ルンバとスリスリが珍しくもニコニコして話し掛けてきた。
「お父さん、明日何か食べたいもの ある?」と訊く。
(何だ、突然に)と思う私。
「ほら、早く決めてよ」と迫られるが、この年になるとそんなに食欲は無い。
それにどうして明日なんだと云う疑問もある。
「どうして急にそんな事を聞くんだ?」と云ったら笑顔を消し、二人とも私を見下したような顔をして口を揃えたのが
「自分の誕生日を忘れたの?」と云う言葉。
「明日は俺の誕生日なの?」と確認すると
ボケ老人を憐れむような目をして私を見た。
私は、しばらく無言。
無言で彼女達と対峙。
そして云ってやった。
「俺の誕生日は、明日では無くて明後日だ」
今度は二人がアタフタする番だ。
カレンダーを確認して「今日は何日なの?」なんて言っている。
私はこれ以上無い冷たい声で「2日だ」と教えてやった。