「ところで、川島。なんか視線を感じないか? 」
「? なんだそれ。」
「今日、電車に乗ってからずっと誰かが此方を見ているような気がする。」
「僕たちを? なんで? 」
「それは分からん。」
「気のせいだよ。」
「いや、見つめられているぞ。一度、さりげなく見渡してくれないか。」
「わかった。」
イヤホンを外したかと思うと、小さな声で耳打ちしてくる「ホトケ」。そこまで言うならと、わざとらしく首のコリをとるように首を左右に振る。視界に入るのは、当然のことながら、ほとんどがわが校の生徒で、皆が自分たちの時間を過ごしている。だから、僕たちに向けられる視線などあるわけがない。
「いや、誰もみてないぞ。気のせいだろう。」
「むぅ。変だな。すごい念を感じたんだがな。」
「念? 松嶋が言うとオカルトに聞こえるのはなぜだろう。」
「むむっ。それは遺憾だな。「念」には、色々あってだな・・・・・・。」
「その解説は、長くなりそうなのか? 」
「むむむっ。その発言は遺憾である。」
「悩み多き今の僕には、何を言っても糠に釘だよ。」
「だとしたら、なおさらだ。若者よ、心して聞け。」
「押しが強いよ。」
たわいもない会話をしながら退屈な通学時間を豊かにしてくれる松嶋が友達でいてくれて本当に良かったと思う。
「次は学園前、学園前。」
車内にアナウンスが流れると、「ホトケ」は、驚くべき速さで下車を知らせるボタンを押したが、誰かに先を越され落胆していた。
「? なんだそれ。」
「今日、電車に乗ってからずっと誰かが此方を見ているような気がする。」
「僕たちを? なんで? 」
「それは分からん。」
「気のせいだよ。」
「いや、見つめられているぞ。一度、さりげなく見渡してくれないか。」
「わかった。」
イヤホンを外したかと思うと、小さな声で耳打ちしてくる「ホトケ」。そこまで言うならと、わざとらしく首のコリをとるように首を左右に振る。視界に入るのは、当然のことながら、ほとんどがわが校の生徒で、皆が自分たちの時間を過ごしている。だから、僕たちに向けられる視線などあるわけがない。
「いや、誰もみてないぞ。気のせいだろう。」
「むぅ。変だな。すごい念を感じたんだがな。」
「念? 松嶋が言うとオカルトに聞こえるのはなぜだろう。」
「むむっ。それは遺憾だな。「念」には、色々あってだな・・・・・・。」
「その解説は、長くなりそうなのか? 」
「むむむっ。その発言は遺憾である。」
「悩み多き今の僕には、何を言っても糠に釘だよ。」
「だとしたら、なおさらだ。若者よ、心して聞け。」
「押しが強いよ。」
たわいもない会話をしながら退屈な通学時間を豊かにしてくれる松嶋が友達でいてくれて本当に良かったと思う。
「次は学園前、学園前。」
車内にアナウンスが流れると、「ホトケ」は、驚くべき速さで下車を知らせるボタンを押したが、誰かに先を越され落胆していた。