テラスで猫が鳴いている。なんだろうと思い猫の様子を見ると、何かに向けて鳴いているようであった。窓から顔を出し猫と同じほうを向くと、妻が猫のブラッシングの為に用いている櫛の前に一匹の雀の姿が見えた。妻はその様子を観て、雀は俊敏に動くので自力で狩ることは困難であるから、主である妻に鳴いて「捕ってほしい。」とねだっているのだと断言しているが、真相はよくわからぬ。しかし、雀は何故猫の櫛をつついているのかと不思議に思ったのでじっと観察してみると、どうやら櫛に着いた猫の毛を回収しているようであった。
動かぬ妻にしびれを切らした猫は意を決し、雀に向かって身を低くしながら静かに歩み寄っていった。しかし、雀は早々に危険を察知し猫の毛を加え春色の空に飛び去って行った。猫は残念そうにくりくりした目でその軌跡を追っていた。
雀は本当に利口な鳥である。櫛に残された冬の猫の毛はふわふわして暖かい。きっと良い巣が作れるだろう。
動かぬ妻にしびれを切らした猫は意を決し、雀に向かって身を低くしながら静かに歩み寄っていった。しかし、雀は早々に危険を察知し猫の毛を加え春色の空に飛び去って行った。猫は残念そうにくりくりした目でその軌跡を追っていた。
雀は本当に利口な鳥である。櫛に残された冬の猫の毛はふわふわして暖かい。きっと良い巣が作れるだろう。