バラに完璧を求める方には全く参考にならないので読み飛ばしてください
また、あくまでも個人的な意見ですのでご批判等、多々あるとは思いますがご容赦ください。
また参考にされる場合は自己責任でお願いします
※主にバラについて記載しています。
前回、基礎体力、基礎体力と羅列しましたが
一体どうすれば基礎体力のつく株になるのでしょうか?
健康は根から
いくら地上部に注意ばかり払っていても、肝心の根が健全でなければ健康も維持できません。根は地上部を支える大事な部分です。根が一番重要であると言っても過言ではないと思います。
例えば、昨今問題になった耐震偽造事件。見てくれが立派な建物でも基礎がしっかりしていなければ何かあった時脆いものです。
バラも同じで地上部に見合った根がないと健康な状態を維持するのが難しくなってきます。
根は謂わば人間でいう血管のようなものです。また内臓のようなものかもしれません。ここで言う根とは白い根、細根のことです。
これが多ければ多いほど、また太くしっかりしているほどバラは生き生きとしてきます。
ティーローズの挿木苗。
前にも少し書いたかもしれませんが、
みなさんの考えるバラの白根はどんなものでしょうか?白くてヒゲのように細いでしょうか?
私は自分の目で実際に見るまでは『細くて白いヒゲ根』という印象でしたが
本当に勢いのあるバラの根はモヤシのように太くみずみずしく、つるつるしていて先端が黄色いものでした。
極端に言うと蘭の根に近いです。
最初、バラの種類によって根に差があるのかな?と考えましたが、確かめてみるとノイバラ接木苗も挿木苗も一緒、つまり種類は関係ないということがわかりました。
実際にあるナーセリーに持ち込み実際に根を見ていただいたところ『バラの白根がこんなふうになるとは初めて知った』と言われました。
植え替え時、この白根を誤って折って(切って)しまうと『パキッ』という感じです。ちょうどモヤシを折ったように。
以前書いたと思うのですが現在の家に引越してきてから日当たりが極端に悪く日照は最高4時間程度(一番日光の当たる南側。東に面した庭は更に少ないです)なので一般の栽培方法では非常に育成不良になってしまうことから、暫くは地上部よりも根にばかり関心があり用土の試行錯誤のうえ現在の栽培スタイルに落ち着きました。
根にとってよい土とは?
色々な意見があると思いますが、あくまでも私の経験です。
重い土がいいか、軽い土がいいかではなく、いかに通気性が確保できるか。重い土だろうが軽い土だろうが通気性が悪ければ根にはよくないと思います。
ここで間違ってはいけないのが
通気性がよい=水はけがよいでは
ないということです。
例えば砂に植えてある苗。この砂は山砂だと思うのですが水はけがよいです。よく新苗に使われていると思いますが、もし手にすることがあれば、よ~く観察してみてください。
ポットから抜いてみると、確かに外側には根が見えると思います。が、崩してみると根土の内側には殆ど根がない場合が多いです。これは、赤土単用の場合も同じです。根がまるで空気を求めるかのように外側へ外側へと伸び、内側には根があまりない。ポットから抜いてみて外側に根が回っていて、ポットから抜いた時に土が崩れないから、全体的に根が回っているな・・・と思ってしまいますが違うんです。
実はこれ、根が窒息していると思うのです。
根が苦しいからより空気を求めるかのごとく空気のある外側、外側へ伸びていき、空気の少ない内側にはあまり根がないのだと思います。それで結果的に鉢の周囲に沿って根が土を包み込むように伸びるので、一見根が鉢全体に回ったような錯覚に陥るのです。
本当に通気性のよい用土に植えると鉢土の中心のほうまでちゃんと根が発生します。
では本当に通気性のよい土とは?
先ほども書きましたが水はけがよい=通気性がよいわけではないのです。
??と思われるかもしれません。
先ほど例に挙げた「砂」も「赤土」も粒子が細かいです。これがクセものなのです。水や空気の通る隙間が少なく、酸欠になりやすいと思うのです。
更にこれらは意外にも保水性があり水はけがよいからと水遣りばかりしていると根腐れにも繋がります。
ではどうしたら通気性を確保できるか?ですが、異径の粒子を組み合わせることで解決できます。例えば赤玉土の中粒と日向土の小粒などです。赤玉土の中粒のみでは今度は水遣りの頻度が増えてしまうので、そうした場合には崩れない日向土(軽石の一種で中性)を使用したり堆肥類を混合します。クン炭も保水性があるのでよいと思います。
これらを踏まえて軒下、日当たり、鉢の種類、根の量、植物体の大きさを勘案してブレンドするとよいと思います。
それから有効菌、有益な微生物を増やすことも大切です。これは通気性も関係してきます。通気性のよい用土では酸素を好む好気性の有効菌や微生物(善玉菌)が増え、ネマトーダに代表されるセンチュウ被害が減ります。通気性が悪いと嫌気性(酸素を嫌う)を好む悪玉菌が増えたり、センチュウは天敵のいない無機質用土では増殖しますが善玉菌や微生物が多い用土では増殖しにくいようです。この善玉菌や微生物の棲家、餌になるのが堆肥類です。またそれらを増やす肥料(バ○オ ゴー○ド元肥)などもありますので利用するのも手だと思います。(そういうわけで微生物をも駆除してしまう農薬を積極的に使用する気になれないのですが)
気のせいかもしれませんが、調子の良い株の鉢土はこころなしか、甘い香りがします。逆にネマトーダが出たり調子の悪い株の鉢土は泥?黴?のような悪臭がした経験があります。
嫌気性バクテリア類は悪玉菌と共存しやすく、窒素ガス、メタンガスを発生させ、酢酸、有機酸が蓄積されやすくなるそうです。これらも植物の調子を悪くする一因ではないかと思っています。
堆肥類についてはここでは割愛させていただきますが、粗悪なものを使用すると台無しになります。最も安全性が高いと思うものはブラックピートモスです。
最後に重要なのが水遣りです。
水遣り3年とはいいますが、水遣りは奥が深いです。
栽培環境にもよりますが、みなさんはどのくらいの頻度で水遣りをしていますか?
よく土の表面が乾いたら、と言いますが…
私の場合は新しく購入した苗の場合、表面が乾いてもすぐ水遣りはしません。何故なら根を発達させるためです。
植物全般に言えることですがいつも水分のある環境では根は伸びにくくなります。
いつもそこに水があるために伸ばす必要がないからです。
なので私は乾湿の差をつけることにしています。こうすることで根は水を求めて伸びていきます。
バラは水ぎれに弱いと言われていますが、慣れてくると意外に乾燥に強いようです。そのことは根の特徴にも表れていると思います。太い白根は蘭のようにある程度は貯水できるということだと思います。真夏はさておき、鉢植えでも(但しプラ鉢、素焼鉢では乾燥速度に差があります)土の表面が乾いて2~3日放置しても萎れたりしないことが殆どです。
これはあくまで私個人の方法ですが私の場合は萎れる直前まで水遣りを控えて、その株がどのくらいまで耐えるのか観察します。
萎れる前に葉に元気がなくなるなどの症状が出ます。その時に鉢を持ったりして重さを確かめたりして水遣りのタイミングを計ります。つまり、その株の限界を知ることが目的です。これがわかれば手遅れになることもないからです。
また、この程度の萎れではあまりダメージもないと思います(但し新芽展開時、蕾がついている時はおススメできません)
このように根を発達させていくと、バラは水不足にも強くなります。
根が増えて、地上部も成長してきたら臨機応変に水遣りの間隔を増減していきます。この頃、あまりに根を乾燥させてしまうと、育成に影響が出てしまいます。
また成長期に水遣りをあまりしないと、土の中の老廃物が排出されなかったり、空気が停滞してしまうので根によくないです。また乾燥させすぎると、うどんこになり易いと思います。かと言って、成長期だからとやたらに水遣りをすると根腐れする場合もあるので注意が必要です。
そして、水遣りをする時はホースやはす口をつけていないジョウロで一気に水遣りをします(土が溢れない程度に)鉢底から全部水が流れ出るのを待って、更にもう1回同じように水遣りします。というのは1回目では鉢全体に完全に水が行き渡っているか心配だからです(水の通り道ができている場合があり、その場合は用土全体に水が供給されないこともあります)満遍なく鉢全体に水を供給することが目的です。
あと余談ですが栽培株数の少ない方は水遣りの水を雨水(またはお持ちの方は逆浸透膜にて精製した純水)にするとよいかもしれません。
雨水は水道水及び井戸水に含まれる有害物質がないため根には最適です。
また鉢内に有害物質が溜まることも少なくなります。
植物にとって水質は結構重要なようです。デリケートな植物は水道水(または硬度の高い井戸水)を長期に亘って灌水しただけで調子を崩し枯れるものもあります。
定期的な植え替えを想定している方は用土に無調整ピートモスを混合するのもいいですね。無調整ピートモスは水を軟水にする作用があります。軟水にする=物質(有害物質も)を吸着するということです。無調整ピートモスは酸性なので炭、クン炭と併用することをおススメします。これもバクテリア、微生物の棲家になります。
(補足)酸度調整済みピートモスは物質を吸着させてあり、すでに飽和状態なので
上記のような吸着効果は低いです。また強酸性にならないためには、クン炭や炭を使ってPh調整します。繊維の粗いものがおススメです。あまりに粒子が細かい、粉状のものは折角、通気性を良くしても目詰まりしてしまう場合があります。
ただあまりクン炭などのPhに拘らなくてもいいと思います。実際ヨーロッパはかなり高いPh土壌(石灰土壌)でも育っていますよね。
問題は私が思うにPHというより、そのPhを上げている物質の成分によって有害無害が違うと思います。極端に言えばPhが高くてもバラに有効な物質なら無害だということです(熱帯魚飼育を熟知している方にはなんとなくわかるかな?ちょっと難しいのでここでは詳細は書きません)
このように、バラを鍛えて?いくと丈夫な株に育つと思います。
あくまでも一個人の栽培方法なので参考までに・・・
植物を育てるのにあたって一番重要なことは観察だと思います。
更に本や参考書の方法はあくまでも参考までにして、とにかく自分で試してみて
経験をされることが一番上達の近道だと思います(えらそうなことを言えるほど経験はありませんが)
自分の目で見たり経験したことに間違いはないじゃないですか。
ところが他人の方法は必ずしも万人に当てはまるわけではないですね。
環境や厳密に言えば鉢の種類、用土、株の大きさetc・・・
これらが違えば少しづつ栽培方法もずれてきます。
大事な株だから、枯らしたくはないし、病気にもさせたくない。
だけど、かわいい子には旅をさせろ、と言います。
愛情をもって日々観察して手をかけてあげれば立派に育ってくれるはず・・・
その株(子?)を信じて余計な手出しはせず(ピンチの時だけ助けてあげる)その株の持てる最大の能力を発揮させてあげる手助けをする。何だか子育てと同じですね。