新月から数えると満月は15日め。だから七日(なぬか)の月はちょうど半分になる。この月が夕方の西の空に掛かるとき、欠けたまっすぐの部分が上に来る。だから『上弦の月』。月の外側、丸いところを弓と見て、欠けた真っ直ぐの部分を弦と見立てた呼び名だ。
月はこれから『十日夜の月』『十三夜』『小望月』と次第に膨らんでゆく。満ちてゆく月を見るのは楽しい。
この日、みかんの丘は強い風が吹いていた。脚立に上がってかぐや姫の筒先でカメラを構えていると、突風で姫があおられて何度か落ちそうになった。そんな日は視野一杯の月のあちこちで像が揺らぐ。
収まれ。収まれ。心の中で祈る。そして切った何度かのシャッター。これはその中の一枚だ。