風の記憶

the answer is blowin' in the wind

ふるさとの風景は

2005-08-27 | 田んぼ・平野


~ 藤沢周平さん 『ふるさとへ廻る六部は』 より ~


山形県西部、庄内平野と呼ばれる
生まれた土地に行くたびに、
私はいくぶん気はずかしい気持ちで、
やはりここが一番いい、と思う。
山があり、川があり、一望の平野がひろがり、
春から夏にかけてはおだやかだが、
冬は来る日も来る日も
怒号を繰りかえす海がある。
こうした山や川に固有名詞をあたえれば、
月山、羽黒山、鳥海山、川は最上川、赤川。
そして平野の西に這う
砂丘を越えたところにある海は、
日本海ということになる。
そういう風景に馴れた眼には、
東京の、よほどの好天でもなければ
山が見えない風景はどこか物足りないし、
また信州のような土地に行くと、
今度は山が多すぎて
少し息ぐるしい感じをうけるのである。
庄内が一番いいというのは、そういうわけだが、
そこにやや気はずかしい気持ちがまじるのは、
私が挙げたような風景は、
そこで生まれた私にとっては
かけ替えのないものであっても、
よその土地から来たひとたちにとって、
それほど賞美に値するものかどうかは
疑わしいと思うからである。


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藤沢周平さんは、庄内(鶴岡市)出身の作家です。
有名だから、知っていますよね。(^^ゞ



 

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稲川小学校

2005-08-13 | 

写真の学校は、山形県遊佐町立稲川小学校だった、校舎です。
今は、空き舎になってしまってます。
じゃあ、稲川小学校はどうなったかと言いうと、旧藤崎中学校跡地に移転新築されました。
(藤崎中学校は遊佐中学校に統合されたのです。)

今は学校ではない校舎。何だか不思議な光景です。
だって、どう見たって校舎なのに、もう校舎ではないのですから。

「学校」は特別な場所です。
人は人生の多感な時期の大半を「学校」で過ごします。学校は勉強を教わるだけの場所ではなく、人との関わりを学ぶ場所、人間同士がふれ合う場所でもありますから、様々な人々の色々な思いが宿っている場所です。
子供たちの思い、卒業生の思い、父母の思い、祖父母の思い、それに、赴任された先生方の思い、職員の方々の思い、また、その地域の人々が学校に寄せる思いも込められている大切な場所です。

そんな様々な「思い」が宿っているからでしょうか、今は空き舎になって誰もいないと分かっていても、校舎を見ていると何故か子供たちの声が聞こえてくるような気がするのです。

特に、この学校の卒業生とは中学校(藤崎中学校)で一緒で、今でも大切な友として交友があることもあり、彼等の子供だった頃の声が、校庭から、教室から、グラウンドから聞こえてくるようなのです。


俊勝くん、廉造くん、敏弘くん、裕之くん、茂くん、昭二くん、正宏くん、宏記くん、勇くん、慶二くん、・・・、それに、好さん、久美さん、ひろみさん、美樹さん、弥生さん、千賀子さん・・・、みんなみんな元気ですか。

あなたたちの稲川小学校は、鳥海山に抱かれたとても素晴らしい小学校でした。

 

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遠い記憶

2005-08-09 | 

いつまでも

ずっと見ていたいのに

太陽は驚くほど早く

その輝きを隠してしまいます

そして

長い長い余韻が

空や海を染め

波音だけが

静かに静かに

心を満たすのです

まるで

遠い日の記憶のように






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ラジオ体操

2005-08-03 | 


夏は子供のラジオ体操に付き合って早起きをする。
ラジオ体操は近くの公園に子供たちを集めて、自治会子供会が主催する。
私の家はこの公園のすぐ近くなので、ラジオ係をかってでた。
ラジオ係が遅刻するわけには、いかない。(^^;)

そういえば私が子供の頃、近所の呉服屋のおじさんがその係だった。
呉服屋のおじさんは、眠そうな子供たち一人一人に声をかけ、とても世話上手で優しかった。
私はこのおじさんが、頼りがいがあってとても好きだった。

月日は流れ、今、この地区の子供たちにとっては、私があの時の呉服屋のおじさんなのだ。
そう思うと、ちょっとびっくりだ。あの呉服屋のおじさんは子供の自分にとっては完璧な大人として
私の中にあるのに、今の私はこの子供たちにとってどんな大人に映っているのだろう。

情けないことに、遅刻しそうになって走って公園にむかい、眠そうに体操をこなし、子供たちから
せかされて体操カードにシールを貼ってあげているこの自分が、とても呉服屋のおじさんのような
完璧な大人だとは思えない。

それでも、子供たちが 「ねえ、あと3日頑張ればジュースもらえるんだよね」 と瞳を輝かせて
ニコニコしているのを見ていると、精一杯完璧な大人を演じなくては、と思ったりする。
「そうそう、いいかぁ、休まずに頑張るんだぞぉ」

体操カードを確認して、ダッシュで帰っていく子供たち。
その後ろ姿を、自分の子供の時に重ね合わせ思いながら家に帰ると、庭にはあの頃と同じように
きれいな朝顔が、風に揺れていた。

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梅雨明けは・・・?

2005-08-02 | 


毎日暑い日が続いています。
これでも梅雨明けではないんだそうです。いったいどういう基準なんでしょうかねぇ。(^^;ゞ

写真は、梅雨の真っ最中に咲いたテッポウユリです。
もちろん、今は散ってしまってます。
この写真を見ていたら、ちょっとジメジメでしたが、梅雨の時の方が良かったなぁ、
なんて思っています。私は暑さに弱い方なのです。(^^;)

そういえば、オフコースの歌にこんなのがありましたね。
「夏は冬に憧れて、冬は夏に帰りたい・・・」

巡りゆく季節の中に束の間 輝いたユリの花。そんな記憶があるから人はあの季節に
焦がれるのかも知れません。

このテッポウユリは、とてもきれいでした。


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