来春から販売する、「一閑貼り」に使う和紙の仕入れに遣って来たのだ。和紙の事はほとんど知らないので、山口さんにあれやこれやと質問ばかりしてしまった。
和紙は未だに、古い単位である「匁(もんめ)」と云う単位で呼ばれている。重さの単位だ。昔は子供の頃に太った人のことを「百貫でぶ」なんて言っていた事もあるが、尺貫法の呼び名である。
「5匁の厚さの紙」とか「6匁の厚さ」と言っているが、100枚の重さを量って、その時の匁が紙の厚さを表す呼び名になっている。昔は天秤秤で重さを量っていたようだが、今は、ちゃんとグラムと匁が出る秤で量っていた。
質量単位の貫は1000匁に当たり、明治時代に 1貫 = 3.75キログラム(kg) と定義された。通貨単位の貫は1000文、100疋に相当する。
いろいろな種類の和紙があるが、私どもの作品に使いたい和紙を説明し、どれが適しているか判断して頂いた。
元々は、掛け軸などの表装に使う和紙が殆どであったそうだが、やはり、需要が減ってきて、色を付けた民芸紙などと呼ばれる和紙がく多くなってきたそうだ。
掛け軸に使う和紙には、少し石粉を混ぜるそうだ。何故。そんな物を混ぜるのか?と云うと、壁から出る湿気を石粉が吸ったり履いたりして、和紙に反りが出ないように調節してくれるそうだ。
ふつう、表装には肌裏・中裏・総裏と3種類の和紙を重ねていくそうだが、1枚貼っては自然乾燥し、次を貼る、また自然乾燥し3枚目を貼るそうだ、掛け軸の表装を頼むと、最低でも3ヶ月は掛かるのはこの性だ。一ヶ月で出来上がる遣り方もあるそうだが、それは、アイロンを掛けたり、簡易仕上げなので本当の意味での表装では無いそうだ。
楮(こうぞ)の生漉き(きすき)。これが原料が100% こうぞで漉かれた和紙である。
山口さんの所では、三つの漉き船がある。和紙を漉く水槽の事を形が船に似ていることから、そう呼ぶそうだ。手際良く、熟練者の仕事ぶりは見ていて気持ちが良い。
一日中、この漉き船の前に立ち、和紙を漉いている。一日目一杯漉いて、300枚くらいを漉くそうだ。
この船に入れた分はその日の内に漉きこまなければ為らない。和紙の原液が多いうちはまだ良いのだが、だんだんと漉き上げ減ってくると、前屈みになってくると、腰に相当な負担が掛かってくる、我々、竹職人と同じように腰痛は職業病のようだ!
どの道具を見ても面白い!
これは、和紙を漉く簀(す)。
国産の真竹を極細の竹ひごに加工し,強靭な絹糸で等間隔に簾状に編み込んだもので,連日水の中で千回近くも揺り動かされる為,編み崩れない均一な強さが要求される。
簀(す)は「薄くて丈夫で美しい」和紙の特色を生み出す重要な役割を担っている。
この簀(す)自体も、非常に美しい。細く細く揃えられた竹ヒゴ、絹糸も普通の物より、1.5倍のよりを掛けた手作りの絹糸だそうだ。もう、これだけ細かい簀(す)を作れる職人さんも少なくなり、日本に数人しか居ないだろう?と云う。
これは、簀(す)を載せる枠である。この枠にも、長年培われたノウハウが凝縮されている。簀(す)を載せる所は、真ん中が微妙に湾曲し盛り上がっている。これは、漉く時に和紙の原料が載ったときにその重さで真ん中が沈み込まない様に、微妙に盛り上がっているそうだ。先人の知恵が少しずつ今の形を作っているのだ。
当然、簀(す)も枠も高価な物になる。
これをいろいろな大きさに合わせて作っていくと簀(す)だけでも20本、枠も20枚と云う感じになる。それだけで何百万の道具である。
今回は、ブログの記事と云うより、私自身が聞いていて面白くて、面白くて!
明日の記事まで つづく
自分磨き 匠 記念日 贈り物 オーダーメイド 名入れ箸 このブログの応援をこめて、下のバナーを押して下さい!
にほんブログ村
ワンクリックありがとうございました。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます