10月の中旬から、出張は無いので、一日中工房で物作りをしている。販売のシーズンが終わり、シーズン中に頂いた注文を作っていく。今日はその中の一つ「波網代手提げバッグ」だ。
網代編みの中でも一番高度な技術がいる波網代、ヒゴの巾を変えることで模様にうねりを出し、波模様を作っていく。ヒゴ巾と同じように厚みも微妙に変えていかないと、目の積んだ美しい模様が出ない。素材の竹は、真竹を高圧窯で蒸して炭化させた物だ。昔は、藁葺きの屋根の骨組みに使われて、囲炉裏の煙で何十年も燻された竹を「煤竹」と言うのだが、今は殆んど手に入らなくなってしまった為、人工的に高圧窯で燻製にして作ったものだ。使い込んでいくと飴色に光沢が増してくる。
今まで、ハンドバッグとして作っていたのだが、お客様の要望で、「蓋付きの手提げ籠」として作ってほしいと依頼があった。蓋付きはバッグを二つ作るより手間が掛かる。上下の大きさを微妙に変えながら、開きやすく、簡単に開かない、見た目に美しい表情を作らなくてはならない。バッグの底の様に、角がでる編み方でなく、網目を縁に押し込んで丸い形状を大事にした。この方が優しい表情になるが、手間は3倍掛かってしまった。
持ち手も2枚の竹を火で炙りながら曲げていく、曲がりの違う竹を張り合わせることでしなりのある、曲がりが戻らない形を作っていくのだ。籐で2枚の竹を巻き上げ、飾りをつける、これでぐっと高級感が出る。後は内布を張って出来上がり。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます