今日は今の仕事の話もしたい。
自分は知的障碍者向けの作業所の介護職をしている。
職場の利用者の自閉の人には、大きく分けて二種類の人がいる。
強度行動障害で毎日他者への暴力のある人。言ってもわからない人。反省する能力のない人。こういう人たちにはTEACCHやABAを手続きに基づいて強力に実施する必要があると強く思う。もう、外からコントロールするしかない。
もう一種類の自閉の人は、知的には重い障害ではなく自傷他害もあまりない、自閉傾向の顕著な「某社社長の御曹司」たち。彼らは、覚悟と矜恃を持つことかできれば、一般企業で仕事のできる人たち。
ただしもし、御曹司たちが企業で仕事をしてまともな給料にありつきたければ、それは普通に、二次障害を通り抜けて、幾多幾重もの苦しみと困難を乗り越えなければならない。
親がそれほど金持ちでなければ、生きる知恵のある一部の自閉っ子は、頑張って企業社会で生き残るいばらの道を歩んでいることは、杉山先生の調査や自分の製造業経験を通して理解している。
私のお客様の親御さんたちからは、そういう道は歩ませたくはなく、自分の職場のような立派なビルを自前で構え財務諸表の立派な優良企業に自分の愛する子供を一生預けたいのだ、という思いが日々の会話からにじみ出てくる。
プロとしての自分は、職人は自分のしたいことではなくお客様の求める仕事をしなければならないとトヨタ系でとことんしつけられているまま、自閉のお子様が二次障害にならないように保護するべく、彼らが頑張りすぎないよう環境に飽きないようにと頑張っているつもりである。
自分は今の会社と労働契約を結んでいる身だから、会社に保護を求めるお客様には誠心誠意尽くさなければならない。
ただ、就労能力がある(児童精神科医たちが否定しても自分は勝手に能力があると思う)御曹司様たちが、リスパダールとか飲みながら強度行動障害を繰り広げる人たちと一つの部屋で一緒にすごす環境が本当にいいのだろうかと、今ふと、疑問も思っている。
自分本位の良心は出さないで、ひたすらお客様の目指す幸せを実現したいと思う。
お子様に負担をかけたくない親御様の思いに反して自立したければ、やはりご本人の強い意志と主張と行動が必要だと思った。本人の精神的経済的自立を追求することは、本人のリスクをとる意思表示と行動があってもなお、支援者としては自分の首と家族の生活を失うリスクを背負って(もうからないこと、親が嫌がることをするから)支援することになる。厳然たる事実である。