「RPG? 」
「そう、ロール・プレイング・ゲームや。きららの人生はきららが主人公やし、うちの人生はうちが主人公や。旅する仲間、戦う相手、見つけ出すアイテム、みんなそれぞれにあるはずなんや。」
そう言って、ワインを一気に飲み干すと、「うまっ! 今日のワイン最高やわ」と、にこやかに微笑み「ちょっと説教くさなるけど・・・。」と、母らしくない前置きして話をつづけた。
「人生をゲームの例えとしたけど、人生はゲームの世界とは似て異なる。プログラマーがおらんのやから、進めてくコツもあらへん。リセットもきかんし、死んでしまったらおしまいや。それに、弱い気持ちに負けて手を汚してしまうときもあるし、それで、心まで汚してしまうかもしれん。ほんで、仲間を傷つけるかもしれんし、仲間から傷つけられるかもしれん。ダメージを受けたら、痛い思いするし、直面する危機から逃げられへんときもある。勇者でいようとすると気持が折れてしまう。だから、ある程度、世の中に対して鈍感になっとかんと、ダメージ受けた時、回復しにくい。急がんと、ゆるっと自分の周りをよう見ながら、いろんな経験してゆく事で、勇者やヒロインにはなれんかもしれやんけど、割とええ人生が送れるんやないかと思うで。きららは、プレイヤーとしては、まだ序盤や。それやったら、辛い事があっても、今はとにかくもがいた方がええんとちがう? もがいて、もがいて、もがいてたら、旅する仲間や、アイテム、戦う相手、次に進むためのヒントに出会うはずなんさ。」
独特の世界観と例え。どんな偉大な作家や哲学者にも引けを取らない母の、母なりの哲学には、いつも驚かされる。
「ありがとう。すごく勇気づけられた。」
「きららはいろんな本読んでて、うちより博学やけど、知識は経験を通さないと、本当の意味で理解できん。結局、人は失敗からしか人生の芯を学ぶことは出来んよ。そやさかい、これはホンマもんやと思う宝物を発見するまでは、おもろそうやなと思う事には、丁寧に関わっとったら、大ゴケせんと思うし、上手くいかんだとしても後悔せんはずや・・・・・・。青春て、そんくらいでええんとちゃう? 」
「うん。」
母の言葉は私の心に深くしみ込んで、自然と涙がこぼれた。それを温かく見守っていた母は、ティシュを一枚抜き取り、
「なにがあったかわからんけど、うちはどんな時でもきららの見方や。あかんと思たらいつでも相談にのったるで安心し。 」
そう言って、両手を伸ばすと。テーブルの上でこぶしを握っていた私の両手をしっかり握り、
「生きているだけで丸儲けや。happy・go・lucky!!」
と、言った。
テーブルを彩るプリムラの花言葉。
母は私の気持に気づいていたのかな。
「青春の始まりと悲しみ」って、言い得て妙すぎる。
「そう、ロール・プレイング・ゲームや。きららの人生はきららが主人公やし、うちの人生はうちが主人公や。旅する仲間、戦う相手、見つけ出すアイテム、みんなそれぞれにあるはずなんや。」
そう言って、ワインを一気に飲み干すと、「うまっ! 今日のワイン最高やわ」と、にこやかに微笑み「ちょっと説教くさなるけど・・・。」と、母らしくない前置きして話をつづけた。
「人生をゲームの例えとしたけど、人生はゲームの世界とは似て異なる。プログラマーがおらんのやから、進めてくコツもあらへん。リセットもきかんし、死んでしまったらおしまいや。それに、弱い気持ちに負けて手を汚してしまうときもあるし、それで、心まで汚してしまうかもしれん。ほんで、仲間を傷つけるかもしれんし、仲間から傷つけられるかもしれん。ダメージを受けたら、痛い思いするし、直面する危機から逃げられへんときもある。勇者でいようとすると気持が折れてしまう。だから、ある程度、世の中に対して鈍感になっとかんと、ダメージ受けた時、回復しにくい。急がんと、ゆるっと自分の周りをよう見ながら、いろんな経験してゆく事で、勇者やヒロインにはなれんかもしれやんけど、割とええ人生が送れるんやないかと思うで。きららは、プレイヤーとしては、まだ序盤や。それやったら、辛い事があっても、今はとにかくもがいた方がええんとちがう? もがいて、もがいて、もがいてたら、旅する仲間や、アイテム、戦う相手、次に進むためのヒントに出会うはずなんさ。」
独特の世界観と例え。どんな偉大な作家や哲学者にも引けを取らない母の、母なりの哲学には、いつも驚かされる。
「ありがとう。すごく勇気づけられた。」
「きららはいろんな本読んでて、うちより博学やけど、知識は経験を通さないと、本当の意味で理解できん。結局、人は失敗からしか人生の芯を学ぶことは出来んよ。そやさかい、これはホンマもんやと思う宝物を発見するまでは、おもろそうやなと思う事には、丁寧に関わっとったら、大ゴケせんと思うし、上手くいかんだとしても後悔せんはずや・・・・・・。青春て、そんくらいでええんとちゃう? 」
「うん。」
母の言葉は私の心に深くしみ込んで、自然と涙がこぼれた。それを温かく見守っていた母は、ティシュを一枚抜き取り、
「なにがあったかわからんけど、うちはどんな時でもきららの見方や。あかんと思たらいつでも相談にのったるで安心し。 」
そう言って、両手を伸ばすと。テーブルの上でこぶしを握っていた私の両手をしっかり握り、
「生きているだけで丸儲けや。happy・go・lucky!!」
と、言った。
テーブルを彩るプリムラの花言葉。
母は私の気持に気づいていたのかな。
「青春の始まりと悲しみ」って、言い得て妙すぎる。