せっかく調整した赤道儀だ。星雲が撮りたい。もやの中でも撮影できる星雲は無いだろうか。そう思った時、西に傾きかけたはくちょう座に目が行った。そうだ、北アメリカ星雲を撮ってみよう。この星雲ならそこそこ明るい。ただ見た目の大きさが月の4倍も有る星雲だ。20センチ反射ではとても全体を写す事は出来ない。太陽用に使っていた12センチアクロマート屈折に取り換えて撮影してみたがやっぱり全体は写らなかった。
こうなったらと、望遠鏡からカメラを外してズームレンズを取り付けた。そしてズームいっぱいの135mmにしてテープで固定。赤道儀に載っている2本の望遠鏡の片方の筒の上にカメラを固定した。カメラ感度3200。絞りは解放で5.6。露出はいくらにしよう。赤くて淡い星雲だし、欲張って15分にしてみようか。
結果は画面真っ白。もやを忘れていた。そして、木立に阻まれて気付かなかったが、東の空から月が昇って来ていた。月の無い夜の設定を、この明るい空に当てはめてしまった。しかも、急に重いカメラをおかしなところに載せたために赤道儀のバランスが大きく崩れて星が流れている。大失敗。今からバランスを取り直しても、明るくなった空ではもう諦めるしかなかった。
家に帰って何とか画像処理して星雲を出したが、色成分が飛んでしまってほぼモノクロ。こんなものはアップできないと思ったが、リベンジへの道標。ここに載せておかなくては決心が鈍る。次はちゃんと撮ろう。
人を駆り立てるものは、鮮やかな煌めきとは限らない。
人を導くのは、まばゆい光とは限らない。
リベンジに燃える心。
きっと滲むベールを焼き尽くす。‐しっぽ‐