漢検1級198点!! 満点取るまで生涯学習!! ➪ “俳句”

我孫子・手賀沼と愛猫レオンの徒然日記。漢検1級チャレンジャーの方の参考となるブログ。2018年7月から“俳句”も開始。

漢検1級 27-③に向けて その20  文章題訓練②

2015年11月17日 | 文章題
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<「漢字の学習の大禁忌は作輟なり」・・・「作輟(サクテツ)」:やったりやらなかったりすること・・・>
<漢検1級 27-③に向けて その20>

●文章題②も、芥川龍之介のあまりにも有名な「羅生門」からです。なお、出典は、青空文庫の「新字新仮名、作品ID:127」からです。
●満点に近い出来にしたいところ・・・制限時間は5分程度でしょうか(^^)

●文章題②:次の文章中の傍線(1~10)のカタカナを漢字に直し、傍線(ア~コ)の漢字の読みをひらがなで記せ。(30) 書き2×10 読み1×10
「・・・下人は、大きな(1)クサメをして、それから、(2)タイギそうに立上った。夕冷えのする京都は、もう火桶が欲しいほどの寒さである。風は門の柱と柱との間を、夕闇と共に遠慮なく、吹きぬける。(ア)丹塗の柱にとまっていた(イ)蟋蟀も、もうどこかへ行ってしまった。
・・・下人は、頸をちぢめながら、山吹や(ウ)汗袗に重ねた、紺の(エ)襖の肩を高くして門のまわりを見まわした。雨風の(オ)患えのない、人目にかかる惧れのない、一晩楽にねられそうな所があれば、そこでともかくも、夜を明かそうと思ったからである。すると、幸い門の上の楼へ上る、幅の広い、これも丹を塗った(3)ハシゴが眼についた。上なら、人がいたにしても、どうせ死人ばかりである。下人はそこで、腰にさげた聖柄の太刀が(4)サヤ走らないように気をつけながら、(5)ワラゾウリをはいた足を、そのハシゴの一番下の段へふみかけた。
それから、何分かの後である。羅生門の楼の上へ出る、幅の広いハシゴの中段に、一人の男が、猫のように身をちぢめて、息を殺しながら、上の容子を窺っていた。楼の上からさす火の光が、かすかに、その男の右の頬をぬらしている。短い鬚の中に、赤く膿を持った(6)ニキビのある頬である。下人は、始めから、この上にいる者は、死人ばかりだと高を(7)ククっていた。それが、ハシゴを二三段上って見ると、上では誰か火をとぼして、しかもその火をそこここと動かしているらしい。これは、その濁った、黄いろい光が、隅々に(8)クモの巣をかけた天井裏に、揺れながら映ったので、すぐにそれと知れたのである。この雨の夜に、この羅生門の上で、火をともしているからは、どうせただの者ではない。
・・・下人の眼は、その時、はじめてその死骸の中に(カ)蹲っている人間を見た。(キ)檜皮色の着物を着た、背の低い、痩せた、白髪頭の、猿のような老婆である。その老婆は、右の手に火をともした松の木片を持って、その死骸の一つの顔を(9)ノゾきこむように眺めていた。髪の毛の長い所を見ると、多分女の死骸であろう。
・・・
 老婆は、一目下人を見ると、まるで(ク)弩にでも弾かれたように、飛び上った。
「おのれ、どこへ行く。」
・・・
老婆の話が完(おわ)ると、下人は嘲るような声で念を押した。そうして、一足前へ出ると、不意に右の手をニキビから離して、老婆の襟上をつかみながら、噛みつくようにこう云った。
「では、己(おれ)が(ケ)引剥をしようと恨むまいな。己もそうしなければ、饑死(うえじに)をする体なのだ。」
 下人は、すばやく、老婆の着物を剥ぎとった。それから、足にしがみつこうとする老婆を、手荒く死骸の上へ蹴倒した。ハシゴの口までは、僅かに五歩を数えるばかりである。下人は、剥ぎとった檜皮色の着物をわきにかかえて、またたく間に急なハシゴを夜の底へかけ下りた。
 しばらく、死んだように倒れていた老婆が、死骸の中から、その裸の体を起したのは、それから間もなくの事である。老婆はつぶやくような、うめくような声を立てながら、まだ燃えている火の光をたよりに、ハシゴの口まで、這って行った。そうして、そこから、短い白髪を(コ)倒にして、門の下をノゾきこんだ。外には、ただ、黒(10)トウトウたる夜があるばかりである。
 下人の行方は、誰も知らない。」(「羅生門」(芥川龍之介))
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<書き>
(1)嚔 (2)大儀 (3)梯子(梯) (4)鞘 (5)藁草履 (6)面皰(靤・皰)(7)括 (8)蜘蛛 (9)覗(覘・窺でも可か)(10)洞々(洞洞)
<読み>
(ア)にぬり (イ)きりぎりす(「こおろぎ」でも可か) (ウ)かざみ (エ)あお (オ)うれ (カ)うずくま (キ)ひわだいろ (ク)いしゆみ (ケ)ひはぎ(ひきはぎ) (コ)さかさま

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コメント (2)
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