弊害って大げさだけどね(笑)。
普段カラオケボックスで歌って、うまいと自他ともに認められている人が、簡単にバンドのボーカルなどで
サクっと歌ったりする昨今なんだけど、もちろん楽しみ方はそれぞれなのでいいと思うし、バンドで本格的に
やってみたいと思ってくれれば個人的にも凄く嬉しい。
嬉しんだけど、どんなことでも努力やそれをきちんとやる練習はしないと、天才でない限りなかなか難しい。
スタジオで何回かバンドと一緒に練習はすると思うんだけど、カラオケボックスで歌っている場合と、
大きく違うと思う。まず生演奏は間違える可能性がある、リズムが狂う可能性がある、構成を間違う可能性がある、
音がでかい、見ている人を満足させなければいけない・・・・等。こういった事柄に対して、自分なりに考えて
対処していかなければいけない。
その辺をすっ飛ばして、ステージに上がっても普通はなかなか難しいだろうね。
ま、カンでうまく出来る人もいるだろうけどね。でもカラオケのみでしか歌ったことがない人は生バンドで歌うと
戸惑うことの方が多いだろう。
カラオケでは声が良く通るので、ちょっと声量がある人はマイクを口から離さないと周りに迷惑をかけてしまう。
そのクセがついている人が凄く多いね。逆にファルセットでも声が聞こえるので、その感覚でバンドで歌って、
全然自分の声が通らない・・・助けて~ってこともとても多い。
機械と生楽器、特に生ドラムとの違いは歴然で、カラオケボックスではきちんとすべての音が聞こえていた
だろうけど、生バンドではドラムのシンバルやマーシャル歪みギターと戦わなければならない。
各楽器がバランス良く聞こえる・・・なんてのも至難の業だったりする。
なので、その辺は当たり前と割り切って、それに見合った練習をしてバンドに慣れてステージに上がるようにする。
あるいは、もしボーカルがそのレベルの人なら、そういうものだと、演奏陣は教えてあげる必要がある。
ちょっとカラオケでうまいからって「平気平気、適当に歌って」って言って、いきなりステージに上げて、
きちんとマイクをコントロールし、観客を満足させるパフォーマンスを期待するのはかなり酷である。
カラオケボックスでのクセはいったん置く必要があるね。特にマイクのコントロールはいったんクセがつくと、
いくら気を付けても直らないんだな。「マイクの先端を、横方向からでなく、真正面から口元に当てて、歌う」って
いくらお願いしても変なクセがついている人は全然ダメだったりする。マイクがあさっての方向向いたままだったり、
離れていたり、横から歌ったり・・・それでマイクがあまり声を拾わないから、聞こえないって言うんだけどね。
そりゃそうだ。
ステージで人前で歌うってことは相当に大変なことで、意識して「気を付けても」、無意識でついてしまった
クセはなかなかすぐに直らなくて、Aメロあたりまでは覚えているんだけどそのうちすぐ忘れて、やっぱりマイクが
どっか行っちゃう。これは仕方ないんだな。そういう訓練をしていないから。
俺なんかは子供の頃にはカラオケなんてなかったから、別にカラオケのクセはついていないんだけど、
外タレの写真や映像を見て、それを見本にやっていたから、例えばスージークアトロがベースを弾きながら
マイクに口を付けて歌っているのをみて、ロックの大音量の中ではああやって歌うんだろうなって参考に
したし、ポールマッカートニーがピアノを弾きながら歌う場面でちょっとマイクの位置が悪くても身体や
顔を動かしてマイクの方に自分から合わせていく・・・って作業がちょっとかっこ良かったりして、手を止めて
マイクの位置を動かすのはご法度なんだな・・・とかね。
ナイトレンジャーでもブラッドギルスのマイクにB&Voのジャックがブラッドのいない間にそのマイクで
歌って、また何食わぬ顔でセンターに戻って歌ったんだけど、そのときにブラッドのマイクを自分の身長に
合わせてガっと下げちゃったのね。そしたらブラッドには案の定、超低くて、仕方ないから足をガバっと広げて
マイクに合わせて歌ったのね。こういうのも勉強になるんだよ。ここで慌てふためいて手を放してマイクを
自分の身長に合わせていたらちょっとかっこ悪い。でもそういうのは、色んな写真や映像を見たり、
経験したりして、自分なりに消化していかないと一朝一夕には出来ないことなんだよね。
あまりに経験がない人だと、マイクスタンドの高ささえ変えられないからね。高さや角度もちゃんと
調整可能だし、スタッフがなんでもやってくれるわけでもないからね。自分で自分の口元にちゃんと
持って行かないと。
それと逆に上手のマイクを下手に持って行こうとして注意されたりもする。それはご法度ね。
だからカラオケからバンドへ移行するのは大いに移行して欲しいのだけど、「おんなじでしょ?」とは
決して思わないで、バンドなりのルールややり方を学んで、しっかりバンドを引っ張っていけるように
なって欲しい。