風の記憶

the answer is blowin' in the wind

小満の頃~庄内の暦風景_8

2015-05-21 | 二十四節気



 

 

 

5月21日から15日間(6月5日まで)が「小満」です。
陽気に暑さが加わり、万物の成長する気が次第に長じて天地に満ち始める季節です。

七十二候では「小満」の初侯(第二二候)は「蚕起食桑(かいこおきてくわをはむ)」ということで、
蚕が桑を盛んに食べ始める頃となります。この頃の月の別名を「木葉採月(このはとりづき)」
とも言うのだそうですが、これは蚕の食べる新鮮な桑の葉を採る月の意です。蚕がこの時期、
猛然とした食欲で桑の葉を食べ、その後に糸を吐いて繭を作り始めるのです。
何故、蚕なのかというと、蚕の糸は絹となりますが、かつて絹は日本の重要な産業のひとつで、
養蚕は戦前までは農家の約4割が携わっていたほどの主要産業ということから、歳時記的にも
重要だったのでしょう。
蚕は人々の暮らしを支える大変重要な生き物だったので「おかいこさま」と呼ばれ、その数え方
も「一匹、二匹」ではなく「一頭、二頭」と数えます。つまり牛や馬や豚などと同じ家畜として扱わ
れ大切にされていたのです。
農家は蚕の世話と田植えが重なり、とても忙しい時期でした。

私の実家がある山形県遊佐町でも、私が子どもの頃農家はみんな養蚕を行っていました。
私の家は農家ではなかったのですが、友達のほとんどは農家で、彼らの家に遊びに行くと蔵の
中に膨大な数の蚕が飼われており、桑の葉を食べさせていた光景が記憶に鮮明に残っています。
蚕が桑の葉を食べる音は凄烈で、「ザァー」とまるで雨が屋根を打つ音のように蔵中に響き、
子どもの自分には恐ろしさを感じるほどの異様な雰囲気だったのを覚えています。
昆虫は好きだったので、その友達から2~3頭分けてもらい虫かごで飼ったことがありました。
桑の葉を一生懸命食む姿がかわいらしかったのですが、ほどなく繭を作り成虫を楽しみにして
いたところ、ある朝虫かごには大きな白い「蛾」が羽化しておりビックリしました。
正直、気持ち悪くてドン引き状態でした・・・。それからというもの、蚕を飼おうという気持ちは急速
に萎えたのでした。(^^;)

写真は山形県遊佐町にある“蚕桑”という地区の農家屋敷の風景です。現在、養蚕は廃れてしまい
数件の農家で細々としか行われていません。
地名の“蚕桑”が古の記憶を伝えるのみになってしまいました。

庄内では躑躅がきれいな季節です。

 

 


「 小満 」 七十二候
 第二二候 ~ 蚕起食桑(かいこおきてくわをはむ) 蚕が桑を盛んに食べ始める頃 [5月21~25日頃]
 第二三候 ~ 紅花栄(べにばなさかう) 紅花が盛んに咲く頃 [5月26~31日頃]
 第二四候 ~ 麦秋至(ばくしゅういたる) 麦が熟し麦秋[ばくしゅう]となる頃 [6月1~6月5日頃]

 



















ほとんどの田んぼでは田植えが終わります。
きれいに植えられた苗が気持良い風景です。






鶴岡市(旧藤島町)では藤の花が咲き誇ります。






花壇では春の花から夏の花へと移り変わります。













田んぼに水が行き渡り、庄内平野中が鏡のように輝きます。
この時期にしか見ることができない風景です。













道の傍らに わすれな草が揺れています。





















撮影DATA
Nikon D300s
TAMRON SP 90mm MACRO F2.8
Tokina AT-X 124 PRO DX F4
Nikkor AF-S DX 17-55mm F2.8G

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手紙にそえる季節の言葉 365日
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立夏の頃~庄内の暦風景_7

2015-05-06 | 二十四節気






 

 

いよいよ夏の始まりです。
とは言っても立夏も立春と同じく、その文字通り「夏が立つ日」、ですから “今日から夏
です” と言うよりも “夏の気配をかすかに感じられる頃” と言った方がしっくりきますね。
それに、夏のように暑い日はこの頃よくありますが、もうじき「梅雨」がやってきます。
本格的な夏はやはり梅雨を経た後でないとやってはきません。

庄内では、桜の季節が過ぎて新緑の頃を迎えます。
萌葱色、若苗色、若菜色、柳葉色、若竹色・・・、同じ新緑色でも微妙に違う緑色が一斉
に萌え出し、心地よい五月の風が頬を撫でていく頃です。

この立夏に入る前に、村々では神社などでその地域ならではの様々なお祭りが開催され
ます。立夏に入ると農家は一斉に田植え作業が始まるからなのです。
田んぼでは田おこしが始まり、いよいよ水が入ります。水が土に十分なじんだら代かき
が始まり、その後一斉に田植えが始まります。
そして、庄内三大祭りのひとつ 酒田祭り が5月20日に行われますが、ちょうどその頃ま
でに田植えを終えるのです。
つまり、立夏の頃は農家にとっては大忙しの田植えの頃なのです。

草の薫り、水の薫り、そして土の薫り。
薫風吹く立夏の頃。一年中で一番好きな季節の到来です。

 

 


「 立夏 」 七十二候
 第十九候 ~ 蛙始鳴(かわずはじめてなく) 蛙が鳴き始める頃 [5月6~10日頃]
 第二十候 ~ 蚯蚓出(きゅういん(みみず)いずる) ミミズが地上にはい出る頃 [5月11~15日頃]
 第二一候 ~ 竹笋生(たけのこしょうず) 竹の子が生えてくる頃 [5月16~20日頃]

 








朝焼けの鳥海山がとても綺麗です。







農家は田おこしや代掻きに大忙しです。























里山では山桜がひっそりと咲いています。








ニリンソウが咲いています。






この時期にしか見ることの出来ない新緑色の共演です。







ツツジが咲いて、お祭りを彩ります。















撮影DATA
Nikon D300s、D200
Nikkor AF-S VR 70-300mm F4.5-5.6G
Nikkor AF-S DX 17-55mm F2.8G
Tokina AT-X 124 PRO DX F4

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コメント (2)
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