大学の友人に誘われ、原発震災の危険性とともに徐々にその存在も知られるようになってきた御前崎市(旧浜岡町)の浜岡原子力発電所に行き、関係各所を見学した。
最初に断っておきますが、私は、原発に対しては、その必要性を完全否定する立場ではありませんが、まだ人間の扱うようなものではないという認識を持っています。
その私からみても、明らかにクレイジーな存在なのが、富士山を有するあの静岡県にある、御前崎市(旧浜岡町)中部電力浜岡原子力発電所です。
何が危険で、クレイジーか?それは、その浜岡原発が「東海地震」が起こると想定されている場所にあり、しかもちょうどその震源地の真上に位置しているからです。
浜岡原発には、全部で5機あるのですが、現在は、4号機のみ稼動中で、あとは停止中、定期点検中、または事故を起こして調査中。5号機は2005年に運転を開始し、今年の第一回定期検査の約二ヵ月後にタービン事故が起きています。【検査後に事故???】が起きて、停止。建設を担当した日立製作所に損害賠償請求を検討中の状況。
中部電力は耐震補強を施しているから問題ないとしているが、残り1機も私は廃炉にすべきだと思います。
こういった3K(扱うのに危険、汚い、きつい)の典型的なものは、どうしても日本の片隅に置かれることになってしまう。なぜなら、人や企業、資金の流れが地方に行けばいくほど悪いからである。しかし、原発があるところ、もれなく自治体財政の状況が悪くない。これは、国からの交付金が原発の存在によって多くなるからです。地域経済を歪める要因にもなっている。しかも国の財政状況はご存知の通り、理論上は破綻しています。
私は東京・大阪などの大都市圏に原発を造れば良いとさえ思う。
国、自治体、企業、ヤクザ、学者、マスコミなどあらゆる主体を使って地震震源地の真上に位置する浜岡原発の稼動を維持しようと躍起になっているように感じますが、「安全」と位置づけている時点で、既に破綻している論理です。
まずは「危険」ということを認めるべきであり、そしてそれを認めたなら、少なくとも浜岡原発に関しては代替エネルギーをフルに使用することで補い、クリーンエネルギーのイノベーションに挑み、推進していくべきです。
ちなみに、四季報の中部電力(9502)を見ると、「~5号機停止で60%想定の原子力利用率が37%に低下。石油火力で代替、燃料費増え営業益大幅減額」とある。
そして、展開に、「3箇所で風力発電所の開発を計画、新エネ推進」ともある。
原子力は確かにエネルギー製造コストは安いが、実は、大規模な初期投資(発電所建設コスト)を必要とし、その後のランニングコスト・地元安全対策費にすさまじいコストがかかっている。そして、そのこと(交付金=ひも付き補助金)が地元首長の判断を狂わせてもいる。
新エネ推進には大いに期待したい。そして、断層上に位置する浜岡原発、島根原発(事実関係調査中)に関しては少なくとも停止すべきである。
(Photo By 「SENZA FINE」より)
世界的な流れを把握するにはこちら(フォーリン・アフェアーズ・ジャパン 2006年6月号『世界で見直される原子力発電の現状と課題』)。
「原油コスト、中国・インドなどのエネルギー需要から原発が見直されつつあるが、一方で使用済み核燃料の安全な管理体制、経済性には疑問が残され、石油や天然ガスの価格が下がった場合には、生産性の比較優位を失う可能性もある」と指摘しています。