筋肉が、痙攣しているよ。
この荒野の砂ぼこりに口の中が砂利まみれになり、絶望と暗闇に囚われて。
父母が死に、我が歯が抜けて。
この魑魅魍魎とした世界に片腕と、右目を置いていくよ。
呪いの言葉は要らない。
充分すぎるほどの、阿鼻叫喚が目障りで。
狂っていい。
死の淵に目を凝らしていい。
こんなことが出来るなら、泣きはしない。
家族が不在。
学歴も、履歴も、全てが、まやかしになり。
唾液と、胃液と、夜の湿った空気に溶かされて。
贖罪はない。
聖書も燃えた。尽きた。
酒は、細胞にしみ込んだ。
金は、弔鐘との道ずれになり。
わが皮膚も筋肉も、痙攣をおこし、友が消えて。
胃液にまみれて。
悪夢の輪廻。
暗闇と、不条理の、快楽が、神経を逆なでる。
誰でもいいから、救っておくれよ。
この無様な、生身の生き物を。
涙も唾液も、区別つかずに。
破れて。溶けて。
小さくなった詩集を。
噛み砕け。
神よ。
苦を。
それだけを。
神よ。
私だけの神よ。