先進国、途上国問わず問題になっている今ホットな経済テーマだ。タイのタクシン政権が崩壊した理由もまさにこれ。
福島県知事の辞職もこれ。規制で守られた部分の権益を手に入れれば、市場活動を通じて事業を行うよりも莫大な利益が得られるため、その権益を追求して利益をあげようとする活動を指す。
中国で今起きていることもまさにこれ。
鄧小平が78年に改革・解放政策を実行に移してから28年、幾度もの行政機構改革、党政分離などを主張・実行しようとするも何らかの抵抗につまずきうまくいかなかった。ウェーバーの述べた官僚制を目指したことに間違いはなかった。改革は、特に経済改革は斬新的と言われるも、急激に効果が効果が表れた。だが、政治・行政機構改革を後にしたがために改革の効果が表れたころには既に、中国の人口と広大な土地の規模を考えれば、市場導入や機構改革によってその構造は縮小されていた。そして、格差解消を党主導で是正しようと考えても、逆に党の市場介入は腐敗の温床となり、格差を広げる力に寄与している。
朱鎔基元首相も三大改革(国有企業・金融・行政改革)を掲げ、汚職・腐敗と戦った。彼は国計委(国家計画委員会後は国家発展計画委員会)の権限を削減し、権力基盤だった国経貿委(国家経済貿易委員会)に権限を移動させ、自身が統治しやすいように改革していった。これは中国ではまず官僚組織を自分の下に置かなければ、正しい理念、問題を解決するための意識を持ち、それを実現するための戦略を策定しても実行不可能な現実を分かっていたからだ。
胡錦涛総書記、温家宝首相が真に清廉ならば、腐敗の温床となっている党の市場介入(許認可権限の濫用、公私混同)を徹底的に取り締まる必要がある。もし、そのために地方の権限が邪魔になるならばもう一度中央集権を強化させることも考える必要がある。