日本の問題と解決策を考える

一石五鳥の地球温暖化防止策を考える
 
日本の真の活性化を考える  吉川忠雄

東電は大津波を試算したが・・・3年放置

2011-08-26 16:47:40 | 日記
最近の報道によれば「東電が2008年に2つの地震を想定した試算をしたが、両方とも9mを超える大津波が襲来する結果が出ていた」と言うことです。

「想定外だった」というのはウソで「地震学者の説を一応想定して試算してみたが、まったく東電としては本気ではなかった」ということのようです。

東電側は8月24日の記者会見で「あくまで調査研究の中での試算」と説明しました。

2つの想定地震を十分起こり得るものとは始めから考えず、仮想に仮想を重ねた机上の試算だとみなして、対策などは議論さえしなかったと言うことのようです。

しかし、国の地震調査研究推進本部が2002年に「三陸沖から房総沖にかけてM8クラスの地震が起きる可能性がある」という評価をしています。

東電が2008年にM8・3の明治三陸地震規模が福島県沖で起きたと仮定して試算したのは遅すぎるくらいであり、その試算結果も「十分起こり得るもの」として真剣に考えるべきだったのは明白です。

また、地震学者らが公表したM8・4の貞観地震(1100年ほど前)をモデルとする東電の津波計算でも大津波の結果が出たとあるが、これも「十分起こり得るもの」として真剣に考えるべきだったのは明白です。

東電は利益を十分すぎるほど上げており、原発推進のPRや工作にはふんだんにお金を使っていたのに・・・

比較的少ない経費で出来る対策、たとえば「自前の電源車を高い所に配備する」とか「大地震・津波訓練を強化する」とかさえ行わなかった・・・

「積極的に安全策を考え、実行する」と言う姿勢が全くなかった・・・としか思えない・・・

それに本来は原子力安全・保安院の方もそう言う試算をして、電力会社の安全対策を点検し、改善を強力に指導すべきものでしょう。


思い出しましたが、原発災害用ロボットのことを6月26日の民放番組「ガイアの夜明け」で映像入りで紹介していました。

原発災害用ロボットは国が30億円の予算を投入し、10年前日立のスワンなど6台が造られたのです。

しかし、その後すべて廃棄されていたのです。

東電を中心とした電力会社は「原発では人が入れないほどの危機的事故は起きない。ロボットを活用する場面はほとんど無い」として「ロボットの導入を拒否した」からです。

2002年の防災ロボット実用化評価検討報告書にはっきりとそう書いてあったのが紹介されていました。

彼らを指導できなかった経済産業省の方も・・・

こういう「いきさつ」があったのでなおのこと、東電では3・11の直後もロボットを使うことに腰が重かったのでしょう。

電力会社や政官学財の原発推進派は「日本の原発は安全だ」「エネルギーの未来は原発が担う」「原発は一番コストが安い」という「言葉とイメージ」だけは懸命に普及させて来ました。

しかしその実態は上記のごときものでした。

「原発は一番コストが安い」という「数字と言葉とイメージ」もまた数字のマジックを使った「ウソ」であり、トラブルがほとんど無いフル稼働に近い仮想モデルを使った有り得ない数字に過ぎません。

稼動実績を踏まえ、かつ電気料金以外の国の負担を含めた総合的コストで計算するとその3倍ほどにもなり、高いと言われる石油火力の2倍近くも高コストなのです。


元安、ウォン安で円高だから苦しい・・・デフレからソフトインフレへ政策転換を!

2011-08-23 21:17:14 | 日記
米国の大手格付け会社「ムーディーズ」は日本国債の「格付け」を一段引き下げました。

もちろんこれは本来なら悪い話です。

しかし、以前から「格付け」は低いのに、その事で日本国債や円への国際的信用不安が起きたことはありません。

今回もまたそうでしょう。

なぜなら日本にお金を貸している国はなく、逆に借りている国や金融機関が多いからです。

「格下げ」が少しでも円高を止める方向に影響するのなら、「今」は日本企業にはむしろありがたいくらいです。

理由のあるユーロ安やドル安だけならともかく、輸出競争力のある中国の元も安いまま(国の管理で)、韓国の通貨ウォンも安いまま(輸入増やインフレ策などで)、と言うイビツな状況が続いています。

こういう歪んだ国際経済状況の時期に、大震災対策を財源を気にして遅れ遅れにし、デフレ下でも「日本の財政赤字が大きいから増税を!」と財政規律にだけ馬鹿正直でタイミングの悪い政策をしていると、ますます円高が進み、デフレ不況も深まるでしょう。 

単独為替介入などでは一時的効果しかなく、為替介入ばかりに頼って大事な基本政策をおろそかにしていると中長期的には効果が無いのです。

デフレが続くから「超円高」になるのであり、日本も1~2%程度のソフトインフレを目標とする金融緩和政策を取らねば国内的だけでなく国際的にも窮地に陥ります。

ただし、金融緩和は単にインフレにすれば良いと言うやり方ではダメです。

「使い道は何でもいいから金融緩和する」と言うのでは投機的な所に回っていく可能性もあります。

日本経済を強化するために、実績と能力のある目利きの人たちが良く見極めて、本当に役に立つ投資に資金を回すものでなければなりません。

もっと知恵を使って「良いものを良いと評価」し、補助金は少なく融資を多くする必要があります。

(なお、増税を急ぎ、支出をすぐ削らないといずれ一転して日本売りとなり、1ドル150円や200円と言う過度な円安になる心配があると言う論説をする人がいます。 しかしもし過度な円安になったら(努力すれば)輸出競争力が復活し、国内の仕事や雇用が増えて好景気になり、自然増収にもなります。 税率を上げてもよい経済状況にもなります。 そして過度な円安は短期間に是正されるでしょう)









巨大投機バブルの傷は余りにも深い⇒米国はまだその付けを払っている途中

2011-08-14 10:50:51 | 日記
 日本のバブルであれほど苦い経験をしながら、あきれたことに、日本の財務官僚も多くの政治家たちや経済学者たちや評論家たちも米国のバブルについては大甘な認識でした。

むしろ米国の新自由主義による金融自由化(⇒投機の野放図化)を礼賛していたのが小泉・竹中内閣。

その後の内閣も財務省も米国のバブル期に、その崩壊を予想せず、ドルの暴落及びその後の長期低落についても、まったく予想しませんでした。

今の米欧経済の混迷の原因はいろいろありますが、その中でも最大の原因は、巨大投機バブルの傷が余りにも深いことです。 

米国・英国・南欧等はその付けを財政を使って払っている途中で財政困難になった(予想通りで当然の結果)のであり、もう財政出動による景気対策は削減せざるを得ません。

これから緊縮財政と不況を耐えて付けを払い終わる=底を打つ=のはまだまだです。

米国経済は(市場原理主義的な)自由主義と(財政・金融による目先の景気対策をとる)ケインズ主義の間を行ったり来たりしながら、落ちて行くでしょう。

(円の価値が変わらないと仮定すると)・・・1ドル60円以下になり、米国内の製造業が輸出競争力を回復するまで・・・・

そのとき米国はドル表示では減らなくても、実質経済規模が半減しているでしょう。

ドルが基軸通貨でいられるかどうかも怪しいでしょう。

こうした経済的破綻・低落は私も予想していたことだし、いくらかの人たちが予想していました。

が、主流の人たち、政策決定に影響力のある人たちは米国流資本主義を高く評価し、バブルの恐ろしさや貿易赤字をドル垂れ流しで続けることの結末を予想しませんでした。

そしてまたぞろ、「米国の長い好景気(=明らかにバブル)の時流に乗って、どう利益を得るか」を考えるだけでした。

かつての為替介入で積み上がっていた1兆420億ドルのドルや米国債をそのまま保有し続けていました。

その結果、1ドル120円だった頃1兆420億ドル=125兆円だったものが今は80兆円になってしまいました。 

たった2~3年で、36%、45兆円以上も目減りしてしまったのです!

その上、日本が1兆ドル以上もの外貨を保有していること自体が投機家たちの安心感を生み⇒円高を促進しました。 これも当然の成り行きです・・・もちろん円高の日本側での最大原因がデフレ不況だとしても・・・

財務省幹部ら公的責任のある人たちがそれで済むのでしょうか?

彼らに今後の米国経済や世界経済を読む力があるのでしょうか?

彼らに今後の日本経済を強化出来る政策が作れるでしょうか?

財務省幹部らの「増税路線+大震災にもケチケチ路線」で日本が元気になれるでしょうか?


今の経済産業省路線・・・発送電分離+電力自由化政策を採らず、既存電力会社の地域独占体制を維持したままで、「再生可能エネルギ-はまだまだコストが高いから電力料金を上げる。 やはり原発も必要」と言っていて日本が元気になれるでしょうか?

90%の熱効率を実現できるガス・コンパインド発電+温水供給システムへの切り替えを先行させ、脱原発を断行する政策を採らずに、日本が元気になれるでしょうか?

福島第一原発の海側に防潮堤を築かずに、大余震による大津波で高放射能汚染水が大量に海に流出し、日本の水産業が全滅したら・・・日本が元気になれるでしょうか?・・・

為替介入は一時効果・・・デフレ増税策をインフレ+有効投資政策へ切り替えよ!

2011-08-04 13:50:42 | 日記
本日=8月4日の日本単独円売りドル買いの為替介入は円高阻止に確かに効果がありました。

思い出せば、1ドル九十数円の時も何兆円もの為替介入し、何円かの効果が確かにありました。 

・・・が、・・・その後、月日を経て77円を割り込んでしまいました・・・

・・・結局、数か月単位では介入の効果はほとんどなく・・・過去の為替介入の結果国が持っていた巨額な米国債やドルは一層価値が下がってしまいました。  

1ドル120円だった頃1兆420億ドル=125兆円だったものが今は80兆円になってしまいました。 

何と! 36%、45兆円以上も目減りしてしまったのです! たった2~3年で!

今度もその二の舞にならないでしょうか?

また、為替介入の結果、「日本が巨額なドルや米国債という外貨準備を保有していること自体」が、「日本の円は相対的に安心だ」と国際的に思われてしまい、長期的な円高に繋がっている面もあるでしょう。

1ドル120円ぐらいで一時よりかなりドルが高めに戻っていた頃、財務省はなぜ米国債を買い替えせずに、有効に使ったり、金に換えたりしなかったのでしょうか?

もう大きくドル安には振れないとでも思っていたのでしょうか? 

財務省こそ国際経済音痴のバカ者たちなのではないでしょうか?

それとも米国の顔色が怖くて何十兆円もの損失をして、日本国民にその負担を回す売国的な者たちなのでしょうか?

また、円高の日本側の要因はデフレ不況そのものであり、財務省路線=被災者をろくに救済しないケチケチ路線+増税に偏った財政規律路線です。

★米国経済の不振や今回の債務上限(=国債枠)騒動に見られるように、オバマ大統領のケインズ政策も巨大バブル崩壊後の米経済の地盤沈下を止められるものではありません。 

●財政赤字=有効需要、と言うケインズ理論での有効需要創出政策は、その効果が一時的で、やがて財源切れで終わります。 

後には大きな財政の累積赤字が残ってしまいました。 また財政赤字が続くような構造的体制が出来てしまい、容易に抜け出せなくなりました。
 
●金融の超緩和政策も⇒ドル札を刷りまくってゼロ金利で民間(営利)銀行に貸し出す⇒不況の米国内ではあまり投資せず、投資銀行(=実は投機屋)やヘッジファンド(=と言う名の投機屋)などを経由して資源や食糧への投機に回り、また中国その他の新興国への投資や投機に回りました。

野放図な投機による巨大バブルの膨張・崩壊の後の米国経済には、上記のような対策では一時しのぎ的効果しかなく、立て直しには役立ちませんでした。

こうなることは私も十分予想していました。

また、私は崩壊の数年前から「米国の新自由主義による金融の野放図な自由化⇒金融投機の膨張⇒巨大バブルの膨張と崩壊」となることを因果関係を含めて指摘し、予想してきました。

とかろが、あきれたことに、財務官僚も多くの政治家や経済学者たちも、日本のバブルを経験しながら米国については大甘な認識で、米国のバブルとその後の転落について、そしてドルの凋落について、的確に予測しませんでした。


米国の例を見ても、日本のこれまでを見ても解るように、日本経済に今必要なのはデフレをひどくする「必要な事にケチケチ+増税路線」ではなく、「消費的な物あるいは有効性が乏しい投資による有効需要の創出」でもなく、「本当に将来有望な投資による有効需要の創出」です。

将来の日本経済を元気にし、税収を増やしてくれる物や人への予算付け+低利融資による投資こそが必要です。 

肝心なのは、それを判断するのに、今主流派である省益重視の旧守官僚の遅れた考え、経験・実績無しの上に不勉強、目利きではない悪いセンスでの判断ではダメだということです。

今地域独占で利益が多い電力会社が幅を利かせている財界の意向を汲んでの判断ではダメだということです。

彼らは目先の利益優先の事が多く、長期的投資でも米国を手本に原発などに傾斜してしまいます。 

それどころか「原発の未来を開くために核燃料サイクルはぜひ必要だ。そのためには高速増殖炉が必要」と言う理由で「高速増殖炉」などと言う二重に危険極まる原子炉、安全に出来っこないシロモノの実用化を目標にし、実質2兆円以上掛けて推進しました。 

後何兆円ドブに捨てるつもりなのか?

私に言わせれば「狂気の沙汰」です。 

そんな使うはずの無い技術も維持する必要はありません。

そのくせ、日本の研究者たちの極めて価値ある挑戦にも「実用化できるか不確かだ」と言う事を理由にして、比較的少額な投資さえためらいます。

たとえば、自然エネルギーに関する日本の特許件数は世界一ですが、実用化や普及は世界の先行国より遅れをとっています。

いつも「日本経済の活性化のために、成長のために、原発は必要! ○○が必要!」と主張している今の原発村的な利権構造の体制こそ、実は日本の真の活性化を邪魔する壁なのです。

したがって、こうした利権構造の体制を打破・解体し、民間企業などでの実績が有る目利きの人たちを集めた日本活性化委員会(仮称)や各地の活性化委員会を作り、目利きたちが本当に将来要望な技術やアイデアと人(経営者など)を選び、その実用化・事業化を国や自治体や公的金融や民間銀行などが支援する体制が必要です。

また、長期的には、子育て支援や教育について、内容と制度と予算の付け方を大改革する必要があります。 「人への本当に有効な投資」が日本の未来、経済と財政の未来を明るく出来るからです。