セバスチャンとトマスの乗った船は、海の守り神「マーチェ」のお告げにより進路を変えようとしていた。
しかし、熱病に冒された瀕死のセバスチャンは夢に大天使ミカエルが現れ、当初の目的である日本に行きつくと予言した。
自分の肉体の終わりはもうすぐに来ると知っていたセバスチャンは、霊操を試みていた。
(わが身をキリストに託して辿る瞑想の旅路)
しかし、セバスチャンは正典の聖書を離れ、「パウロの黙示録」により霊操していた・・。
そして、霊操して行き着いた琵琶湖のほとり。
そこで、セバスチャンは天狗と6人の女たちに会う。
実際はセバスチャンは肉体を離れ魂だけがこの場にあり、トマスがその日本の土を踏んでいるのだ。
ここから先は、セバスチャンが見た現実?夢?未来のこと?
恐ろしい出来事が繰り広げられることになる。
セバスチャンが声を限りに叫んでも、決して聞こえることなく、むなしく現実がうつろう。
天狗とは、織田信雄が姿を変えたもの。女たちは信雄の寵愛を受けるものたちだった。
セバスチャン「自らに問う、己は何者なりや。」
信雄「俺は、天狗さ。」
セバスチャン「テングとは、何ぞや。」
信雄「天狗とは、自由の身となる者、即ち天界からも、下界からも解き放たれ、中天に浮遊する自由の身、下界で月星を拝みつつ、後悔の日々を送る者たちを憐み、天界の神をも憐れむ、自由の者。あまたの者たちを自由の世界に誘う、中天よりの使者だ。」
セバスチャン「ジュスヘル!まぎれもなく悪魔の化身、惑わされるな、囚われ人たち、自由とは、神の言葉。罪科に囚われた人々を自由の身とすることこそ、神の御意志。
トマス、心せよ!ここに悪魔がいる。安土の人々よ、惑わされるな。ここには悪魔が棲みついている。」
セバスチャンの言葉は信雄にしか聞こえないのだ・・・。
物語はやがて破滅へ向かう。
しかし、すべてが終わったとき、意外な事実が現れる。
セバスチャンと信雄の運命は・・・・。
史実、聖書やパウロの黙示録を織り交ぜながら、悪魔と宣教師の戦いを描いている。
次回は悪魔信雄の台詞を中心に書いてみようと思う。