著者名 :山崎 豊子
書籍名 :約束の海
出版社 :新潮文庫
発刊日 :2017年6月 第4刷(2016年8月1刷) 単行本は2014年2月刊
価 格 :670円プラス税 p436
ジャンル:小説
読了日 :2019年2月1日。
構 成 :全3部(上中下という分け方だろうか?)を想定していたが、1部を書き終えたところで亡くなられ、本作が最後の遺作となった。
1潜水艦くにしお
著者である山崎氏は、実在の人物、初めて武器を持たない戦争をした花巻和成(本名:酒巻和男(パールハーバーで日本人で最初の捕虜となった))について強い興味を持ち取材。朔太郎は、小説における著者の創造の人物で花巻の息子であり主人公として描く。
2展示訓練
3衝突事件
4海難裁判
5去るべきか
6巻末のいわゆる取材ノートが面白い。「私の小説は高層建築のようなものなので、予め設計図をつくっておく必要があるのです。」
経 歴 :大阪市生まれ。京都女子大学国文科卒業。毎日新聞大阪本社学芸部勤務。その傍らで小説を書き始め、
1957年『暖簾』をリリース。
翌年『花のれん』で直木賞受賞。作家に。
医療業界を描いた『白い巨塔』
日本の軍部を裁く東京裁判を描いた『二つの祖国』
『大地の子』
『沈まぬ太陽』
2009年ジャーナリストを描いた『運命の人』を刊行。毎日出版文化賞特別賞
2013年『約束の海』が遺作となった。巻末に記載があるが、文字通り、死ぬまで書ききった人生となった。
あらすじ:主人公は花巻朔太郎。日本人で初めて捕虜となった花巻和成が父親。花巻は家族の反対を押し切り、防衛大学校を卒業後に潜水艦乗りとなる。そして自衛隊潜水艦くにしおに乗艦していた折、民間船と衝突。海難裁判(二度と起こさないようにするための原因究明目的の裁判で罪を裁くわけではない)になり、世間の注目を浴びることに。一方で、朔太郎は、先輩である原田と共にたまたま出会うフルート奏者の頼子とやがてひかれあう。だが、朔太郎は、事故で亡くなった遺族を周るうち、同年齢で亡くなった子供の親の気持ちを知り、いたたまれなくなり、一時は、自衛隊の辞職さえ考える。しかし、元海軍で日本人で捕虜となった経験を持つ父親と話をし、また再考する。父の残した詩を以前にたまたま見てしまった朔太郎は、父親についてもっと知りたくなるのだった。
父親が潜水特攻の際に詠んだ辞世の句と思われる「櫻花 散るべき時に散らしめよ 枝葉に濡るる 今日の悲しみ」。