<川は流れる>

Reiの好きなこと、ここだけの話

大阪物語・対談「市川準」(監督)×犬童一心(脚本家)

2008年11月02日 |  映画
“大阪の重役さんって、ホームレスの人と入れ替わってもおかしくない(笑)、皆互換性があって、いつ入れ替わってもプライドを持って生きていける・・・”


犬童「以前から市川さん、大阪で映画撮りたかったんですよね。」

市川「池脇千鶴をどう育てようかという話になって。その時大阪映画の話が具体的に持ち上がったんです。彼女は根っからの大阪の女の子だから。」

映画「ブルックリン横丁」のイメージだそうだ。
そして大阪に興味を持ったのは何故かという質問に監督は、

市川「何だろう。人・・・人の気配かなぁ。本音でぶつかりあうみたいな感じとか、自立して生きてるような感じがすごくしましたね。風景も何か、僕、大阪で生まれて育ったわけでもないのになつかしい。」

”りゅう介は、沢田さん以外いなかった”

司会「沢田研二のキャスティングというのはどこから来たんですか。」

市川「サントリーのCMを田中裕子さんとやってて、彼女に映画のシノプスを読んでもらって、出てくれそうな気配を感じてたんですけど、もしこれが沢田さんと二人で夫婦漫才をやってくれたら最高なんだけどなあとか言ったら、家に帰って見せてくれて、それで出てくれることになったんですね。それからいろんな事が動き出したよね。」

犬童「シノプス書いてる時から僕も沢田さん以外いなかった。」

司会「あ、すると、犬童さんは、田中裕子に関係なくジュリーがいいと。」

犬童「関西弁のできる40代後半の味わいのあるスターというのが沢田さん以外いないんですよ。田中さんが大阪出身だと知らなかったし。」

司会「それはまた市川さんと同じ世代ということでダブる部分も。」

市川「ありましたね。あと、ホントの夫婦が夫婦として登場する映画はあるようで意外と少ないし、沢田さんには、今の年齢の沢田研二グラフティを撮りたいって言ったんです。本当にいい男に見える瞬間もあれば、舞台にあがるとアホみたいだし、日常では哀れだったり、そういういろんな所を含めて40代後半の男のニオイが出してもらえたらって。」

若菜の「「カスや!」という脚本にないセリフについて。

市川「だからあの言葉は沢田さんがくれたんです。沢田さん田中さん二人で考えたセリフや芝居のアイデアで、すごくよくなったことがいっぱいありますね。」


監督も脚本家も主演3人のことを理解し、愛してくれているのが本当によくわかる。

犬童さんにいたっては、ジュリーしかいない、と断言されてて、(あらー、他の関西の俳優さんに気の毒)と思えるほどだった。
それでも映画ができあがってみれば、本当にこの夫婦しかできない役じゃなかったかと思える。
大阪人でない市川監督が、ここまで大阪を表現できたのは、すべて関西出身の俳優で固めて、彼らの生き生きとした演技の自然な流れを、うまくつないでいったんだろうなあと想像している。

市川監督の遺したこの作品は、ジュリー夫婦にとってもかけがえのない作品になったのではないだろうか。
コメント
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