[satochiba:0847] 掲載 2005年1月24日 14:07
印旛沼で地域の方々が「昔は印旛沼が真っ黒になるくらい鴨がいたんだよな……」その意味がわかりました
環境省がこのほどまとめた、「湖沼環境保全制度の在り方」にて、湖沼の水環境に関して以下定義しています。「湖沼は、特に水が滞留するという閉鎖的な水理特性から、流入した汚濁物質が蓄積しやすく、水質の汚濁が進みやすい上に、いったん水質が汚濁すると、その改善は容易ではない。これに加え、湖沼地域での開発や人口の増加等、社会・経済的な構造の変化によって汚濁負荷が増加し、水質やそれに密接に関連した湖沼の水環境が損なわれてきている。」
これを読んでいて、たしかに沿岸域や河川域は、数年に一度は台風や大雨等により攪乱されて、沿岸や川床がきれいに洗われると言うことは分かりますが印旛沼や霞ヶ浦、手賀沼等の湖沼では、かって、40年以上前は、どの様な仕組みがあって、汚濁のない、すんだ水と多様な生き物をぐくめたのか疑問を感じました。
そこで、ひとつ気がついたこととして、 2枚貝のシジミや、 底植物や浮揚植物が、大量の富栄養分を、自分の体に蓄積してくれていることは分かっています。秋に印旛沼等で渡り鳥として、渡来越冬し春に北帰する、潜水鴨類等の果たす、態学的な役割を資料から読み直してみました。
その結果、例えば、島根県の宍道湖には、30,000羽を超す、キンクロハジロとホシハジロが生息しています。山階鳥研の岡主任研究員の「ハジロ属の採食行動と食性を中心とする生態」という論文から、1羽のキンクロハジロ(体重1kg前後)が,1日に食するシジミは優に3.2kg(体重の3倍以上)、秋に渡り鳥として貧栄養状態で渡来し、春に富栄養で北帰します。
泥底10cm以内のシジミの80%以上が捕食されるそうです。泥底をシャベル状の嘴で梳くようにシジミを浮き上がらせ、そのまま飲み込みます。少し食べては胃の砂嚢でバラバラに壊し消化。実は24時間、これの繰り返しです。
ホシハジロは植物性で底泥の沈水植物及び柔らかいイトミミズやユスリカを飽食します。冬中かけてです。宍道湖には圧倒的な多数の潜水鴨が、琵琶湖にも、今でもたくさんいます。
千葉県の三番瀬、葛西沖には同類で汽水に強いスズガモと、ホシハジロが10万羽単位で生存し、主にホトトギス貝を捕食しています。
いずれも秋から春までに、シジミもホトトギス貝も、沈水植物もあらかた餌となって湖沼の外部に搬出されているわけです。
こうなりますと、春の泥底は前年のシジミや沈底植物の多くが餌として排除された後の、潜水鴨達が作りあげてくれた理想的な生育環境が準備されているわけで、その空いた空間を、春に幼生が(シジミは、たった1ヶで100万個単位の卵を排出)し、あっという間に埋め尽くして生息数は春から秋にかけて回復してしまいます。この、底泥に溜まる富栄養分を理想的な形で外に持ち出すという重要な役割を、潜水ガモが担っていたのではないでしょうか。
そうなると、印旛沼も霞ヶ浦も、手賀沼も、40年前-30年前までは、水面が真っ黒になるほどいた、これら最も大事な自然の働き者を、結果として追放してしまいました。
2枚貝のシジミや沈底植物を食して外部へ排出する潜水ガモの機能も、広い印旛沼、総排出量としてどれくらい貢献しているのかを問われれば、全体から見ればウエイトが小さいかも知れません。
でも重要な要素の一つと考えます。これ以外にも多様な生き物による営みで総和で貢献していることが多いと思われるからです。
印旛沼で地域の方々が「昔は印旛沼が真っ黒になるくらい鴨がいたんだよな……」その意味がわかりました
環境省がこのほどまとめた、「湖沼環境保全制度の在り方」にて、湖沼の水環境に関して以下定義しています。「湖沼は、特に水が滞留するという閉鎖的な水理特性から、流入した汚濁物質が蓄積しやすく、水質の汚濁が進みやすい上に、いったん水質が汚濁すると、その改善は容易ではない。これに加え、湖沼地域での開発や人口の増加等、社会・経済的な構造の変化によって汚濁負荷が増加し、水質やそれに密接に関連した湖沼の水環境が損なわれてきている。」
これを読んでいて、たしかに沿岸域や河川域は、数年に一度は台風や大雨等により攪乱されて、沿岸や川床がきれいに洗われると言うことは分かりますが印旛沼や霞ヶ浦、手賀沼等の湖沼では、かって、40年以上前は、どの様な仕組みがあって、汚濁のない、すんだ水と多様な生き物をぐくめたのか疑問を感じました。
そこで、ひとつ気がついたこととして、 2枚貝のシジミや、 底植物や浮揚植物が、大量の富栄養分を、自分の体に蓄積してくれていることは分かっています。秋に印旛沼等で渡り鳥として、渡来越冬し春に北帰する、潜水鴨類等の果たす、態学的な役割を資料から読み直してみました。
その結果、例えば、島根県の宍道湖には、30,000羽を超す、キンクロハジロとホシハジロが生息しています。山階鳥研の岡主任研究員の「ハジロ属の採食行動と食性を中心とする生態」という論文から、1羽のキンクロハジロ(体重1kg前後)が,1日に食するシジミは優に3.2kg(体重の3倍以上)、秋に渡り鳥として貧栄養状態で渡来し、春に富栄養で北帰します。
泥底10cm以内のシジミの80%以上が捕食されるそうです。泥底をシャベル状の嘴で梳くようにシジミを浮き上がらせ、そのまま飲み込みます。少し食べては胃の砂嚢でバラバラに壊し消化。実は24時間、これの繰り返しです。
ホシハジロは植物性で底泥の沈水植物及び柔らかいイトミミズやユスリカを飽食します。冬中かけてです。宍道湖には圧倒的な多数の潜水鴨が、琵琶湖にも、今でもたくさんいます。
千葉県の三番瀬、葛西沖には同類で汽水に強いスズガモと、ホシハジロが10万羽単位で生存し、主にホトトギス貝を捕食しています。
いずれも秋から春までに、シジミもホトトギス貝も、沈水植物もあらかた餌となって湖沼の外部に搬出されているわけです。
こうなりますと、春の泥底は前年のシジミや沈底植物の多くが餌として排除された後の、潜水鴨達が作りあげてくれた理想的な生育環境が準備されているわけで、その空いた空間を、春に幼生が(シジミは、たった1ヶで100万個単位の卵を排出)し、あっという間に埋め尽くして生息数は春から秋にかけて回復してしまいます。この、底泥に溜まる富栄養分を理想的な形で外に持ち出すという重要な役割を、潜水ガモが担っていたのではないでしょうか。
そうなると、印旛沼も霞ヶ浦も、手賀沼も、40年前-30年前までは、水面が真っ黒になるほどいた、これら最も大事な自然の働き者を、結果として追放してしまいました。
2枚貝のシジミや沈底植物を食して外部へ排出する潜水ガモの機能も、広い印旛沼、総排出量としてどれくらい貢献しているのかを問われれば、全体から見ればウエイトが小さいかも知れません。
でも重要な要素の一つと考えます。これ以外にも多様な生き物による営みで総和で貢献していることが多いと思われるからです。
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