昨日のことだ。
初対面のマイフレK子さんが空港へ降り立つ日だ。
羽田のように広い空港では無いので、大勢の人が行き交うこともなく、荷物受け取り口の先が唯一の乗客の出口だ。
打ち合わせてある合い言葉を太字のマジックで書いた紙を出てくる乗客に見えるようにして待つ。
「私、ドンくさいから出てくるのは遅くなるから迎えも定時より遅くて良い」と云われていたのだが、それにしても遅い。
もう出てしまったのかと心配になり、ロビーに残っている人に紙を見せて廻るが皆??と無反応。
もう一度ゲート口に戻ったら、荷物をチェックする係の女性が(もう誰も残っていませんよ)と云う顔をする。
(これはヤバイかも)と心配になったとき、ゲート奥にあるらしいトイレから人が現れた。
どうやらトイレで個体か液体か、それとも気体かは知らないが放出して身軽になっていたのか、それとも入念に化粧をしていたのか・・・・・・
とにかく最初からドキドキしたが無事に対面でき車に乗せて出発。
先ずは何処までも続く直線道路を走る。
しばらくして助手席で妙な動きをする彼女に気がついた。
胸元を広げて手を入れ、ゴソゴソしている。
どこか痒いのか? 脇汗でも拭いているのか、それとも乳の位置を修正しているのか・・・・・・?。
ハンドルを握りながら視線が勝手にチラチラと横を見てしまうし気になって仕方が無い。
直線道路を蛇行する私の車。
だから、思い切って訊いた。
「ねぇ、もしかしたらだけれど、胸元を広げてオレを誘惑しているの?」
彼女はギエッと慌てて「違います、違います」と否定したのたが、何をしていたのかは言わない。
(危ないから胸元を広げるのは停まっている時にして欲しいなぁ・・・・・・
誘惑するなら面倒くさいから最初からポロンと出してくれた方が手間は省けるし「手伝って」と言われたら、いくらでも手伝ってあげるからさぁ)と云う言葉を飲み込む。
どうやら、無事に私と遭遇でき、車に乗った途端気が緩んで自分の部屋にでもいるような気持ちになった様子。
つまり、既に私のことは意識していないようだ。
これは鈍くさいどころか、相当の難物に違いないと、このとき確信した。