コミュニケルーム通信 あののFU

講演・執筆活動中のカウンセラー&仏教者・米沢豊穂が送る四季報のIN版です。

終活の旅路 5 

2019-08-18 | life
説経節「さんせう太夫」を読む
記憶を辿りながら、思い出しつつ書いているので、必ずしも時系列でもなく、今回も些か前後するのだが。
丹鉄宮舞線(西舞鶴から宮津間)の宮津の二つ手前に「丹後由良」駅がある。車窓から、ホームに立つ看板を見ると「安寿姫と厨子王丸の里」と書いてある。
僅かな停車時間、それも私の席の窓の真横に見える。今は昔、もう随分と小さい頃に母から語り聞かせられた物語である。その頃の母の声までも一気に蘇ってきた。
幼心にも、哀しく、またコワイ印象の「おはなし」であった。


                                         
  
  この作品は鴎外の「山椒大夫」であるが、遡れば古く、説
  経節「さんせう太夫」が基になっている。中学生の頃の国
  語の教科書にもあった。  
  旅から帰って、母の本箱に「説教節」のあったことを思
  い出し、取り出してみた。他にも5編が収録されていた。
  最初に「かるかや」があり、「しんとく丸」などが載っている。
  古典はじっくり読むと味わい深いのだが、現代語訳付では
  ないので時間がかかる。しかしながら、母はよく読んでい
  たものだと今更ながら感心する。 


近年、断捨離と思い、処分しては来たが、未だに「捨て切れぬ」蔵書は母の分も合わせて千冊ぐらいはある。せめてもう一度全てを読んでからと思ってはいるのだが、もう遅いかもしれない。
  ・・・・・
  未だ覚めず池塘春草の夢
  階前の梧葉已に秋声
などと吟じながら、飲み干す酒はほろ苦い。
来し方を振り返り、行く末を想うのも大事な精神的終活。


  yo-サンの旅はつづく。今宵の宿はいずこ・・・。 
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