硝子戸の外へ。

優しい世界になるようにと、のんびり書き綴っています。

村田紗耶香さん 『コンビニ人間』

2016-08-19 21:35:49 | 日記
書店で村田紗耶香さんの芥川賞受賞作品『コンビニ人間』を手に取った。
此処の処、僕が読んでみたいと思う本は、大概取り寄せか絶版しているかで弱ってしまう始末。そんなことだから、受賞作品というタイトルものは、まったく手を出さないのですが、日常的にお世話になっている『コンビニ』というタイトルに惹かれてしまい、表紙を開いた。
すると、目に飛び込んできた文章が、頭の中で映像に変換されてゆく現象にくらりとして
「まずいものに手をつけてしまった」と呟く。
無論、本を放すことが出来ず、そのままレジへ。
いつもなら寄り道をするところだか、まっすぐ家に帰り、熱気で空気が歪んだ部屋の窓を開け、エアコンのスイッチを入れて、冷たい麦茶をコップに注ぎ、洗面台で汗ばんだ顔を水で洗った。
気持ちを整え、適度に冷えてきた部屋で、再び表紙を開く。

やはり、やばい。止まらないのである。どんどん読み進め、あっという間に最後のページにたどり着いてしまった。

物語の後半で、文学作品によくある「だめになってしまうのか」感が漂ってきた時にはハラハラしたけれど、着地が素晴らしく、読後感がすごくよかったのです。

主人公の女性の考え方は独特であるけれど、同意できるところも多くて、読み手によっては勇気づけられるのではないかと思いました。
村田紗耶香さん! 楽しい時間をありがとうございますー。