観測デッキの屋根を開けた。予定通り20センチの反射を外してバランスウェイトも下ろし、赤道儀を可能なところまでばらした。潮と埃で汚れた部品や端子を布で拭いて綺麗にし、もう一度組み直す。素人で出来るのはここまでだ。いつの日かメーカーにメンテナンスを頼まなければ。
空は次第に暮れていった。風は無いが寒さが身に染みる。案の定空はすっきりとは晴れない。この時刻になっても天の川がはっきりとは見えない。大陸に居る低気圧のもやが、早くも届いているのだろうか。それでも目立った雲の塊は無く、空には一面星が輝いていた。
用意したダウンを着込み、電気座布団にスイッチを入れる。そう、そんな季節だ。オートガイドのユニットを繋いでパソコンを開き、各セクションのテストを済ませた。とりあえず問題無し。赤道儀のバランスも取って、さあ、何を撮ろうかと星図に目をやったが…
寒い季節へと眠りかけていた想いが、熱く騒ぎ出す。