まずは朝日新聞の11月10日の記事。ウェブサイトで検索したけど出てこないからタイプ打ちで引用します。
減税財源か、国債抑制か 税収増分、綱引き
国の07年度税収が50兆円台を回復する見通しになり、配分をめぐる攻防が激しくなりそうだ。(中略)
07年度税収見込は、景気回復に伴う法人税などの増収と、所得税の定率減税の廃止で06年当初比5兆~5.5兆円程度増える見込み。(中略)
ほほう。で?
成長重視の安倍首相の意向で、財務相、経済財政相、政府税制調査会長ら税財政関連の主要ポストは「企業減税派」が独占。それを追い風に「(増えた税収から)取れるだけ取る」(経団連幹部)と強気の構えだ。
また経団連ですか(゜Д゜)
これに対し、財務省は「景気が悪いときに財政出動した。景気回復の果実は財政再建に回すのが当然」(幹部)として、新規国債発行額の縮減に回すべきだと主張する。増えた税収から、国債の元利払い費の増加分などを差し引いた額を、仮にすべて財政再建に回すと、06年度当初で約30兆円の新規国債は25兆円程度まで減らせる。
私は、景気回復による税収増を狙うのには賛成ですが、いずれにせよ拙速ではいけない、と思います。
で、財務省の主張はよく分かりますが、やはり景気拡大局面を維持するための「投資」だって必要になる。
では企業減税でいいのか?というと、これには反対。なぜなら、いまの企業は増収増益を働き手に還元しないから。企業や投資家にのみ富が蓄積するのは、国全体の経済力回復にならないことは明らかです。なので、
税収増を財源に企業減税を行うと、所得税の定率減税全廃で個人から吸い上げた約1兆円を、好業績が続く企業に回すことになる。(後略)
ここに激しく反対。事ここに至って、税制により個人→企業への所得移転なんてする必要がないでしょう。だから、少なくとも企業減税規模は4兆円を超えてはならない。
この件に関する私の意見は、「正規雇用を進め、労働環境の改善を行う」企業に限り減税する、というもの。「クビにする」ことを盾にとったいまの企業の人件費抑制策は明らかに行き過ぎ。そもそも、かつて苛烈なリストラに耐えた社員は、「業績が回復してくれればまた・・・」との思いがあったはずで、企業はそういった人への忘恩をすべきではない、と強く思います。
社会全体が「節度を失っている」ような気がしてなりません。バブルの頃からですかね、こういうの。収奪的農法っていうか、あとのことなんて全然考えていない感じで。古来、山の幸も海の幸も「取り過ぎない」という知恵があったと思うのですが。
ま、「アメリカ型」ってことなんでしょうけど。良くないですよ。刹那的。環境問題みたいな「持続可能性」とかには、ホントあの国(現政権)は興味ないみたいだしね。経済も同じって事でしょう。そもそも、「世界の終わりには死者が復活し、神による最後の審判を受ける」と思っているヒトたちだからなぁ。「世界が終わっていい。その時には、敬虔なキリスト教徒の私だけは天国に行ける。他は知らん」とか本気でで考えてそうだ。そういう国の「そういう側面」に敢えてついて行く必要ってあるのかね?
つぎは産経Webから。消える可能性があるので全文引用。
自民 公務員にスト権 参院選へ3重点策 リストラ強化も
自民党は9日、来年夏の参院選に向けて「公務員制度改革」「社会保険庁の解体」「教育再生」の3項目を重点公約に据える方針を決めた。公務員制度改革では、公務員に争議権など労働基本権を付与することを盛り込む。一方では、民間並みの合理化や天下り規制の強化を進める方針で、参院選をにらみ、官公労組に支援を仰ぐ民主党との対立軸を鮮明にする狙いがある。
ウェブ記事では省略されていますが、紙面ではより詳細な記述があります。以下は抜粋。
(前略)自民党は(引用者注:公務員への)労働基本権の付与を認める代わりに、行政組織の徹底したスリム化を行い歳出削減を進める考え。中川秀直幹事長と舛添要一参院政審会長が9日、都内で会談し方針を確認した。(中略)
一方、社会保険庁改革では、職員の身分を民間人とする非公務員型組織に改めることを打ち出す方向だ。社保庁の地方採用者などが傘下に入る自治労から支援を受ける民主党を牽制する狙いがある。教育再生でも、教育現場で改革に反対姿勢をとる日教組と民主党との関係をあぶりだす戦略だ。
(下線引用者)
要するに、対民主党という政党間の争いのために改革を名目にするってことかいな。それは本末転倒ではないか。
公務員の人件費については、バブル期は「低賃金労働者」と蔑みの対象、バブル崩壊後は大幅下落はしなかったことから怨嗟の対象で、極論好きな私からすれば、以前にも書いたように「公務員なんてタダで働け」と、常に言われているという感じがしています。そして、繰り返される不祥事から、公務員不信による厳しい見方もある程度やむをえないとは思います。
しかし、それを政争の具にするというのは違うでしょう。それでは、感情的対立を煽るだけのプロパガンダ、「世論操作」です。
例えば社保庁改革について。確かに、側聞する限りにおいて、社保庁は組合活動の激しい組織でしたが、そのことが不祥事に繋がったのかどうかというと、直接の因果関係はどうか?と感じます(組合との合意事項について批判があったことは事実ですが)。また、年金行政の破綻については、労組がどうというレベルではなく、当時のトップが「現役世代還元」を名目に進めてきたツケが出たものと認識しています。
であれば、社保庁の解体=組合叩き、とするのは、少なくとも年金行政については筋違いでしょう。政策と理由はちゃんと対応していないとおかしい。それをしないのは、つまりこの「対立軸の演出」が「感情に訴える」作戦であると思われても仕方がない。
タウンミーティングの「やらせ」の件といい、どうも現自民党政権は「とにかく人気が取れればいい」としか思ってないのではないか。そのために「世論操作してもかまわない」と。こういう体質が如実に出ているような記事です。
民主党でも、社民党でもいいですけど、支援組織がどうとかいうパワー・ポリティクスに捉われない、「理詰めの」対案を、野党には期待したいです。(頼りないんですけどね・・・)
減税財源か、国債抑制か 税収増分、綱引き
国の07年度税収が50兆円台を回復する見通しになり、配分をめぐる攻防が激しくなりそうだ。(中略)
07年度税収見込は、景気回復に伴う法人税などの増収と、所得税の定率減税の廃止で06年当初比5兆~5.5兆円程度増える見込み。(中略)
ほほう。で?
成長重視の安倍首相の意向で、財務相、経済財政相、政府税制調査会長ら税財政関連の主要ポストは「企業減税派」が独占。それを追い風に「(増えた税収から)取れるだけ取る」(経団連幹部)と強気の構えだ。
また経団連ですか(゜Д゜)
これに対し、財務省は「景気が悪いときに財政出動した。景気回復の果実は財政再建に回すのが当然」(幹部)として、新規国債発行額の縮減に回すべきだと主張する。増えた税収から、国債の元利払い費の増加分などを差し引いた額を、仮にすべて財政再建に回すと、06年度当初で約30兆円の新規国債は25兆円程度まで減らせる。
私は、景気回復による税収増を狙うのには賛成ですが、いずれにせよ拙速ではいけない、と思います。
で、財務省の主張はよく分かりますが、やはり景気拡大局面を維持するための「投資」だって必要になる。
では企業減税でいいのか?というと、これには反対。なぜなら、いまの企業は増収増益を働き手に還元しないから。企業や投資家にのみ富が蓄積するのは、国全体の経済力回復にならないことは明らかです。なので、
税収増を財源に企業減税を行うと、所得税の定率減税全廃で個人から吸い上げた約1兆円を、好業績が続く企業に回すことになる。(後略)
ここに激しく反対。事ここに至って、税制により個人→企業への所得移転なんてする必要がないでしょう。だから、少なくとも企業減税規模は4兆円を超えてはならない。
この件に関する私の意見は、「正規雇用を進め、労働環境の改善を行う」企業に限り減税する、というもの。「クビにする」ことを盾にとったいまの企業の人件費抑制策は明らかに行き過ぎ。そもそも、かつて苛烈なリストラに耐えた社員は、「業績が回復してくれればまた・・・」との思いがあったはずで、企業はそういった人への忘恩をすべきではない、と強く思います。
社会全体が「節度を失っている」ような気がしてなりません。バブルの頃からですかね、こういうの。収奪的農法っていうか、あとのことなんて全然考えていない感じで。古来、山の幸も海の幸も「取り過ぎない」という知恵があったと思うのですが。
ま、「アメリカ型」ってことなんでしょうけど。良くないですよ。刹那的。環境問題みたいな「持続可能性」とかには、ホントあの国(現政権)は興味ないみたいだしね。経済も同じって事でしょう。そもそも、「世界の終わりには死者が復活し、神による最後の審判を受ける」と思っているヒトたちだからなぁ。「世界が終わっていい。その時には、敬虔なキリスト教徒の私だけは天国に行ける。他は知らん」とか本気でで考えてそうだ。そういう国の「そういう側面」に敢えてついて行く必要ってあるのかね?
つぎは産経Webから。消える可能性があるので全文引用。
自民 公務員にスト権 参院選へ3重点策 リストラ強化も
自民党は9日、来年夏の参院選に向けて「公務員制度改革」「社会保険庁の解体」「教育再生」の3項目を重点公約に据える方針を決めた。公務員制度改革では、公務員に争議権など労働基本権を付与することを盛り込む。一方では、民間並みの合理化や天下り規制の強化を進める方針で、参院選をにらみ、官公労組に支援を仰ぐ民主党との対立軸を鮮明にする狙いがある。
ウェブ記事では省略されていますが、紙面ではより詳細な記述があります。以下は抜粋。
(前略)自民党は(引用者注:公務員への)労働基本権の付与を認める代わりに、行政組織の徹底したスリム化を行い歳出削減を進める考え。中川秀直幹事長と舛添要一参院政審会長が9日、都内で会談し方針を確認した。(中略)
一方、社会保険庁改革では、職員の身分を民間人とする非公務員型組織に改めることを打ち出す方向だ。社保庁の地方採用者などが傘下に入る自治労から支援を受ける民主党を牽制する狙いがある。教育再生でも、教育現場で改革に反対姿勢をとる日教組と民主党との関係をあぶりだす戦略だ。
(下線引用者)
要するに、対民主党という政党間の争いのために改革を名目にするってことかいな。それは本末転倒ではないか。
公務員の人件費については、バブル期は「低賃金労働者」と蔑みの対象、バブル崩壊後は大幅下落はしなかったことから怨嗟の対象で、極論好きな私からすれば、以前にも書いたように「公務員なんてタダで働け」と、常に言われているという感じがしています。そして、繰り返される不祥事から、公務員不信による厳しい見方もある程度やむをえないとは思います。
しかし、それを政争の具にするというのは違うでしょう。それでは、感情的対立を煽るだけのプロパガンダ、「世論操作」です。
例えば社保庁改革について。確かに、側聞する限りにおいて、社保庁は組合活動の激しい組織でしたが、そのことが不祥事に繋がったのかどうかというと、直接の因果関係はどうか?と感じます(組合との合意事項について批判があったことは事実ですが)。また、年金行政の破綻については、労組がどうというレベルではなく、当時のトップが「現役世代還元」を名目に進めてきたツケが出たものと認識しています。
であれば、社保庁の解体=組合叩き、とするのは、少なくとも年金行政については筋違いでしょう。政策と理由はちゃんと対応していないとおかしい。それをしないのは、つまりこの「対立軸の演出」が「感情に訴える」作戦であると思われても仕方がない。
タウンミーティングの「やらせ」の件といい、どうも現自民党政権は「とにかく人気が取れればいい」としか思ってないのではないか。そのために「世論操作してもかまわない」と。こういう体質が如実に出ているような記事です。
民主党でも、社民党でもいいですけど、支援組織がどうとかいうパワー・ポリティクスに捉われない、「理詰めの」対案を、野党には期待したいです。(頼りないんですけどね・・・)
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