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(以下のメモは、標記(2)と(3)と同様、必ずしも訳文通りではない。省略的になっている部分もある。)
あらゆる動物が殺しを行う。これは必ずしも食物を得るためでもないし、自分の身を守るためでもない。…猫は十分な餌を与えられているにもかかわらず、噛み裂かれたシマリスの死骸を家に持ち込んでくる…これは狩りの楽しみのための殺しである。しかし人間の行う殺しには他の動物にはない独特なものがある。人間の行う殺しは本能によるものではない。p300
本能ではなく学習や経験によって習得された個々の人間の選択によって自由に行動するのが人間である。死すらいとわない自由意志によって行動するのが人間である。p301
悪とは人間の自由意思に必然的に伴う共存物である。選択する力が備わっているからこそ善または悪を選択する自由を持っているのである。p301
多くの動物は自分たちのテリトリーを守るため殺しを行うことがあるが、自分が見たこともないはるか遠くの土地の利益を守るために大量殺戮を命じるなどということをするのは人間だけである。p301
ナショナリズムは悪性の国家ナルシシズムになっていることが多い。p302
われわれは知らずに自分の子供に国家ナルシシズムを植え付けていることが多い。p302
命を危険にさらして出かけていく男たちの95%は、あの戦争がどういう戦争だったかについて、いささかの知識ももちあわせていなかったのである。
知的怠惰と病的ナルシシズムが集団の悪を招くp309
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「神の加護がなかったのなら自分もそうなっていただろう」という内省こそ他人の悪を判断する時に常に忘れてはならないものである。p314
科学的事実とは単に一部の科学者たちが今現在信じていることに過ぎない。専門領域で研究をしている科学者たちの多数の判断でもっとも真理に近いとされているものに過ぎない。p316
あくまでも自分自身の個人的リーダーシップを放棄してはならない。少なくとも善悪の問題については。p317
邪悪な人間は自分の邪悪性を他人に投影する性癖がある。p320
現代科学は大企業や政府に複雑に結びついており、もはや<純粋>科学などというものは存在しなくなっている。p322
もはや科学は価値観の問題を無視することはできないし、無視すべきでもない。p322