しかし、彼女に尽くされている男は、彼女の想いが一途で純粋であるが故に、何をしても許されると勘違いする者と、想いが重すぎると引いてしまう者とのどちらかに移ろってしまい、感情の変化に敏感であった彼女は、僅かでも気持の陰りを見てしまうと、小さな水たまりが、夏の日差しに晒されて蒸発してゆくように、彼への想いが消えてゆくのであった。
しかし、今、村主詩音が好きでしかたがない青年は、これまでの男子とは一線を画している存在であった。
見た目や振る舞いは、どこにでもいても、その場に溶け込んでしまうような普通の男子高校生であり、彼女の性格を十分すぎるほど理解するに至っていたが、どこか踏み込めない影のようなものを纏っていた。
彼女もそれを分かった上で、彼と会うときは、いつも一番かわいい下着をつけていっていたのであるが、手を繋ぐことすら、やんわり断ってしまうという姿勢に、尽くしたいという気持ちを持て余し、時々不安になる事もあった。
それは、村主詩音にとって、好きな人と触れ合う事が幸せを感じる動作の一つであり、精神に安定をもたらすビタミン的要素だったからであるが、彼は彼女と出会ってから、一度も気持ちの移ろいを見せず、むしろ誠実に彼女と時間を過ごしていた。
だから、彼女は、彼を信じ続けられ、満たされなくとも、どんな形であろうとも好きという気持ちに変わりはないのだと、自分を律して、ひたすら待ち続けていたのであった。
しかし、今、村主詩音が好きでしかたがない青年は、これまでの男子とは一線を画している存在であった。
見た目や振る舞いは、どこにでもいても、その場に溶け込んでしまうような普通の男子高校生であり、彼女の性格を十分すぎるほど理解するに至っていたが、どこか踏み込めない影のようなものを纏っていた。
彼女もそれを分かった上で、彼と会うときは、いつも一番かわいい下着をつけていっていたのであるが、手を繋ぐことすら、やんわり断ってしまうという姿勢に、尽くしたいという気持ちを持て余し、時々不安になる事もあった。
それは、村主詩音にとって、好きな人と触れ合う事が幸せを感じる動作の一つであり、精神に安定をもたらすビタミン的要素だったからであるが、彼は彼女と出会ってから、一度も気持ちの移ろいを見せず、むしろ誠実に彼女と時間を過ごしていた。
だから、彼女は、彼を信じ続けられ、満たされなくとも、どんな形であろうとも好きという気持ちに変わりはないのだと、自分を律して、ひたすら待ち続けていたのであった。