り組みを具体的に説明=国際会議で財務相
2011年 04月 12日 10:46 JST
米フォード、東日本大震災の影響で業績に打撃も
2011年 04月 12日 08:35 JST
【スイス】
スイス・インフォhttp://www.swissinfo.ch/jpn/index.html
若者から発信、反原発へ大きなうねり
福島第一原発事故は、スイスにもショックを与え原発に対する議論を巻き起こした。特に若者たちの反響は大きく、反原発運動が盛り上がっている。
ベルンの連邦議事堂前の広場でも、福島と同型のミューレベルク原発運営会社「 BKWエネルギー ( BKW energy ) 」前でも、若者が集会や泊まり込みの反原発運動を展開。また、フェイスブックなどでこうした抗議運動を伝達する動きも新しい現象となっている。
スピーチの合間にダンスや歌
スイスには原子力発電所が5カ所あり(それぞれ1基の原子炉を持つ)、消費電力の4割がこうした原発で作られている。福島の事故直後にドリス・ロイタルト環境・エネルギー相は、新しい原発建設計画に一時的停止 ( モラトリアム ) を発動した。
しかし、反原発のうねりは大きくなる一方だ。4月6日にはおよそ1000人の若者を中心にした反原発集会がベルンの連邦議事堂前の広場で行われた。それは、大人が開催するものとは少し違う。急きょ作られたステージでは、学生や見習いの生徒たちがスピーチの合間にダンスや歌を披露するというリラックスしたものだ。
以下略
東電から「福島原発」分離=公的資金で清算会社-政府・民主案
【オーストラリア】
25Today オーストラリア
http://top.25today.com/
放射性ストロンチウムを検出=原発30キロ外、福島6市町村-文科省
チェルノブイリ級、先月には認識=レベル引き上げは求めず-安全委
【フィリピン】
日刊マニラ新聞
http://www.manila-shimbun.com/index.html
東日本大震災 [ 699字|2011.4.13 | 気象・災害 ]
比外務省、福島原発から100キロ圏内に在住する比人約2千人を退避させる方針
東京電力福島第1原発事故について、日本政府が原子力事故の国際評価尺度(INES)で最悪の「レベル7」に引き上げたことを受け、デルロサリオ外務長官代行は12日、首都圏パサイ市の外務省で記者会見し、同原発から半径100キロ圏内に在住する比人約2千人を17日から順次、比へ退避させる方針を明らかにした。日本政府はすでに、積算の放射線量が高い30キロを超える一部地域からも1カ月以内に住民の避難を求めており、比政府も早急な退避措置が必要と判断した。
以下略