まだ庭にも雪は残っているのですが、そんな雪をものともせずスノードロップが花壇に花を咲かせようとしていました。
しかし、寒椿もそうですが、何故わざわざ雪がまだたくさんある時期に花をつけるのでしょうか?
それについては、このスノードロップにはさまざまな言い伝えが残されているようです。
例えばドイツの言い伝えでは、「雪にははじめ色が無かったそうです。雪は花たちのもとを訪れて、色を分けてくれるように頼みました。しかしどの花からも断られました。その時、スノードロップだけが優しく自分の花の色を分けてくれ、それから雪は白色になったのだそうです。雪はそれに感謝して、スノードロップに春一番に花を咲かせる栄光を授けたそうです。」
また旧約聖書からは、「アダムとイブがエデンの園から追放された時に、雪が降りしきっていたそうです。寒い冬が永遠に続くような状況に絶望して泣くイブを慰めるために、天使がひとひらの雪にそっと息を吹きかけました。するとそれは地上に落ちて春の兆しのスノードロップが生まれました。そして『希望』が生まれたのだそうです。」だから、スノードロップの花言葉は『希望、慰め、逆境のなかの希望』なのです。
しかし、ロマンチックな話ばかりではありません。イギリスなどでは「花の色が死装束を連想させるため死の象徴として嫌われることもあるようです。このために、人への贈り物にすると「あなたの死を望みます」という意味に変わるので注意が必要だそうです。
ところで「スノードロップ」という名前、直訳すると「雪のしずく」と思われがちですが、この場合の「ドロップ」とは「イヤードロップ(耳飾り)」の意味で、つまり「スノードロップ」とは「雪の耳飾り」を意味する名前なのだそうです。
人は花に様々な思いを抱き、様々な意味合いを与えます。
でも当の草花たちは、そんな人間の思いを知ってか知らずか、与えられた命を全うするために一生懸命なだけなのでしょうね。
雪を押しのけて咲こうとしているスノードロップ。きっと彼らは吹き付ける風の中に春の香りを見つけていることでしょう。