以下、引用。怖いぐらいの観察眼。
「いままで、エリクソンのライフサイクル・モデルにそって、乳児期に基本的信頼を、
幼児期に自律性を、児童期に自主性を、学童期に勤勉性を、そして、青年期の前半の思春期にアイデンティティというように、
人間が発達成熟していくそれぞれの過程で、獲得していかなくてはならない課題についてお話してきました。これからのお話は、
いよいよ私たち自身、おとなになった人たちが、いまをどう生きるかが大きなテーマとなってきます。(P125)
つまり、おとなのテーマは、個が確立したあとの親密性、だと理解した。
「・・・どんなに親しくしていても、相手に気がねをしたり、遠慮をするようでは、それは
親密とはいえないのです。会社に勤めている社員は、社長とは親密になれないし、なりにくい。なぜかというと、
相手にのみこまれてしまう心配があるからです。こういう関係は、立場上、おたがいに対等の関係ではないからです。(P126)
『壮年期において、この時期を健康で幸福に生きていくために、解決していかなければならない重要な課題を、エリクソンは
「世代性」といいました。
世代性を生きるとは、どういう生き方かといいますと、まず、先人が残してくれた文化や習慣、技術や思想をしっかりと引きつぐことです。
そうしながら、自分が生きている時代の証として、自分が実践して蓄積してきたことを、その上につけ加え積み重ねていきます。(P128-129)
「教えたり、伝えたりする場は、大学など学校でなければならないということではありません。家庭でも職場でも地域社会でもいいのです。
また、相手がつぎの世代の若い人とはかぎらず、友人や同僚でもいいのです。人間というのは、自分で蓄積してきたことを
聞いてくれて、それを受けついでいってくれる人を、必要とするようになるようです。」(P131)
「自分に与えられた生命(人生)への感謝が、世代継承への意欲を生むのです。つぎの世代を生み育てる力になるのです。
これを裏側から読み取りますと、世界で有数の少子国に生きる私たちは、自分に与えられた生命への感謝が、世界で最も乏しい
人間の集まりだということもできます。(P132)
スケールが、かなり大きいが、論理的だと思う。そう考えると、アドラーと深いところでつながっていそうだと、個人的に思う。ほんとに。