白い玉と赤い玉が同じ数だけ入っている箱から目をつむって玉を取り出せば、赤を手にする確率は50パーセントだ。でも現実はそうでもない。赤をたくさん採れる人。白を多くつかむ人。
今夜はペルセウス座流星群の極大日。今年は条件が良い。しかも朝からそれなりの青空が広がっている。一週間が始まったばかりだが、なんとしても丘に上がらなければ心が病んでしまう。そう思ってカメラを2台携えて車に乗った。丘に向かう道中、あそこからああ撮って、その後は観測デッキからこうして…
丘に着いたのは午後10時前だった。天の川が美しい。この夏初めて見る鮮やかな星屑の流れだ。その流れを横切る光りの矢を捉えよう。そう決めて三脚にカメラを載せる。レンズをワイドに換えて天の川に向けると、空のあちこちに見事な流れ星が現れ始めた。ただ、なぜかカメラの写野の中は飛ばない。レンズは超広角。写野は全天のほぼ8分の1をカバーしている。それなのにどうしてもカメラの前を飛んでくれない。
僕は「くじ運」が悪い。といつも思う。赤い玉が当たりなら、僕がつかむ玉は3分の2以上が白だ。蜜柑の苗木の横で撮影した22枚の写真のうち、流れ星が写っていたのはたったの一枚。その流星も、ペルセウス座とは関係の無い散在流星だった。