今日も、日本を見つめる世界の目を紹介します。
【中国】
人民日報 http://j.peopledaily.com.cn/home.html
中国高速鉄道の海外特許申請 懸念高まる日本
京滬高速鉄道が6月30日に運行をスタートした。これまでずっと中国の高速鉄道を「中国版新幹線」と呼んできた日本では、「京滬高速鉄道が米国、日本、欧州などの5カ国・地域で技術特許を申請する方針」とのニュースが、各界に高い緊張感をもたらしている。日本の新幹線を運営するJR東海の山田佳臣社長は、先月29日に行われた記者会見で、中国の動きに対し不快感を表明し、「新幹線の技術は日本の汗と涙の結晶」であるとして、中国高速鉄道の権利侵害に対処するよう呼びかけた。海外で中国高速鉄道が「技術を盗んだ」と非難されるのはこれが初めてではない。中国鉄道部の関係者が同日述べたところによると、中国の高速列車の中核技術は中国人の手に完全に掌握されているもので、知的財産権をめぐる海外との争いはないという。「環球時報」が伝えた。
日本の「読売新聞」は29日に、「『中国コピー鉄道』日本警戒」と題する記事の中で、日本は、日本の新幹線技術を土台として発展した中国版新幹線の海外輸出に警戒感を強めているが、具体的な対策は何もないという。同記事によると、中国は10数年前から日本の新幹線技術に興味を持ち始めたが、日本側は先端技術の中国への供与にずっと消極的な態度を取ってきた。04-05年には川崎重工業などの日本企業6社が中国のメーカーと協力し、日本の新幹線「はやて」をベースにした車両120編成(計960両)を中国に納入した。記事に引かれた日本の国土交通省関係者の話によると、「(中国の高速鉄道は日本の新幹線と)外観もそっくりで、日中友好のシンボルとも言える技術供与だっただけに、日本側は『関係者はみな快く思っていない。中国は納入車両の技術をコピーして独自技術と言っているに過ぎない』」という。また記事によると、部品メーカーに過ぎない日本企業にとっては、中国は重要な市場であり、こうした企業は波風を立てたくないので、静観する構えだという。日本の新幹線を製造する川崎重工業は、どのような技術が特許申請されているのかはっきりしないので、対策はないという。国土交通省は先月28日、7月1日付で「国際統括官」を新設し、新幹線などのインフラ設備の海外輸出を担当させると発表した。中国が海外で請け負う鉄道プロジェクトは進行が速く、車両価格が他国より2割ほど安い。海外特許を取得すれば、競争力はさらに強まることになる。
日本の「産経新聞」の29日付記事によると、山田社長は29日の記者会見で、中国の高速鉄道が米国で特許を申請していることについてたずねられると不快感を表明した。記事によると、日本、ドイツ、フランス、カナダが中国に高速鉄道技術を供与した際、技術の使用を中国国内に限るとの規定を設けており、中国高速鉄道が海外特許を申請すれば、各方面から抗議が起こる可能性がある。
日本の外務省の国際報道官は29日、「環球時報」の取材に応える中で、中国が日本で技術特許を申請したことが確認され、その技術は中国が独自に創造したものではなく、日本の技術を模倣したものであることを証明する証拠がある場合、外務省は外交ルートを通じて中国に抗議する、と述べた。
このような非難に対し、鉄道部運輸局客専技術部の周力副主任は取材に応える中で、中国の高速鉄道が備える独自の知的財産権は、特に中核技術の独自の知的財産権は、完全に中国人の手の中に掌握されている、と述べた。中国は米国、日本、ブラジル、ロシア、欧州の5カ国・地域で京滬高速鉄道の技術特許21件を申請する準備を進めており、米国、ロシア、ブラジルなどの国と高速鉄道建設での協力展開を検討中だという。
中国高速鉄道は、国際市場への進出を常に視野に入れる韓国高速鉄道を非常に警戒している。韓国の「東亜日報」が29日伝えたところによると、韓国の高速鉄道KTXが昨年3月の運行スタート後にたびたび故障を出したことを受けて、韓国は政府や政治の周辺から警戒を高めるべきであり、勃興しつつある中国の技術的追撃から逃れなければならないという。
チャイナネット
http://japanese.china.org.cn/
日本製造業の後にある企業集団の力①独自の業態
東日本大震災発生後、悲しみを必死に耐えながら、冷静さを失わない日本の被災者らの様子に、驚きの声が世界から上がっている。だが、今回の自然災害で、高い競争力を持つ日本の産業の基礎がなくなった訳ではない。今でも「メイド・イン・ジャパン」は世界的なブランドとして名を馳せている。日本が、世界をリードする産業大国としてのし上がり、グローバルに事業を展開する企業集団になり得たのは、その独特な経営体系によるものが大きい。
(1)日本独自の業態
日本の産業は明治維新においてその基礎が築かれたとされている。当時、三井、三菱、住友、安田の四大財閥が中心となって、産業の土台が築かれた。のち、第二次世界大戦後の高度成長期において、三井、三菱、住友、富士、三和、第一勧業の6銀行を頂点とする六大企業集団が日本経済を牽引した。これらの企業集団は、株式相互持合い、系列融資、役員の相互派遣などを通じて、緊密な相互協調関係にある企業群を作り上げた。
このような企業集団の業態は日本独特のものである。銀行、総合商社、製造業を要とする異業種間の横のつながりで結成されたものであった。
メインバンクとは、企業の取引銀行の中で、最も多額の融資を受け、持ち株率が最も高い、企業の監督・介入機能を持つ銀行のことである。日本のメインバンクが一般の銀行と異なる点は、融資先となる企業とメインバンクが株式相互持合いを行ない、長期的な取引関係を持つことである。また、銀行は必要に応じて役員を派遣させるなどの方法を採り、企業の経営介入に参与することも出来る。
製造企業群とは、大手メーカを中核とした、産業別・業界別の垂直型の縦つながりで構成された企業集団である。中小企業は大手製造会社の請負先として、部品・パーツの提供や加工サービスなどを行なう。トヨタ、日産など世界有数の自動車製造会社は、中小部品メーカの仕入先を平均300社以上持っており、外部購入比率は60%以上に及んでいる。
だが、日本で製造されたこれらの製品が海外に輸出するには、総合商社を頼らざるを得ないということが独特である。総合商社とは、日本の企業集団の中でも、取扱商品・サービスが極めて多岐にわたり、広い視野で先を見通す目を持つ経済主体である。これも日本特有のもので、貿易業務を中軸に、さまざまな業務に対応できる資本・人材・ノウハウを保有し、充実した海外ネットワークを築いている。日本と海外との仲介役とされる総合商社の主な機能は、流通・金融・情報の3つに分けられる。世界の187都市において、日本の総合商社の海外子会社や海外支店が800拠点以上も置かれている。ある研究者は「日本の総合商社の情報の収集、加工、伝達能力は、日本政府の調査部門よりもはるかに優れている」と評価している。
日本製造業の後にある企業集団の力②世界に散らばる日本の産業
東日本大震災発生後、悲しみを必死に耐えながら、冷静さを失わない日本の被災者らの様子に、驚きの声が世界から上がっている。だが、今回の自然災害で、高い競争力を持つ日本の産業の基礎がなくなった訳ではない。今でも「メイド・イン・ジャパン」は世界的なブランドとして名を馳せている。日本が、世界をリードする産業大国としてのし上がり、グローバルに事業を展開する企業集団になり得たのは、その独特な経営体系によるものが大きい。
(1)日本独自の業態
(2)世界に散らばる日本の産業
日本は天然資源に乏しい。だが、視点を変えて見ると、日本は世界中に資源を保有していることに気付くだろう。
日本の企業集団は数十年もの歳月をかけて、海外における優れた産業構造を構築してきた。製造業の川上産業から、製品の研究開発、設計、中核となる製品の製造、販売に至るまで、6大企業集団は大量の資源および産業の主要部分を掌握してきたのである。そのため、日本の経済の大きさは、GDP(国内総生産)ではなくGNP(国民総生産)を見なければならない。世界中に存在する日本の企業集団の実力は決して軽視出来ないのだ。
1950~1960年代以降、6大企業集団を中軸に、国外の鉱山開発計画が進められた。日本は天然資源を輸入し、製品を輸出するという加工貿易を推し進め、更にはローエンド製品の製造を海外移転させることで、良好な経済システムを地球規模で培ってきた。これは日本の国民経済の「成長と均衡」という2つの課題を、企業の力だけで実現したことを示している。
三井物産株式会社第8代社長の上島重二顧問は、一世を風靡した総合商社についてこのように語っている:「日本独自の業態である総合商社が、なぜあれほど成長し得たのか?それは日本が天然資源に欠けることが根本になっている。資源がないから、近代的な工業化国家として発展するしか道はない。そして、工業化のためには海外の天然資源に頼らざるを得なかった。国外の資源を輸入し、国外の技術を採り入れることで日本の産業は栄えたのである。だが、天然資源にしろ、技術にしろ、それを海外から購入するには外貨が必要になる。そのためには日本で製造された製品を海外向けに販売し外貨を稼がなければならない…。総合商社は全世界を相手に業務を行なっていたのである」
鉄鉱石を一例として挙げてみよう。日本の企業集団の一角となる総合商社は、鉄鋼メーカとの株式相互持合いにより、緊密な相互依存関係を結び、数十年におよぶ海外鉱山開発・投資に注力してきた。こうして今の川上産業の基礎が固まったのである。
鉄鉱石世界3大メジャーであるリオティント、BHP ビリトン、ヴァーレはいずれも日本の企業集団を株主としている。鉄鉱石の採掘、輸送、価格の取り決めに関して、大株主である新日本製鐵株式会社の発言権は強大であるが、鉄鉱石の価格交渉において、低価を要求することはあまりしなかった。なぜなら鉄鉱石が高騰しても、鉄鉱石のサプライヤーの株主であるため、輸入面での損失が補えるだけでなく、さらに高い収益を得ることになるかも知れないからである。
日本製造業の後にある企業集団の力③リスク軽減のための経済主体
東日本大震災発生後、悲しみを必死に耐えながら、冷静さを失わない日本の被災者らの様子に、驚きの声が世界から上がっている。だが、今回の自然災害で、高い競争力を持つ日本の産業の基礎がなくなった訳ではない。今でも「メイド・イン・ジャパン」は世界的なブランドとして名を馳せている。日本が、世界をリードする産業大国としてのし上がり、グローバルに事業を展開する企業集団になり得たのは、その独特な経営体系によるものが大きい。
(1)日本独自の業態
(2)世界に散らばる日本の産業
(3)リスク軽減のための経済主体
その金融市場の競争力を以って米国をマクロ経済の覇者と例えるならば、強大な産業力をもつ日本はミクロ経済の王者であると言えるだろう。
米国と日本は、経済成長において金融経済と実体経済を別々のやり方で選択している。金融経済か実体経済かの選択において、日本は金融バブルという多くの辛酸を体験したはずだ。日本が世界第2の経済大国になり得たのは、躍進する製造業が背景にある。バブル崩壊後の「失われた10年」を日本にもたらしたのは、株式市場と不動産市場の急落によるものであった。
工場で製造されたものだけが実体のある商品である。これは長い歳月における経済の波を受ける中で日本が悟ったことである。日本が金融危機の影響をそれほど受けることがなかったのは、100年以上積み上げてきた製造業の実力によるものである。
多業態化の企業集団により、日本の産業はリスク回避ができる力を付け、経済危機に遭遇する度に、新たなパワーで克服してきた。伊藤忠商事株式会社の伊藤忠ビジネス戦略研究所の松村所長はかつて以下のように述べている:「総合商社は3つの使命を持っている。1つ目に未来を予期でき、これを基礎に事業投資を行なえること。2つ目に全世界で拠点を持ち、貿易、海外での事業投資のサポートができること。3つ目は時間・空間的な分布によるリスクを収益に変え、リスク軽減の作用を持つことである。」
日本の企業の平均寿命は世界で最も長いとされている。100年以上の歴史を持つ企業が未だに高い収益率を誇っている。こうした確かな競争力を持つ企業はどんな難局でも乗り越えていけるはずである。
大紀元http://www.epochtimes.jp/
中国の汚染問題「極めて深刻」 専門家「腐敗と言論封鎖 改善は困難」
先日、米ワシントンにあるウッドロー・ウィルソンセンターで開催された「中国の有毒災難を回避する」という座談会で、中国の汚染状況・措置について多くの環境活動家による討論が行われた。
『Chasing Molecules(分子を追って)』などの著書で有名な環境汚染作家、エリザベス・グロスマン氏は、汚染は極めて深刻な状況にあり、中国人の健康が害されていることを次のように指摘した。
「広東省の貴嶼には廃棄されたゴミが集中しており、ここの水は汚染されているため、完全に飲用できないと認定されている。現地の水は、鉛、合成化学物質、消火剤、防炎剤(臭素化合物)、プラスチック、金属関連物質により汚染されている。また、大気汚染レベルも極めてひどく、現地住民は呼吸器系統、胃腸、皮膚などの疾患に苦しんでいる。土壌についても、以前の農地は今や完全に汚染されてしまっている」
貴嶼は、中国初の「循環型経済試験地域」。国務院の同意を得て国家発展・改革委員会(国家発改委)、国家環境保護総局、科学技術省、財政部、商務部、国家統計局が共同で許可した地域だ。電気機器の廃棄物を扱う世界最大の処理場となっており、現地を流れる練江の汚染は深刻だ。グロスマン氏は、これらの有害化学物質の問題は中国で起きているが、長期間の堆積により土壌、水路、さらには空気中にも混入し、世界の大気の一部になっていると指摘している。
また、米グリーンサイエンス政策協会のアリーン・ブラム氏によると、中国のPBDEs(ポリ臭素化ジフェニルエーテル)汚染は深刻で、パンダの体内からもこの物質が発見されているという。
地方:法律があっても、準拠しない
天然資源防衛協議会(NRDC)のデービット・レネット氏は、中国政府はすでに鉛、水銀、カドミウム、クロム、ヒ素などの有害化学汚染を管制する関連政策を打ち出しているが、今のところ具体的な効果は上がっていないと語る。「中国はすでに、5カ年計画に重金属汚染への対処を盛り込んではいるが、大まかなところ、この計画は米国の環境法律をまねたものだ。しかし、残念なことにこの5カ年計画が今年2月に認証された時点でも、計画の詳細内容は知らされなかった。多くのプロジェクトについても公開されていないため、どういう事情かを知ることは難しい。中国の政策決定はこのようなものだ」と指摘している。
グリーンサイエンス政策協会のブラム氏は、中国に関連法規がないわけではない。問題は徹底した執行がなされないところにある、と指摘した。中国の環境保護部はすでにこれらの化学物質に対し米国よりも優れた法規を制定している。環境保護部は鉛事件の再発を望まない一方、商業利益にも左右されている、とブラム氏は話している。
ヒューマン・ライツ・ウォッチの「保健と人権」局長ジョー・エイモン氏は、問題の根源は立法と地方レベルでの法の執行にギャップにあることを指摘。この他、腐敗問題も上げている。現地の多くの人々は、工場責任者は私有・国有にかかわらず、監督側であるはずの現地共産党委員会の幹部とコネがあるかグルになっていると訴えている。環境保護機関も工場と緊密に繫がっているケースが多いという。
現在、中国メディアは汚職事件を報じることを許可されてはいるが、安定維持の前提のもとで、中国当局はこの種の問題を社会の不安定要素とみなしている。このため一旦、中毒・汚染事件が発生すると、環境活動家や被害者が攻撃の対象となってしまう、とエイモン氏は話す。同氏にかつて協力したことのある中国の環境保護活動家たちは失踪しており、連絡がつかないという。
北京当局はすでに環境汚染の深刻さを認めている。しかし、中国本土の企業と党幹部や職員が絡み合う関係や、経済成長追及の圧力、言論封鎖による情報の欠乏などの状況が変わらない限り、中国汚染問題の根治は難しいと専門家らはみている。
【韓国】
中央日報http://japanese.joins.com/
金正恩の誇大宣伝内容に住民からは反感とひんしゅく
北朝鮮の後継者、金正恩(キム・ジョンウン)の偶像化作業への宣伝内容がほとんど根拠のないものであることから、住民からは反感やひんしゅくだけを買っていると伝えられた。事態を挽回しようと北朝鮮当局は宣伝内容を「外国から見る金正恩」に修正しているが、これさえもそっぽを向かれている。
北当局は、昨年の労動党創建記念日(10月10日)から金正恩に関する賞賛内容を出し始めた。「金正恩は3歳のときから銃を使って20の標的を全てしとめた」「5歳のときに金正日(キム・ジョンイル)主席が作った漢詩を書き写せるほど頭がよかった」「留学生活を通じて英語・ドイツ語・フランス語・イタリア語が流ちょうで、今後は中国語・日本語・ロシア語を学習し、7カ国語を習得する予定」といった具合だ。当時この内容はある対北メディアを通じて伝えられたが、海外メディアは「金正恩は政治的な功績を挙げる前に笑いものに転落した」とするなどの反応を見せた。
このため金正日国防委員長が宣伝化計画を立てた労動党幹部らを激しく叱責したと伝えられたと、米国自由アジア放送(RFA)が22日報じた。
最近、北当局は宣伝内容を修正し、各種人民講演会を通じて住民に再配布している。「先月、金委員長が訪中した際、中国の高位級幹部が金正恩同志に会えることを期待していたのに(会えなくて)残念がった。次の訪問の際にはぜひ同行してほしいと熱心に頼んでいた」「外国人や南朝鮮の人々は、金正恩を統一の求心点として崇拝している」という内容だ。「南朝鮮の大学生は金正恩の賞賛歌謡『パルコルム』を知らなければ、知識人の仲間入りをすることができない」といった内容もある。ある対北消息筋は「金正恩が生まれた日、金日成(キム・イルソン)主席が『黄金の車を引く白馬が天に勢いよく跳ね上がっていく夢を見たが、慶事とはこれだったか」といって喜んだという講演を聞いた」と伝えた。
一方、北朝鮮の大学生と住民はあまり関心を払っていない。両江道(ヤンガンド)の大学生消息筋は「4月中旬から各組織別に金正恩の宣伝内容を聞いていたが、若者世代はほとんど理解できない内容なので全く関心を持っていない」と話した。また咸境北道(ハムギョンプクド)のある消息筋も「つまらない話を聞いていたら、時間だけが退屈に流れていった」と話した。
朝鮮日報http://www.chosunonline.com/
「攻撃的なFTAで市場拡大」 日本が韓国を警戒
今年6月1日から20日までの韓国の対欧州連合(EU)輸出は、前年同期比10.3%減の30億3500万ドルにとどまった。年初来6月20日までの同11.2%の伸びとは対照的だ。それは対EU輸出戦略に何か過ちがあったからではなく、今月1日に韓国とEUの自由貿易協定(FTA)が発効し、関税が引き下げ、撤廃されるのを待っていたからだ。FTAが輸出にどれだけ大きな影響を持つかを端的に示している。
韓国の貿易が飛躍的に伸びた背景には、全方位的かつ積極的なFTA推進など果敢でオープンな輸出戦略がある。韓国は2003年にチリとFTAを結んだのに続き、シンガポール、欧州自由貿易連合(EFTA:スイス、ノルウェー、アイスランド、リヒテンシュタインが加盟)、東南アジア諸国連合(ASEAN)、インド、欧州連合(EU)、米国、ペルーという8カ国・地域とFTAを締結した。このうち、米国とペルーを除く6カ国・地域とのFTAをは既に発効済みだ。03年以降、貿易規模が毎年1000億ドルを超えるペースで伸びたことも、FTA効果を証明している。
世界の主要国、主要市場とのFTA締結による効果は、貿易の活性化だけにとどまらない。世界的企業を韓国に誘致する役割も果たすからだ。在韓米国商工会議所のフランク・リトル元会頭は「米国企業が韓国に投資する理由は、(多くの国とFTAを結んでおり)世界市場へのアクセスが良いからだ」と指摘した。
日本も韓国のFTA戦略を警戒している。韓国とEUのFTAが発効した1日、日本メディアは「2003年から貿易自由化の流れをよく読んだ韓国が諸外国との攻撃的なFTA締結で市場を拡大し、(FTAを)外国企業誘致の武器として活用している」と報じた。
【米国】
ウォール・ストリート・ジャーナル
http://jp.wsj.com/
福島原発―逃された事故回避のチャンス
日本の規制当局は気づいていなかったが、昨年、福島第1原発1号機の事故を未然に防ぐ最後のチャンスがあった。
JAPANESE SELF-DEFENSE FORCE/AFP/Getty Images
福島第1原発1号機(3月末)
それは、東京電力の申請に基づき、経済産業省原子力安全・保安院が福島第1原発1号機の今後10年間の運転継続について検討したときのことだ。検査官が2日間をかけて原子炉を見て回り、あらゆる主要部分について技術仕様と損傷を精査、何百ページにもわたる報告書をまとめた。
原子力安全・保安院は通常の手続きの一環として、外部の専門家で構成する審議会を開催し、このデータの検討を行なった。審議会は経済産業省のビルの最上階にある会議室で9カ月間に5、6回、会合を開催、審議の時間は4時間におよぶこともあった。
日本政府は審議会の議事録の概要を公表したものの、議事録全文は公表されなかった。概要によると、最初の3回の会合は平穏無事に行なわれ、参加者は官僚が用意した山のような書類を受け入れた。
しかし、2010年11月5日、出席者の一人が現状に疑問を呈する場面があった。この専門家が誰であるかは議事録の概要では明らかにされていないが、技術基準を監督する立場にある原子力安全基盤機構(JNES)を厳しく非難したのだ。この専門家は福島第1原発に設置されている非常用電源の天候悪化時の備えについて、JNESの対応が甘いと指摘した。この非常用電源は3月11日の大津波の被害を受け、作動しなくなるものだ。
JNESは福島第1原発1号機の検査を実施した。他の原発の原子炉では雨や海水による腐食が記録されていたにもかかわらず、1号機の検査では雨や海水による腐食は可能性が低いとして検査から除外された。
審議会に出席したJNESの担当者はこの専門家の批判に対して、一言、「わかりました」と述べた。その後、何らかの措置がとられたかどうかは明らかではない。この審議会の会長を務めた東京大学大学院工学部の幹部はコメントを差し控えた。
この批判が再び取り上げられることはなかった。今年1月19日に行なわれた最後の会合で、東京電力の一人の幹部が耐震措置について説明をした際に、異論を唱えるメンバーはいなかった。外部の専門家で構成された審議会は原子力安全・保安院に最終報告書のとりまとめをまかせた。
原子力安全・保安院は審議会が原発全体の構造ではなく、特定の部品や設備の耐久性に注目し、議論が狭い範囲にとどまったことを認めている。
1971年に運転を開始した福島第1原発1号機の構造は時代遅れだ。しかし、米国の規制当局が、安全性の向上確保と機能改善で原発を安全な状態に維持するという条件で、運転開始から何十年も経過した原発の運転継続を許可していたことから、日本も安心していた。
原子力安全・保安院は2月7日、福島第1原発の原子炉は60年間、安全に運転できるとの結論を出した。その際に、米原子力規制委員会が米国内の同様の原発に関して出した提言を引き合いに出している。ここで言及された米国の原発は地震が頻発する地域にあるわけでもなく、また、津波の脅威にさらされているものでもない。
そして、原子力安全・保安院は福島第1原発1号機の運転継続を認可、2021年までの運転が可能であると判断した。3月11日に東日本大震災が起き、1号機で核燃料のメルトダウンが発生して、原子炉建屋が爆発したのは、認可の日からたった5週間後のことだった。
【中国】
人民日報 http://j.peopledaily.com.cn/home.html
中国高速鉄道の海外特許申請 懸念高まる日本
京滬高速鉄道が6月30日に運行をスタートした。これまでずっと中国の高速鉄道を「中国版新幹線」と呼んできた日本では、「京滬高速鉄道が米国、日本、欧州などの5カ国・地域で技術特許を申請する方針」とのニュースが、各界に高い緊張感をもたらしている。日本の新幹線を運営するJR東海の山田佳臣社長は、先月29日に行われた記者会見で、中国の動きに対し不快感を表明し、「新幹線の技術は日本の汗と涙の結晶」であるとして、中国高速鉄道の権利侵害に対処するよう呼びかけた。海外で中国高速鉄道が「技術を盗んだ」と非難されるのはこれが初めてではない。中国鉄道部の関係者が同日述べたところによると、中国の高速列車の中核技術は中国人の手に完全に掌握されているもので、知的財産権をめぐる海外との争いはないという。「環球時報」が伝えた。
日本の「読売新聞」は29日に、「『中国コピー鉄道』日本警戒」と題する記事の中で、日本は、日本の新幹線技術を土台として発展した中国版新幹線の海外輸出に警戒感を強めているが、具体的な対策は何もないという。同記事によると、中国は10数年前から日本の新幹線技術に興味を持ち始めたが、日本側は先端技術の中国への供与にずっと消極的な態度を取ってきた。04-05年には川崎重工業などの日本企業6社が中国のメーカーと協力し、日本の新幹線「はやて」をベースにした車両120編成(計960両)を中国に納入した。記事に引かれた日本の国土交通省関係者の話によると、「(中国の高速鉄道は日本の新幹線と)外観もそっくりで、日中友好のシンボルとも言える技術供与だっただけに、日本側は『関係者はみな快く思っていない。中国は納入車両の技術をコピーして独自技術と言っているに過ぎない』」という。また記事によると、部品メーカーに過ぎない日本企業にとっては、中国は重要な市場であり、こうした企業は波風を立てたくないので、静観する構えだという。日本の新幹線を製造する川崎重工業は、どのような技術が特許申請されているのかはっきりしないので、対策はないという。国土交通省は先月28日、7月1日付で「国際統括官」を新設し、新幹線などのインフラ設備の海外輸出を担当させると発表した。中国が海外で請け負う鉄道プロジェクトは進行が速く、車両価格が他国より2割ほど安い。海外特許を取得すれば、競争力はさらに強まることになる。
日本の「産経新聞」の29日付記事によると、山田社長は29日の記者会見で、中国の高速鉄道が米国で特許を申請していることについてたずねられると不快感を表明した。記事によると、日本、ドイツ、フランス、カナダが中国に高速鉄道技術を供与した際、技術の使用を中国国内に限るとの規定を設けており、中国高速鉄道が海外特許を申請すれば、各方面から抗議が起こる可能性がある。
日本の外務省の国際報道官は29日、「環球時報」の取材に応える中で、中国が日本で技術特許を申請したことが確認され、その技術は中国が独自に創造したものではなく、日本の技術を模倣したものであることを証明する証拠がある場合、外務省は外交ルートを通じて中国に抗議する、と述べた。
このような非難に対し、鉄道部運輸局客専技術部の周力副主任は取材に応える中で、中国の高速鉄道が備える独自の知的財産権は、特に中核技術の独自の知的財産権は、完全に中国人の手の中に掌握されている、と述べた。中国は米国、日本、ブラジル、ロシア、欧州の5カ国・地域で京滬高速鉄道の技術特許21件を申請する準備を進めており、米国、ロシア、ブラジルなどの国と高速鉄道建設での協力展開を検討中だという。
中国高速鉄道は、国際市場への進出を常に視野に入れる韓国高速鉄道を非常に警戒している。韓国の「東亜日報」が29日伝えたところによると、韓国の高速鉄道KTXが昨年3月の運行スタート後にたびたび故障を出したことを受けて、韓国は政府や政治の周辺から警戒を高めるべきであり、勃興しつつある中国の技術的追撃から逃れなければならないという。
チャイナネット
http://japanese.china.org.cn/
日本製造業の後にある企業集団の力①独自の業態
東日本大震災発生後、悲しみを必死に耐えながら、冷静さを失わない日本の被災者らの様子に、驚きの声が世界から上がっている。だが、今回の自然災害で、高い競争力を持つ日本の産業の基礎がなくなった訳ではない。今でも「メイド・イン・ジャパン」は世界的なブランドとして名を馳せている。日本が、世界をリードする産業大国としてのし上がり、グローバルに事業を展開する企業集団になり得たのは、その独特な経営体系によるものが大きい。
(1)日本独自の業態
日本の産業は明治維新においてその基礎が築かれたとされている。当時、三井、三菱、住友、安田の四大財閥が中心となって、産業の土台が築かれた。のち、第二次世界大戦後の高度成長期において、三井、三菱、住友、富士、三和、第一勧業の6銀行を頂点とする六大企業集団が日本経済を牽引した。これらの企業集団は、株式相互持合い、系列融資、役員の相互派遣などを通じて、緊密な相互協調関係にある企業群を作り上げた。
このような企業集団の業態は日本独特のものである。銀行、総合商社、製造業を要とする異業種間の横のつながりで結成されたものであった。
メインバンクとは、企業の取引銀行の中で、最も多額の融資を受け、持ち株率が最も高い、企業の監督・介入機能を持つ銀行のことである。日本のメインバンクが一般の銀行と異なる点は、融資先となる企業とメインバンクが株式相互持合いを行ない、長期的な取引関係を持つことである。また、銀行は必要に応じて役員を派遣させるなどの方法を採り、企業の経営介入に参与することも出来る。
製造企業群とは、大手メーカを中核とした、産業別・業界別の垂直型の縦つながりで構成された企業集団である。中小企業は大手製造会社の請負先として、部品・パーツの提供や加工サービスなどを行なう。トヨタ、日産など世界有数の自動車製造会社は、中小部品メーカの仕入先を平均300社以上持っており、外部購入比率は60%以上に及んでいる。
だが、日本で製造されたこれらの製品が海外に輸出するには、総合商社を頼らざるを得ないということが独特である。総合商社とは、日本の企業集団の中でも、取扱商品・サービスが極めて多岐にわたり、広い視野で先を見通す目を持つ経済主体である。これも日本特有のもので、貿易業務を中軸に、さまざまな業務に対応できる資本・人材・ノウハウを保有し、充実した海外ネットワークを築いている。日本と海外との仲介役とされる総合商社の主な機能は、流通・金融・情報の3つに分けられる。世界の187都市において、日本の総合商社の海外子会社や海外支店が800拠点以上も置かれている。ある研究者は「日本の総合商社の情報の収集、加工、伝達能力は、日本政府の調査部門よりもはるかに優れている」と評価している。
日本製造業の後にある企業集団の力②世界に散らばる日本の産業
東日本大震災発生後、悲しみを必死に耐えながら、冷静さを失わない日本の被災者らの様子に、驚きの声が世界から上がっている。だが、今回の自然災害で、高い競争力を持つ日本の産業の基礎がなくなった訳ではない。今でも「メイド・イン・ジャパン」は世界的なブランドとして名を馳せている。日本が、世界をリードする産業大国としてのし上がり、グローバルに事業を展開する企業集団になり得たのは、その独特な経営体系によるものが大きい。
(1)日本独自の業態
(2)世界に散らばる日本の産業
日本は天然資源に乏しい。だが、視点を変えて見ると、日本は世界中に資源を保有していることに気付くだろう。
日本の企業集団は数十年もの歳月をかけて、海外における優れた産業構造を構築してきた。製造業の川上産業から、製品の研究開発、設計、中核となる製品の製造、販売に至るまで、6大企業集団は大量の資源および産業の主要部分を掌握してきたのである。そのため、日本の経済の大きさは、GDP(国内総生産)ではなくGNP(国民総生産)を見なければならない。世界中に存在する日本の企業集団の実力は決して軽視出来ないのだ。
1950~1960年代以降、6大企業集団を中軸に、国外の鉱山開発計画が進められた。日本は天然資源を輸入し、製品を輸出するという加工貿易を推し進め、更にはローエンド製品の製造を海外移転させることで、良好な経済システムを地球規模で培ってきた。これは日本の国民経済の「成長と均衡」という2つの課題を、企業の力だけで実現したことを示している。
三井物産株式会社第8代社長の上島重二顧問は、一世を風靡した総合商社についてこのように語っている:「日本独自の業態である総合商社が、なぜあれほど成長し得たのか?それは日本が天然資源に欠けることが根本になっている。資源がないから、近代的な工業化国家として発展するしか道はない。そして、工業化のためには海外の天然資源に頼らざるを得なかった。国外の資源を輸入し、国外の技術を採り入れることで日本の産業は栄えたのである。だが、天然資源にしろ、技術にしろ、それを海外から購入するには外貨が必要になる。そのためには日本で製造された製品を海外向けに販売し外貨を稼がなければならない…。総合商社は全世界を相手に業務を行なっていたのである」
鉄鉱石を一例として挙げてみよう。日本の企業集団の一角となる総合商社は、鉄鋼メーカとの株式相互持合いにより、緊密な相互依存関係を結び、数十年におよぶ海外鉱山開発・投資に注力してきた。こうして今の川上産業の基礎が固まったのである。
鉄鉱石世界3大メジャーであるリオティント、BHP ビリトン、ヴァーレはいずれも日本の企業集団を株主としている。鉄鉱石の採掘、輸送、価格の取り決めに関して、大株主である新日本製鐵株式会社の発言権は強大であるが、鉄鉱石の価格交渉において、低価を要求することはあまりしなかった。なぜなら鉄鉱石が高騰しても、鉄鉱石のサプライヤーの株主であるため、輸入面での損失が補えるだけでなく、さらに高い収益を得ることになるかも知れないからである。
日本製造業の後にある企業集団の力③リスク軽減のための経済主体
東日本大震災発生後、悲しみを必死に耐えながら、冷静さを失わない日本の被災者らの様子に、驚きの声が世界から上がっている。だが、今回の自然災害で、高い競争力を持つ日本の産業の基礎がなくなった訳ではない。今でも「メイド・イン・ジャパン」は世界的なブランドとして名を馳せている。日本が、世界をリードする産業大国としてのし上がり、グローバルに事業を展開する企業集団になり得たのは、その独特な経営体系によるものが大きい。
(1)日本独自の業態
(2)世界に散らばる日本の産業
(3)リスク軽減のための経済主体
その金融市場の競争力を以って米国をマクロ経済の覇者と例えるならば、強大な産業力をもつ日本はミクロ経済の王者であると言えるだろう。
米国と日本は、経済成長において金融経済と実体経済を別々のやり方で選択している。金融経済か実体経済かの選択において、日本は金融バブルという多くの辛酸を体験したはずだ。日本が世界第2の経済大国になり得たのは、躍進する製造業が背景にある。バブル崩壊後の「失われた10年」を日本にもたらしたのは、株式市場と不動産市場の急落によるものであった。
工場で製造されたものだけが実体のある商品である。これは長い歳月における経済の波を受ける中で日本が悟ったことである。日本が金融危機の影響をそれほど受けることがなかったのは、100年以上積み上げてきた製造業の実力によるものである。
多業態化の企業集団により、日本の産業はリスク回避ができる力を付け、経済危機に遭遇する度に、新たなパワーで克服してきた。伊藤忠商事株式会社の伊藤忠ビジネス戦略研究所の松村所長はかつて以下のように述べている:「総合商社は3つの使命を持っている。1つ目に未来を予期でき、これを基礎に事業投資を行なえること。2つ目に全世界で拠点を持ち、貿易、海外での事業投資のサポートができること。3つ目は時間・空間的な分布によるリスクを収益に変え、リスク軽減の作用を持つことである。」
日本の企業の平均寿命は世界で最も長いとされている。100年以上の歴史を持つ企業が未だに高い収益率を誇っている。こうした確かな競争力を持つ企業はどんな難局でも乗り越えていけるはずである。
大紀元http://www.epochtimes.jp/
中国の汚染問題「極めて深刻」 専門家「腐敗と言論封鎖 改善は困難」
先日、米ワシントンにあるウッドロー・ウィルソンセンターで開催された「中国の有毒災難を回避する」という座談会で、中国の汚染状況・措置について多くの環境活動家による討論が行われた。
『Chasing Molecules(分子を追って)』などの著書で有名な環境汚染作家、エリザベス・グロスマン氏は、汚染は極めて深刻な状況にあり、中国人の健康が害されていることを次のように指摘した。
「広東省の貴嶼には廃棄されたゴミが集中しており、ここの水は汚染されているため、完全に飲用できないと認定されている。現地の水は、鉛、合成化学物質、消火剤、防炎剤(臭素化合物)、プラスチック、金属関連物質により汚染されている。また、大気汚染レベルも極めてひどく、現地住民は呼吸器系統、胃腸、皮膚などの疾患に苦しんでいる。土壌についても、以前の農地は今や完全に汚染されてしまっている」
貴嶼は、中国初の「循環型経済試験地域」。国務院の同意を得て国家発展・改革委員会(国家発改委)、国家環境保護総局、科学技術省、財政部、商務部、国家統計局が共同で許可した地域だ。電気機器の廃棄物を扱う世界最大の処理場となっており、現地を流れる練江の汚染は深刻だ。グロスマン氏は、これらの有害化学物質の問題は中国で起きているが、長期間の堆積により土壌、水路、さらには空気中にも混入し、世界の大気の一部になっていると指摘している。
また、米グリーンサイエンス政策協会のアリーン・ブラム氏によると、中国のPBDEs(ポリ臭素化ジフェニルエーテル)汚染は深刻で、パンダの体内からもこの物質が発見されているという。
地方:法律があっても、準拠しない
天然資源防衛協議会(NRDC)のデービット・レネット氏は、中国政府はすでに鉛、水銀、カドミウム、クロム、ヒ素などの有害化学汚染を管制する関連政策を打ち出しているが、今のところ具体的な効果は上がっていないと語る。「中国はすでに、5カ年計画に重金属汚染への対処を盛り込んではいるが、大まかなところ、この計画は米国の環境法律をまねたものだ。しかし、残念なことにこの5カ年計画が今年2月に認証された時点でも、計画の詳細内容は知らされなかった。多くのプロジェクトについても公開されていないため、どういう事情かを知ることは難しい。中国の政策決定はこのようなものだ」と指摘している。
グリーンサイエンス政策協会のブラム氏は、中国に関連法規がないわけではない。問題は徹底した執行がなされないところにある、と指摘した。中国の環境保護部はすでにこれらの化学物質に対し米国よりも優れた法規を制定している。環境保護部は鉛事件の再発を望まない一方、商業利益にも左右されている、とブラム氏は話している。
ヒューマン・ライツ・ウォッチの「保健と人権」局長ジョー・エイモン氏は、問題の根源は立法と地方レベルでの法の執行にギャップにあることを指摘。この他、腐敗問題も上げている。現地の多くの人々は、工場責任者は私有・国有にかかわらず、監督側であるはずの現地共産党委員会の幹部とコネがあるかグルになっていると訴えている。環境保護機関も工場と緊密に繫がっているケースが多いという。
現在、中国メディアは汚職事件を報じることを許可されてはいるが、安定維持の前提のもとで、中国当局はこの種の問題を社会の不安定要素とみなしている。このため一旦、中毒・汚染事件が発生すると、環境活動家や被害者が攻撃の対象となってしまう、とエイモン氏は話す。同氏にかつて協力したことのある中国の環境保護活動家たちは失踪しており、連絡がつかないという。
北京当局はすでに環境汚染の深刻さを認めている。しかし、中国本土の企業と党幹部や職員が絡み合う関係や、経済成長追及の圧力、言論封鎖による情報の欠乏などの状況が変わらない限り、中国汚染問題の根治は難しいと専門家らはみている。
【韓国】
中央日報http://japanese.joins.com/
金正恩の誇大宣伝内容に住民からは反感とひんしゅく
北朝鮮の後継者、金正恩(キム・ジョンウン)の偶像化作業への宣伝内容がほとんど根拠のないものであることから、住民からは反感やひんしゅくだけを買っていると伝えられた。事態を挽回しようと北朝鮮当局は宣伝内容を「外国から見る金正恩」に修正しているが、これさえもそっぽを向かれている。
北当局は、昨年の労動党創建記念日(10月10日)から金正恩に関する賞賛内容を出し始めた。「金正恩は3歳のときから銃を使って20の標的を全てしとめた」「5歳のときに金正日(キム・ジョンイル)主席が作った漢詩を書き写せるほど頭がよかった」「留学生活を通じて英語・ドイツ語・フランス語・イタリア語が流ちょうで、今後は中国語・日本語・ロシア語を学習し、7カ国語を習得する予定」といった具合だ。当時この内容はある対北メディアを通じて伝えられたが、海外メディアは「金正恩は政治的な功績を挙げる前に笑いものに転落した」とするなどの反応を見せた。
このため金正日国防委員長が宣伝化計画を立てた労動党幹部らを激しく叱責したと伝えられたと、米国自由アジア放送(RFA)が22日報じた。
最近、北当局は宣伝内容を修正し、各種人民講演会を通じて住民に再配布している。「先月、金委員長が訪中した際、中国の高位級幹部が金正恩同志に会えることを期待していたのに(会えなくて)残念がった。次の訪問の際にはぜひ同行してほしいと熱心に頼んでいた」「外国人や南朝鮮の人々は、金正恩を統一の求心点として崇拝している」という内容だ。「南朝鮮の大学生は金正恩の賞賛歌謡『パルコルム』を知らなければ、知識人の仲間入りをすることができない」といった内容もある。ある対北消息筋は「金正恩が生まれた日、金日成(キム・イルソン)主席が『黄金の車を引く白馬が天に勢いよく跳ね上がっていく夢を見たが、慶事とはこれだったか」といって喜んだという講演を聞いた」と伝えた。
一方、北朝鮮の大学生と住民はあまり関心を払っていない。両江道(ヤンガンド)の大学生消息筋は「4月中旬から各組織別に金正恩の宣伝内容を聞いていたが、若者世代はほとんど理解できない内容なので全く関心を持っていない」と話した。また咸境北道(ハムギョンプクド)のある消息筋も「つまらない話を聞いていたら、時間だけが退屈に流れていった」と話した。
朝鮮日報http://www.chosunonline.com/
「攻撃的なFTAで市場拡大」 日本が韓国を警戒
今年6月1日から20日までの韓国の対欧州連合(EU)輸出は、前年同期比10.3%減の30億3500万ドルにとどまった。年初来6月20日までの同11.2%の伸びとは対照的だ。それは対EU輸出戦略に何か過ちがあったからではなく、今月1日に韓国とEUの自由貿易協定(FTA)が発効し、関税が引き下げ、撤廃されるのを待っていたからだ。FTAが輸出にどれだけ大きな影響を持つかを端的に示している。
韓国の貿易が飛躍的に伸びた背景には、全方位的かつ積極的なFTA推進など果敢でオープンな輸出戦略がある。韓国は2003年にチリとFTAを結んだのに続き、シンガポール、欧州自由貿易連合(EFTA:スイス、ノルウェー、アイスランド、リヒテンシュタインが加盟)、東南アジア諸国連合(ASEAN)、インド、欧州連合(EU)、米国、ペルーという8カ国・地域とFTAを締結した。このうち、米国とペルーを除く6カ国・地域とのFTAをは既に発効済みだ。03年以降、貿易規模が毎年1000億ドルを超えるペースで伸びたことも、FTA効果を証明している。
世界の主要国、主要市場とのFTA締結による効果は、貿易の活性化だけにとどまらない。世界的企業を韓国に誘致する役割も果たすからだ。在韓米国商工会議所のフランク・リトル元会頭は「米国企業が韓国に投資する理由は、(多くの国とFTAを結んでおり)世界市場へのアクセスが良いからだ」と指摘した。
日本も韓国のFTA戦略を警戒している。韓国とEUのFTAが発効した1日、日本メディアは「2003年から貿易自由化の流れをよく読んだ韓国が諸外国との攻撃的なFTA締結で市場を拡大し、(FTAを)外国企業誘致の武器として活用している」と報じた。
【米国】
ウォール・ストリート・ジャーナル
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福島原発―逃された事故回避のチャンス
日本の規制当局は気づいていなかったが、昨年、福島第1原発1号機の事故を未然に防ぐ最後のチャンスがあった。
JAPANESE SELF-DEFENSE FORCE/AFP/Getty Images
福島第1原発1号機(3月末)
それは、東京電力の申請に基づき、経済産業省原子力安全・保安院が福島第1原発1号機の今後10年間の運転継続について検討したときのことだ。検査官が2日間をかけて原子炉を見て回り、あらゆる主要部分について技術仕様と損傷を精査、何百ページにもわたる報告書をまとめた。
原子力安全・保安院は通常の手続きの一環として、外部の専門家で構成する審議会を開催し、このデータの検討を行なった。審議会は経済産業省のビルの最上階にある会議室で9カ月間に5、6回、会合を開催、審議の時間は4時間におよぶこともあった。
日本政府は審議会の議事録の概要を公表したものの、議事録全文は公表されなかった。概要によると、最初の3回の会合は平穏無事に行なわれ、参加者は官僚が用意した山のような書類を受け入れた。
しかし、2010年11月5日、出席者の一人が現状に疑問を呈する場面があった。この専門家が誰であるかは議事録の概要では明らかにされていないが、技術基準を監督する立場にある原子力安全基盤機構(JNES)を厳しく非難したのだ。この専門家は福島第1原発に設置されている非常用電源の天候悪化時の備えについて、JNESの対応が甘いと指摘した。この非常用電源は3月11日の大津波の被害を受け、作動しなくなるものだ。
JNESは福島第1原発1号機の検査を実施した。他の原発の原子炉では雨や海水による腐食が記録されていたにもかかわらず、1号機の検査では雨や海水による腐食は可能性が低いとして検査から除外された。
審議会に出席したJNESの担当者はこの専門家の批判に対して、一言、「わかりました」と述べた。その後、何らかの措置がとられたかどうかは明らかではない。この審議会の会長を務めた東京大学大学院工学部の幹部はコメントを差し控えた。
この批判が再び取り上げられることはなかった。今年1月19日に行なわれた最後の会合で、東京電力の一人の幹部が耐震措置について説明をした際に、異論を唱えるメンバーはいなかった。外部の専門家で構成された審議会は原子力安全・保安院に最終報告書のとりまとめをまかせた。
原子力安全・保安院は審議会が原発全体の構造ではなく、特定の部品や設備の耐久性に注目し、議論が狭い範囲にとどまったことを認めている。
1971年に運転を開始した福島第1原発1号機の構造は時代遅れだ。しかし、米国の規制当局が、安全性の向上確保と機能改善で原発を安全な状態に維持するという条件で、運転開始から何十年も経過した原発の運転継続を許可していたことから、日本も安心していた。
原子力安全・保安院は2月7日、福島第1原発の原子炉は60年間、安全に運転できるとの結論を出した。その際に、米原子力規制委員会が米国内の同様の原発に関して出した提言を引き合いに出している。ここで言及された米国の原発は地震が頻発する地域にあるわけでもなく、また、津波の脅威にさらされているものでもない。
そして、原子力安全・保安院は福島第1原発1号機の運転継続を認可、2021年までの運転が可能であると判断した。3月11日に東日本大震災が起き、1号機で核燃料のメルトダウンが発生して、原子炉建屋が爆発したのは、認可の日からたった5週間後のことだった。