日本学術会議が推薦した新会員の候補者6人が任命されなかった問題で、政府が1983年の日本学術会議法改正に際し、首相の任命は「形式的」との見解を記した文書を作成していたことが3日、分かった。立憲民主党の小西洋之参院議員が国立公文書館で確認した。

 文書は総理府(現内閣府)が83年に作成したとみられる「日本学術会議関係想定問答」で、内閣法制局の「法律案審議録」に含まれていた。首相の任命は実質的かとの問いに「推薦に基づいて会員を任命することとなっており、形式的任命である」と答えていた。

 ほとんど同じ構造をもっている条文が憲法6条1項にある。 天皇の国事行為だ。

「天皇は、国会の指名に基づいて、内閣総理大臣を任命する」とある。 

日本学術会議法では「学術会議の推薦に基づいて内閣総理大臣が任命する」。

主語と述語は入れ替わるが、同じ構造だ。 

ということは官房長官の言い方だと、国会が指名した人物について天皇が「この者は駄目だから任命しない」と言えることになる。 同じ理屈だ。

つまり任命権があることを、「任命が拒否できる権限もある」というふうに思うのは間違いなのだ。

 総理の下にあるけれど、総理からは独立してる。

学術会議は学術行政について政府に勧告権をもっているが、独立性がなくなれば、政府がこう言ってくれということしか言わなくなってしまう。

だから存在意義がなくなり、学問自体の独立や自由が公的機関では保障できなくなる。

だからこの法律は、「任命しない」ということは考えていないのである。