頑張ったのだけれど、出ないものは出ない。
気配も無い。
ウォーキングはイザと云う時に直ぐ戻れる自宅を中心にした狭い範囲をウロウロし腸が動くのを待ったが、不思議なことに反応が無い。
それで橋を渡って駅の方まで歩く範囲を広げた。
あまり通ることの無い裏道を進むとルピナスが草むらの奥に卒塔婆のように立っていた。
寺の門前にある案内表示板には、今日の一言だろうか墨痕も鮮やかに
「理屈で人は動かない」と書いてある。
(人は何で動くのだろう) と考えながら歩く。
(やっぱり 金かなぁ……) と思った瞬間、気体が漏れた。
気体が出たと云うことは期待ができる。
気体の奥には「実」が隠れていることが多い。それで表通りへ出てUターン。
(自分なら何で動くだろう)と、少し動き出した腸のことを感じながら考える。
郵便局の配送用軽自動車が郵便局の前で停まり、運転席から降りて来たのが女性局員。その制服の胸が膨らんでいるのをみた瞬間、自分が何で動くかが分かった。
後はもう一つの悩みを解決するだけだ。
スッキリしたらもう一度ウォークに出ようと思いながら自宅への道を急いだ。