パウチズモ(洗礼)を受けた六人の女たちに対して
信雄「六人ともが揃って、バテレン教徒になってしまったのか。」
「こなたたち六人は、私にとっては六道の菩薩、即ち、地獄、餓鬼、畜生、修羅、人間、天上の、六道輪廻をさまようわが身の観音、六道の地蔵とも頼りにして参った者たち。わが菩薩たち、されば私を見捨てるのか。」
「我が寵愛を拒むと申すか。」
「一人を選べと?殊勝気にして酷なことを言う。然らば、誰を選べばよい。」
「南蛮の天帝は、いかなる媚薬を用いて、こなたらをかくもたやすく籠絡したのか。私はそのバテレンの神を恨むぞ・・・・。そもそもにして、南蛮の神は、人間に愛を求めすぎる。南蛮の神は、自らを父と言い、人間をわが子と言うが、かくもわが子に孝行を求める親があろうか。南無阿弥陀仏を唱えれば、どんな非道の者にも成仏の糸をたらしてくれる、仏の慈悲とは大違いだ・・・。最後に聞くが、この事は死をも覚悟で申しておるのか。」
ここで信雄は、六人から一人を選ぶ方法を神に選ばせようと、目隠しをし、舞いながら一人ひとりを切り殺していく。
最後に残ったイブキ。
イブキはそれでもゼウスに愛を誓う、怒った信雄はイブキも突き刺してしまう。
信雄「こなたの身体をもらい受けるのはこの私だ。」
イブキ「いいえ、この身はもはや、主の聖水に洗われた身体、これよりパライゾへまいります。」
信雄「まだ聞こえるなら聞け、そなたの身体に注いだのは、ゼウスの聖水ではない。私の血だ。」
「こなたたちの行先は、パライゾなどではない。旅立て、我が天狗の是界へ!行け、中天の魔界へ!」
そう、トマスに化けた信雄が六人に自分の血でパウチズモを授けていたのだった。
悪魔の生贄になった六人の運命は?そして正体は?